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第三話 チュートリアル

 シンに異世界(路地裏)に飛ばされて、私達は今、牢屋にいる。

悠「やっぱそうなるよね!」


遡ること少し前…


悠「路地裏と言えばー?」

彩葉「闇取引!」

悠「だよねー。あちらに見えますのは?」

彩葉「闇取引ですね。そして、騎士みたいな姿をした人達から、闇取引をしている奴らの仲間っぽい人達が両方向からこっちに逃げてきてますね。」

悠「おっと、これはもしかして、詰みってやつかな?」

彩葉「そうだね。これからどうしよっか。」

コン「とりあえず、騎士団らしき姿をした者以外を縄で縛って捕まえましょうか?」

悠「ここにいることで、あの人達の仲間だと思われても困るからね。頼めるかな?」

コン「承知しました。では、よっと。」

コンはそう言っていつのまにか持っていた縄をふわっと上に投げた。すると、闇取引をしていた奴らとその仲間達が、縄のほうに吸い込まれるように浮かび上がり、そのまま全員が一つの縄で縛られて身動きが取れない状態になって地面に降りた。

騎士団員1「ご協力感謝致します。ところで、この国では見かけない格好をしているようですが、旅人のかたでしょうか?」

言われてみれば、確かに私達は周りとは違うような格好をしていた。私と彩葉は制服姿で、コンとコタツは白を基調とした着物姿。見た目だけでも、結構違うのかもしれない。まあ、周りは騎士(仮)と闇取引をしていた人達だから基準になってはくれないけれど、騎士団員の人(もう断定でいっか)が言ってるから信じておこう。

悠「えっと、説明すると長くなるんですが…。」

騎士団員2「待て。この者達は魔王様が仰っていた『異世界から来る人達』ではないか…?」

騎士団員1「確かに魔王様が仰っていた情報と一致している。だが、明らかに人ではない者がいないか?」

コン「私達は護衛ですよ。今みたいに、何かハプニングが起きた時に、即座に対応できるほうが安心するでしょう?」

騎士団員1「なるほど。疑って申し訳ありませんでした。」

コン「いえ、気にしなくていいですよ。案外あっさり信じるんですね。」

騎士団員2「君達が嘘をつこうとすると声が出なくなる魔法を、話しかけたタイミングでかけておりまして…。私達と話せていることが、嘘をついていない証明になるのです。」

コン「なるほど。」

騎士団員1「突然のことで申し訳ないのですが、『異世界から来る人達を見かけたら、魔王城まで連れてきてくれ。』と魔王様から指示されていまして…。ご同行いただけますか?」

悠「あ、はい。」


そして今に至る。


悠「いや、ふり返って思ったんやけど、なんで私達は牢屋にいるの!?」

彩葉「そうだね。牢屋って言っても、入る一面のみ鉄格子になってるただの部屋って感じやし、流れだと魔王様達に会えて一件落着かなって思ってたけどそうじゃないみたいだね。」

悠「お城に来てみれば、魔王様は、側近と城外に遊びに行ってるらしいし。」

彩葉「お城にいた騎士団長らしき人に『魔王様達を探しに行ってくるから、とりあえず君達はここで待っていてくれ。一応お付きとして団員を一人ここにいさせておくから!』って言われた場所が牢屋だなんて思わないよね。」

悠「とりあえず、シンに文句の電話をかけようか。」

彩葉「シンの話を流してた私たちも悪いような気もするけど…。まあ、ここにいる間どうしてようかって感じだからいっか。」

悠「じゃ、スピーカーをオンにしてかけるね。」

彩葉「うん。」


30秒後


悠「出ない…。あ、留守電になった。」

『おかけになった電話番号は、現在電波の届かないところにいるか、着信者が指示した目標を発信者が達成していないか、着信者が魔王様達と城外へお忍びで遊びに出ているため、お繋ぎ出来ません。ということで、頑張ってください。』

悠「いや、二つ目と三つ目が具体的すぎませんか?あ、電話切れた。」

彩葉「多分、三つ目だね。って、もしそうなら、私たちに魔王様達に会うように指示をした上で、その魔王様達と城外に遊びに行ってる事になるよね…。」

コタツ「シン様は、今も変わらず自由奔放ですね。」

悠「それにしては、度がすぎていると思うけどねー。まあ、城にいるよりも会いやすいだろうとか思ってのことかもしれないし?」

コン「そうじゃなかったとしたら、私が伸しますね。」

悠「伸すってどういう意味だっけ?ヤンキー系の漫画で見たことある気がするけど。」

コン「うちのめす。といった意味がありますね。“うちのめす”で検索すると、立ち上がれなくなるほど殴りつける、再起できないほどの大打撃、大損害、苦痛を与える。特に精神的にひどくまいらせる。と出てきます。」

悠「物騒だから却下で。」

コン「そうですか。久しぶりに楽しめるかと思ったのですが…。まあ、私としては今の状況も充分楽しいので構わないですが。」

悠「コンって丁寧な口調だけど、結構言ってることが物騒だよね。」

コン「丁寧な口調のほうが話しやすいからですね。まあ、他にも理由はありますが。」

悠「他にある理由のほうが主な気がするけど、気にしすぎはよろしくないからいっか。」

コン「またいつか、悠には話しますよ。」

悠「じゃあ、そのいつかを楽しみにしてるね。」

コン「ええ。私は悠のそういうところも好きです。」

悠「待って。その見た目と声は、私にとって1,2を争うほどに好きな姿と声なのよ。息が出来なくなるから不意打ちはやめてほしい。けど尊い…。そして、そういうところってどこ?思い当たる節がないんだけど。」

コン「相手の事情に必要以上に踏み入ってこないところです。とても話がしやすいと思いますし、話していて疲れない、何なら楽しいとすら思えます。」

悠「聞いても私が相手の力になれると言い切れないなら、踏み込みすぎないようにしないと、逆に傷つけてしまうかも…って思ってるだけだよ。」

コン「私はそれでいいと思います。一個人が背負える責任には限界がありますから。」

悠「そうなんだよね…。私に力になれることがあるって分かっていればいいんやけどね。」

コン「そこです。動けることには限りがあってしまう。それが分かっている上で、出来ることはやろうとする。そこが私にとって悠の好きなところの一つです。」

悠「一つって…他にもあるんだ…。」

コン「あります。話すと夜が明けるまでかかるのですが…。」

悠「とりあえず、今は他にも気になることがあるからやめといて。それと、話されたくない事もありそうだし、私と二人だけになった時にしてくれるかな?」

コン「そうですか…残念です。悠が他の人に知られていないツンデレのデレであるところを話すチャンスかなって思ってたのですが。」

彩葉「それはめっちゃ気になる!」

悠「恥ずかしいから絶対にやめて。にしても、ここは牢屋って言うには広いし、全体的に綺麗だよね。オセロやチェス、カード系やすごろく、人生ゲームもあるし。」

彩葉「悠ちゃんってめっちゃ話逸らすの下手だよね。まあ、いっか。暇つぶしには最適だと思うけど…なんでだろうね。」

騎士団員1「そのことについては、私が答えましょう。」

コン「お付きのかたですか。今まで影になったかのように気配が薄かったですが、なぜでしょうか?」

騎士団員1「団長に気配を消しておくように言われているからです。話を戻しますが、この部屋は有罪か無罪か分からない人達に待機していてもらう場所です。」

コン「つまり、私達はまだ信じてもらえていなかったと?」

騎士団員1「いいえ、あなたがたの服装や、先ほどあなたがしてみせたことにより、疑ってはないのですが、私達は万が一のことを考えて行動しなければならないんです。」

悠「万が一って、この魔王城が全壊するとか?そうそう起こらない気がするけど。」

騎士団員1「それが起こったんですよ。しかも最近に。」

彩葉「最近に!?」

悠「だからこのお城が外装も含めて全体的に綺麗だったんですね…。」

騎士団員1「ええ、魔王様が『この城の隠し通路…。まだ全部回りきっていなかったのに…。』と言いながら、あのお方に城の間取り図や外観を一部変えたものを記した紙を渡して『もちろん元通りにしてくれるよね?』と、半分脅しのような発言をしてこれほど綺麗な状態になったのです。あのお方は『絶対元々こんなのじゃなかったって。まあ、今回は僕の娘が大暴れした結果だからな…。』と言い、魔王様に『改良分は迷惑料ってことで。』と言われ、一時間かけて一人で復旧魔法をかけていました。」

彩葉「1時間も…。疲れそうだね。」

騎士団員1「まあ、その間にもあの方は、魔王様に細かい改善をさせられていましたし…。仲が良いからこそ出来ることですよね。」

悠「あ、仲は良いんだ…。さっきから気になってたんだけど、あの方って誰なの?」

騎士団員1「隣国の国王、クレス様です。前は別の呼ばれかたをしていたのですが、魔王様があだ名として呼んだ名が気に入ったらしく、『これからは、クレスと呼んでくれ。』と。そして、お二方の仲が悪かったなら、今頃ここがどうなっているか分かりませんよ。敵対したらこの世が跡形なく滅びるだろうと言われているのに。」

コン「それはまあ、恐ろしいですねー。見てみたかったりもしますが。」

騎士団員1「縁起でもないこと言わないで下さいよ。たまに起こる喧嘩ですら、その地域の人達が避難するくらいなんですから。」

悠「それほどなら喧嘩のきっかけが気になってきますね。」

騎士団員1「前に起こったのだと山派か里派か、ですかね。」

悠「え、それがきっかけですか!?」

騎士団員1「それがってことは、やはり知っているんですね。魔王様が『元々、私達がいた国にあったお菓子を再現したものなんだ。』と仰っていたので。」

彩葉「その対立(?)は私達の国で有名な話だからね。」

悠「それで、その喧嘩の結果はどうなったの?」

騎士団員1「お互いに自らが推している側を一粒相手の口に突っ込んでお二方とも疲れていたらしく、その一粒がとてもおいしく感じて『どっちも…良いよね…。』ってなって終わりました。」

悠「平和的解決だね。ちなみに、どっちがどっち派なの?」

騎士団員1「魔王様が山派で、クレス様が里派ですね。あなたがたはどちら派ですか?」

悠「私は里派かなー。」

彩葉「私も里派ですね。」

悠「でも、どっちも好きやし、買うなら両方が小袋でいくつか入ってるやつかな。お母さんが山派だから山側が多く余ったりとかもないし。」

彩葉「両方あるやつなら、どっち買うのかーって悩まなくて済むからねー。」

コン「私は食べたことがないので分からないですね。」

騎士団員1「じゃあ、私が今どちらも持っているので食べてみますか?」

コン「いいのですか?」

騎士団員1「ええ、持っているのが団長に見つかると怒られてしまうかもしれませんし。」

コン「ならば、ありがたくいただきます。ちなみに団長さん、今この部屋に入ってきましたよ。」

騎士団員1「え!?」

コタツ「タイミングが悪かったですね。」

団長「相手にすぐに気付かれないように気配を消せと言ったのは私ですからね。まあ、見られていれば気付かれますが。今日は、魔王様を探しに行くのに疲れたので、怒る気にもなれないです。」

コン「いただいた物ですが、食べますか?」

団長「ありがとうございます。では、山のほうを一ついただけますか?」

コン「ええ。それにより、この騎士団員さんにはお咎めなしということで。」

団長「そういうことにしておきましょう。あ、魔王様から『先に行っておくから、その子達を応接間まで連れてきて。』と言われているので、付いてきていただけますか?」

悠「分かりました。あの、歩き疲れたんですが、移動距離の短縮は出来ますか?」

団長「転移魔法くらいなら出来ますよ。」

悠「あ、じゃあお願いします。」

団長「分かりました。では、この魔法陣の上に移動していただけますか?」

そう言って、団長さんが部屋の外に出ると、そこに魔法陣が浮かび上がってきた。

悠「すごいね。」

彩葉「そうだね。」

団長「魔王様が様々な仕掛けを施しているので。」

コン「用意が良い人なのですね。」

団長「ええ、時々恐ろしく思えるほどに。」

コタツ「僕はそういう人、憧れます。」

団長「その仕掛けに、私達も巻き込まれたりして困ることもありますが、とても日々が楽しいですよ。律、君も付いてきてくれるか?」

騎士団員1→律「あ、はい!分かりました!」

団長「では移動するので、魔法陣から出ないように気を付けてください。」


そして、光に包まれた後、私達はそこそこ広い部屋にいた。その部屋には既に四人いた。シンと二人組、恐らく魔王様と側近の人だろう。もう一人は白く長い髪をゆるく後ろで結んでおり、赤い目に尖った耳。まるで吸血鬼みたいだ。

シン「やあ、二人とも。待っていたよ。」

悠「『待っていたよ。』じゃないんですけど。」

彩葉「今までどこにいたんですか?」

シン「それは留守電通り、お忍びで遊びに…いや、君達が魔王とその側近である二人に会いやすいようにしてあげてたんだよ。」

悠「怪しすぎる…。それより、もう一人知らない人がいるんだけど…。」

魔王様「そうだよね。とりあえず、私達の自己紹介からしようか。私はハイド。この世界では魔王やってます。本当は勇者になりたかったけど、勇者は選ばれし者しかなれなかったから、じゃあ実力が全てな魔王になればいいじゃん。って思って、ここに来たら、前の魔王さんがもう疲れていたらしくて『君なら任せられるよ。色々と面倒な事があるだろうけど、頑張ってね!』って言ってあっさり譲ってくれました。魔王になってみて確かに大変な事は多くあるけど、そのおかげで楽しい日々を送れているのでいいかなって思ってます。これからよろしく。」

側近「魔王ハイドの側近、(スズ)です。側近としていますが、妹でもあります。お姉ちゃんと一緒にこの世界に来てから、今がとても楽しいと思います。君達の話はシンさんから聞いてます。これからよろしくね。」

ハイド「君達が今、一番気になってるのは多分、クレスだよね。クレス、自己紹介よろしく。」

クレス「クレスです。隣の国の国王やってます。見た目の通り、吸血鬼です。本名は…言わないでおこうかな。呼び捨てでいいよ。これからよろしくね。僕が呼ばれたのは、僕がハイドや鈴にかけている特有魔法が関係しているのかな?」

シン「そうだね。とりあえず、悠、彩葉。目標達成おめでとう。思っていたよりも早くて驚いたよ。改めてちゃんと説明するけど、この世界に今、大きな問題があるのかと聞かれると違うんだけど、小さな問題が各国にあるんだ。そして、それらの小さな問題も放っておいてしまうと大きな問題に変わってしまう。それを防ぎ、改善し、良い方向に変えてほしい。そのために、僕達は協力する。そして、淡々と解決していくだけでは面白みに欠けてしまうから、スタンプラリーと似たような感じで、様々な場所を訪れ、問題を解決していく度に強くなり、より難易度が高い問題に挑戦できる。って流れにしようと思う。クレスには、君の想定通り、君の特有魔法を悠と彩葉にかけてほしいんだ。」

クレス「ですが、あの魔法は必要な魔力が高すぎて、発動に年単位の時間がかかるんです。ハイドと鈴には、これまで温存していた魔力を使用したんですが、今回はそれがありませんし…。」

コン「そのことにおいては、私が力を貸しましょう。」

クレス「そんなこと出来るんですか?」

コン「世界の問題を解決していく者のためであれば、祝福といった形で力を与えることが許可されています。」

悠「なんて便利なルールなんだ…!」

シン「そこー、茶化さないで下さーい。しかしながら、力を貸すことにも縛りがあるんだ。」

コン「具体的に言うならば一定時間の弱体化ですね。と言っても五分程度ですが。身体が小さくなるんです。」

彩葉「なるほど。もしかして、コタツって…。」

コタツ「あ、僕はただこの姿に慣れているからで、弱体化は関係ないです。」

シン「だーかーらー、茶化さないでって言ってるよね?」

悠・彩葉「「ごめんなさい。」」

ハイド「話に聞いてた通り、息ぴったりな二人だね。」

鈴「楽しそうだよね。」

シン「話を戻すけど、クレス。頼めるかな?」

クレス「あ、はい。」

コン「では、まず私がクレスさんに魔力を送るので、今から描く魔法陣に手を置いていただけますか?」

コンはそう言って、筆を懐から取り出し、一振りした。すると、応接間の机に魔法陣が描かれた。

悠「え、墨ついてないのに?」

コン「魔力を込めました。」

ハイド「応接間の机に落書きがー。」

コン「落書きではなく魔法陣です。あと、この魔法陣は、発動したら消えるので問題ありません。」

鈴「お姉ちゃん…分かってて言ってるよね?」

ハイド「なんのことかなー?」

コン「外野は放っておいて始めましょう。クレスさん、手を。」

クレス「分かりました。」

クレスが手を置くと魔法陣が光り、しばらくしてから、電気を消す時みたいにパッと消えた。

クレス「本当に魔力を分け与えられるんですね。では、悠さん、彩葉さん。僕と握手をしていただけますか?」

彩葉「はい。」

悠「分かりました。」

そして、私達が片手ずつクレスと握手をした。

クレス「吸血鬼の祝福、発動。」

クレスがそう言うと、私達の身体が光り、握手した手のひら、私は左手、彩葉は右手に光が集まっていき、ゆっくりと消えていった。

悠「これで、成功なんですか?

クレス「成功しましたよ。その証明は、君達の後ろを見れば分かると思います。」

それを聞き、すぐさま私と彩葉がふり返ると、小さくなったコンがいた。

服は見た目に合わせて小さくなり、髪は床に着くほどの長さになっていた。

悠「めっちゃかわいい。写真撮って良い?」

彩葉「私も撮りたい。」

コン「いいですよ。まあ、あと三分ほどですが。」

悠「思ったより短いね。じゃあ、遠慮なく。」

コン「それぞれに十秒ずつでいいですか?」

悠「うん。」

彩葉「ありがとう。」

もちろん、シャッターボタンを十秒押し続けた。三十八枚撮れた。

悠「すごい!確認してみたら少し似ているのもあったけど、全部違うポーズだ!」

コン「ふふ…神ですからね。」

シン「多分、神関係ない。」

コタツ「僕も撮られる側、やってみたいです!」

彩葉「いいよ、じゃあ撮るね。」

結果は、半数くらいがブレてしまってちゃんと撮れたのは十七枚だった。

コタツ「やっぱりコン様はすごいです!!」

悠「コンとコタツの二人での写真も撮っていい?」

コン「構わないですが、時間的に三枚ですかね。」

悠「最高の三枚をよろしく。」

こうして、至福の五分間は終わった。

クレス「僕、もうこの場を離れていいですか?」

シン「大丈夫だよ。協力してくれてありがとう。」

クレス「いえいえ、僕一人でやった事じゃありませんので。では、また会える日を楽しみにしていますね。」

そう言った後、クレスは窓を開け、飛んで去って行った。

コン「そういえば、クレスさんは吸血鬼でしたね。」

ハイド「私達も、まだやらないといけないことが残っているからそろそろ行くね。君達も持ち場に戻ってくれていいよ、ありがとう。」

騎士団長・律「はい!!」

ハイド「この部屋は、話が終わるまで使ってくれていいよ。じゃあ、またね。」

鈴「私達も君達の力になりたいと思っているから、何かあったら頼ってくれていいからね!」

悠「ありがとうございます!」

そして、ハイドと鈴、団長さん達は、部屋に仕掛けられていた魔法陣で去って行った。

彩葉「ここにも魔法陣あったんだ…。」

シン「この城もあの二人も本当にすごいね。そして、話を戻すけど、クレスに使ってもらった特有魔法の効果が不死なんだ。そのついでとして、痛みを受けない、攻撃された箇所の再生が含まれる。」

彩葉「この世界に来る前に言ってた『かくかくしかじか』かな?」

シン「そうだね。百聞は一見にしかずって言うでしょ?」

悠「雑すぎだと思うけどね。」

シン「意外と大抵の人の説明はそんな感じだと思うよ。」

悠「そして、その発言をする神様…と。」

シン「気にしないで、話が進まなくなる。あ、前からだったね。」

彩葉「そうだね。前は重要な話がざっくりになったよね。」

悠「一番駄目なパターンだよね。」

シン「おかしいなー。僕の記憶だと、原因は君達だったと思うんだけれど。」

彩葉「その通りですね。」

悠「ほらそこは、成り行き優先で気にしない。ってことで。」

シン「君達にそれを許してしまうと、話が進まなくなりそうだね。」

コン「まあ、なんとかなるんじゃありませんか?」

シン「この上ないほどに無責任な発言だね。まあ、いいや。今まで通り、強制で話を戻してくことにしよう。早速だけど、君達は今、チュートリアルをクリアしたみたいな状況で、これからは本格的に、問題解決の旅をお楽しみ下さい。って感じなんだ。とりあえず、比較的簡単な問題を七つピックアップしておいたから、その中から選んで、そこに向かってくれるかな?」

悠「あ、はい。」

コン「私とコタツは引き続き付いていきます。」

悠「頼もしいね。ありがとう。」

シン「じゃあ、あとは任せるね。」


こうして始まった週一の異世界問題解決の旅。これからどうなっていくのかなんて、想像しようがないけれど、楽しめたらいいなって思った。

三話目で、やっと始まったって感じですが、一~三話には、多くの伏線を用意しました。今後、驚くような展開があれば、見返してみるといいかもしれません。

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