第二話 波乱、ここから始まる。
とても遅くなりました。申し訳ないです。ちゃんと続きます。安心してください。これからはちゃんと決まりを決めて書いていこうと思います。決まりは分かりやすいようにはするので探してみてください。だいたいその日を待てばいい的な感じになれます。
その日の放課後
私達は最寄りのコンビニに行って私はスポドリ、彩葉はチョコ菓子を買い、それらを飲み食いしながら帰り道を歩いていた。
「彩葉、コンビニ大手三社巡りはまた余裕がある別の日にしようか。」
「そうだね-。さすがにシャトルランがある日にするのはしんどいね。」
「うん。私は家までの帰り道が全て上り坂で、しかも段々と急な坂になっていくから余計にしんどさが増してるって感じがするわ。」
「私は、最後の坂だけゆるやかな下り坂だから少しはマシかな。」
「いいなー。私も帰りの上り坂が感覚だけでもいいから下り坂になってくれればいいのに。」
「でも、それって感覚が狂うことにならない?」
「たしかに。怖いから却下しとくわ。なら、動く床で。」
「なんか、その言い方だとお屋敷のトラップみたいだね。」
「いいねー。からくり屋敷とかって魔法みたいで楽しそう…って彩葉に話したかったこと思い出した!」
「え?なに?」
「異世界行ってみたいなって思ったことある?」
「それはあるけど…。なぜそれが気になったの?」
「私、シャトルランが一番早く終わって待ち時間が暇になるほどだからさ、考えごとをしてたのよ。それが、【最近はアニメや本で異世界作品多いなー。でもそれぞれに違いがあって楽しそう…。私も異世界行ってみたいなー。そうだ!行ったときの設定を考えよー!!】だったのよ。で、色々と一人で考えてて、一緒に考えてくれそうな人が欲しくて、休み時間に彩葉に話してみようかと思ってたんだけど、今まで忘れてた。」
「なるほど。悠ちゃんは今どれくらい思いついてるの?」
「えっと、
・転生じゃなく転移
・こっちの世界と異世界の行き来可能
・こっちの世界とは別で時間が流れる
くらいかな。」
「結構ざっくりとしてるね。もう少し詳しくしてみたら?」
「なるほど、例えば?」
「うーん…。誰でも二つの世界を行き来出来るのか。あとは、こっちの世界とは別で時間が流れるって具体的にどんな感じなのか。とかかな。」
「なるほど。えっと、神様に許可を得れば誰でも移動できるが、条件があるので二つの世界が混ざりすぎることはない。時間の流れを具体的に言うと、こっちの世界で一日が経つ間に異世界側でも一日が経ってるって感じじゃなくて、一週間が一日増えて日曜と月曜の間に異曜日ってことで異世界に行く日が入るって感じ…かな。」
「神様大変そうだね…。」
「多分、神話の○○を司る神みたいな感じで役割分担をしてるから大丈夫…だと思っとこ。」
「…だったらいいね。とか言っているうちに待ち合わせ場所に着いたね。」
「そうだね。ここで地面に魔法陣が一瞬で描かれて…ってなったら面白いのにね。こんな風に…って、は!?」
「ちょっ…まっ…え!?」
魔法陣が強く光り、視界が真っ白になった後、木で出来たシンプルなイスが一つ、それ以外に何もなく、果てが分からないただただ広く、白い空間に私達はいた。
「どうしよう、彩葉。めっちゃテンションが上がってるけど、戸惑いと不安もあってなんか変な感じがする。」
「分かる。イスがあるから多分この場に私達以外に最低一人はいるかなって思ったんだけど、見渡す限りにはいないね。」
「そうだね。とりあえず、こういう時に言いがちなあの台詞を言ってみようか。」
「おけ。せーので同時に言ったりする?」
「その方が楽しそうだからそれでいこうか。心の準備はいい?」
「いいよー。」
「せーの!」
「「すみませーん。誰かいませんかー!」」
「いるよ、ここにずっと。」
「「!?」」
「というか、認識阻害をし、僕のことを見えないようにして、後ろから話しかけて少し驚かせようとしていただけなのにフリみたいな会話を二人で始めるから姿を現しにくかったじゃないか。」
「あからさまに何かを仕掛けようとしている人がいたら起こしにくい環境を作れって言うじゃないですか。」
「悠ちゃんの狙いはそれだったんだね。」
「片方が把握せずに合わせられる君達ってすごいね。」
「それはまあ、ノリと勢いって感じですかね。」
「どちらかというと慣れって言ったほうが正しそうだけどね。」
「なるほど。いい関係性だね。」
「ありがとうございます。あの、聞き忘れていたことがあるんで、聞いてもいいですか?」
「どうぞ、ご自由に。」
「あなたは不審者ですか?」
「誰とか何者とかじゃなく、不審者ですか?になるんだ。結構ショックだね。まあ、名乗り忘れた僕が悪い…か。じゃあ自己紹介をしよう。僕は存在としては神だ。」
「あ、警察ですか?自らのことを神だとか言う不審人物が…って電話が繋がらない!?ちゃんと110を押したのに!!」
「話はちゃんと最後まで聞いてほしいな…。そしてここは言うなれば異空間だし、今は遮断中だから連絡は繋がらないよ。」
「誘拐…。私達ここで…。」
「いや、そんな物騒なことじゃないからね!?あと、話は最後まで聞いてほしいって言っているじゃないか!!」
「あ、彩葉。そろそろ怒られそうだからここまでにしようか。」
「そうだね。ボケも笑えなくなったらただの悪ノリになるから、引き際も大切だよね。」
「もう既に遅い気がするし、話すのにも疲れてきたんだけれど。」
「まあまあ、そう言わずに。」
「今からはちゃんと聞きますから。」
「最初からそうしてくれればいいのに。まあいいや、気にし続けていても何にもならないし。」
「そうですよー。切り換えってとっても大切なんですから。案外口だけで実際には出来ていない人が多かったりしますが。」
「そうだねー。つっこむことに疲れたので僕はスルーして先に進めることにするね。理由はいくつかありますが、君達の『異世界に行ってみたい』という願いが叶うことになりました。おめでとうございま-す!」
「説明がざっくりしすぎている…。」
「めっちゃ雑だね。」
「詳しく説明すると、僕、最近異世界での冒険話を読むことにハマってて『これまでの歴史書に何か面白い話があったりしないかなー。』って思って探したら、何件かあったんだよ。異世界に行くことになった理由は様々にあるし、この世界には、プライバシーという言葉があるみたいだから、それぞれについての話は控えさせてもらうね。で、僕もそういう話に関わるゲームマスターみたいなポジションになりたいなって思って、異世界に行ってくれそうで、行かせても問題がなさそうな、さらに、その異世界に既にある問題を解決してってくれそうな人を探していたんだよ。」
「なんか、ゲームで最初の10連何度でもやり直し可能のやつを、最高レアリティー三体来るまでやり続けてる時みたいだね。」
「確かにそれくらい気が遠くなる作業だったよ。なんとか見つけられてよかった。」
「そうなんですね。で、その方はどこですか?」
「君達だよ!なぜこの話の流れで君達以外にいると思うんだよ!!もしそうじゃないならどうして君達がここにいるんだよってなってくるだろう!?」
「うっかりミスとか?」
「そっち側で話を進めないで。ちゃんと合ってるから。というか、めっちゃ友達と話してるみたいな感じで進めているけど、僕ら初対面だよね?そして一切そのことについて話してくれないからもう自分で言うけれど、僕は君達が二次元で好きだと思っている見た目が反映されていて、声も程よい低音にしているから、めっちゃかっこいいー!ってなることを期待していたりしたんだけれど。」
「見た目と声においては、最初に驚いて声が出なかった時に、『うっわ、やっば!!』って語彙力消失していたし、その後は、もしかして不審者?って思ったから、それどころじゃなかったし。二次元の好みが反映されているからこそ、『あ、現実で推しがいたらこんな感じなのかな。でも、二次元の推しは二次元のままが良かったり…でも、いいな…。』って思ってた。銀髪ロングのストレートヘアが似合う人って三次元に滅多にいないし。あと、話しててなんか雰囲気が誰かとめっちゃ似てるなーって思ってて話がしやすかったから、つい口調が…。」
「めっちゃそんな感じ。初対面だと思えないほどだよね。」
「うん。誰と似てるんだろうね。」
「まあ、いつかふと思い出して『あ!』ってなるよ。」
「そうだね。とりあえず気にしないでおこうか。自称神様の自己紹介が中途半端になっていることも。」
「そこは気にしてくれていいんだよ?あと勝手に自称にしないで。僕はちゃんと神様だから。そして自己紹介の続きをすると、君達が想像していたように僕ら神々にも役職があるんだよ。ちなみに僕の役職は世界に起こる問題を間接的に解決すること。上からの指示で僕らが直接全てを解決することは禁じられている。まあ、協力をすることは禁じられていないから、別の者に協力するということならば、様々な制限が外れるんだ。便利だろう?」
「なんか屁理屈みたいで…楽しそうだね。」
「そうだねー。ルールに従ってはいるからね。」
「性格も分かっていて君達を選んだけれど、きっと世界が違うと悪役側になりそうだね。」
「正義も悪も一視点でしかなく、視点が変われば全てがひっくり返ると思ってるから。感情論ほど当てにならないものはないよね。」
「そして人の数だけ視点があるならもう区別のしようがないとも言えそうだよね。」
「二人は人生を他の人とは別の視点でも楽しめそうだね。」
「こういうことを言っても、周りにはあまり伝わらないんだけどね。」
「僕は面白いからいいと思うよ。」
「ありがとう。そういえば、私達、神様の名前聞いてないよね?」
「たしかに。名前ってとても大切なものだよね。」
「僕ら神々は基本は役職名でしか呼ばれていないから、君達みたいにはっきりとした名前はないんだ。今後を考えると役職名じゃ呼びにくいだろうからあだ名みたいな感じで適当につけてくれればいいよ。」
「うーん。じゃあ神を音読みしてシンとかは?」
「分かりやすくていいと思う!」
「本当に適当につけるね!?まあ、覚えやすそうだからいいか。」
「シン様って呼んだほうがいい?」
「今までの感じに慣れてしまったから様を付けずにシンって呼んでくれていいよ。さて、異世界でのルールについてだけれど、ここに来る前に言っていた
・転生じゃなく転移
・こっちの世界と異世界の行き来可能
[神様に許可を得れば誰でも移動できるが、条件があるので二つの世界が混ざりすぎることはない。]
・こっちの世界とは別で時間が流れる
[一週間が一日増えて日曜と月曜の間に異曜日ってことで異世界に行く日が入る。]
以外で足したいことはあるかな?」
「あ、スマホ使えたらいいなって思う。仕組みが違えば扱いにくかったりするし。それで、シンとも連絡が取れたら便利だよね。あとは、旅をするなら気分転換ってことで姿が変えられたらいいなって感じかな。」
「魔法が魔法陣を描くタイプと詠唱するタイプがあるけど、どっちも楽しそうだから、使い分けられるといいなって私は思う。」
「どれも転移予定の異世界なら可能だね。僕との連絡は君達それぞれのスマホに僕の連絡先を追加しておくよ。護衛は…既にいるから必要なさそうだね。」
「既にいるの!?」
「うん。説明するよりも実際に見たほうが分かりやすいよね。」
そう言うと、シンは一瞬で氷の矢を作り、それをこちらに投げるように構えた。その瞬間に、私達の後ろから何かが飛び、氷の矢が消えた。そして、後ろから声が聞こえた。
「何も反撃できない人に、いきなり攻撃したら駄目でしょう!?」
「悠と彩葉に怪我をさせるつもりは元からなかったさ。ただこうでもしないと君は姿を見せてくれないと思ってね。二人とも後ろを振り返ってみて。」
シンに言われたとおりに振り返ってみると、そこには、黄色に近い金髪で頭の上に耳があり、髪と同じ色をしたふわっふわな尻尾が背後から見えている人がいた。その姿はまるで人の姿を模した狐のようだった。
「もしかして、お狐様…?」
「そうだね。彼は狐だよ。しかも僕と同等かそれ以上の力を持つ神だ。」
「はぁ。私は悠さんを陰ながら支え、いざという時に姿を現し、力を貸す存在でありたかったのに。まあ、いいでしょう。どちらにせよ、悠さんに付いて行くことには変わらないですし。悠さんのお友達である彩葉さんにも、私の側近でもある子を付かせていますし。あ、もう出てきていいですよ。見つかってしまいましたし。」
「あ、はい!」
「めっっちゃかわいい。君も、もふもふな尻尾してるね。」
「モフりますか?」
「いいの!?」
「あとででもよければ。」
「やった!ありがとう!!」
「あちらはもう打ち解けているようですね。悠さん、私もこれからよろしくお願いしますね。彩葉さんとあの子みたいな感じで、あとで私のことをモフってくれてもいいんですよ。」
「じゃあ、ぜひ!」
「僕のことも最初からこれくらい信じてくれたら話も進めやすかったのになー。」
「一人目と二人目以降は違うって感じかな。」
「二人目以降だともう慣れてくるよねー。」
「見た目からはっきりしてるからってのもあるかも。」
「そんなことを言われても僕は狐じゃないから耳を変えたり出来ないし。だから、姿が見えないようにしてから後ろから登場したじゃないか。」
「それはまあ、私達に向けて氷の矢を打とうとしたことと相殺ってことで。」
「それを言われると反論の余地なし、ですね。シンさん。あ、そういえばまだ、私と側近に対する呼び名をつけてもらっていませんね。シンプルでいいのでつけてもらえませんか?」
「じゃあ、コンでもいい?呼びやすいし。あと、敬称はなしにしてもいい?なんだか一定の距離が取られているみたいで落ち着かなくて。話し方はそれで慣れているならそのままでいいからさ。」
「ええ、分かりました。では、悠。改めてこれからよろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくね、コン。」
「僕の名前、つけてもらえますか?彩葉さん。」
「もちろんいいよ!コタツとかどうかな?」
「なんだか暖かそうですね。」
「私が狐に対して持つイメージがそんな感じだからかな。あと私の好きな名前から取ったりもしてるんだ。案の一つだから他のがよかったらまた考え直すけど。」
「いいと思います。嬉しいです。ありがとうございます!」
「喜んでくれたならよかった。私にも敬称はなしでいいからね。」
「はい!」
「ここで強制的に異世界についての話に戻らせてもらうんだけれど、君達に行ってもらう予定の異世界には既に二人、この世界から行っているんだ。」
「じゃあ、その二人に問題をどうにかするように頼めばいいんじゃないの?」
「それが、今その二人は自由に様々な場所を移動できる立場じゃないんだ。」
「もしかして指名手配でも?」
「されてないです。そういうのじゃないです。」
「じゃあ、王様とか?」
「惜しいね。一人が魔王でもう一人がその側近になってるね。」
「敵じゃん。え、その二人と戦わないといけない感じ?」
「違うよ。魔王と言っても国のトップと似たような感じさ。」
「なるほど。それならよかった。」
「ただ、国同士のいざこざが一切ないと言えないならば、トップが他国に行っていて…などの状況を避けるために軽率には動かないほうがいい。」
「だから別の人達に任せよう。ってなったの?」
「それも一つの理由としてある。」
「他にもあるの?」
「あるよ。言い出せばキリがないくらい。」
「じゃあ言わなくていいです。」
「説明を急ぎたいから今は聞かれないほうが助かるよ。まずは君達にその二人に会ってもらいたいんだ。詳しい話はその時に改めてするから。異世界にいる二人には僕から連絡しておくからアプリでよくあるチュートリアル感覚で楽しみながら二人のところに向かってくれればいいよ。」
「了解。魔法とかって使える?」
「最初からチート級に強かったら僕的に面白くないから、とりあえず基礎的な魔法だけ使えると思っておいて。」
「今がっつり主観が入りましたねー。」
「そこは気にしなーい。まあ組み合わせ次第で様々に変化するから楽しめると思うよ。ということで、悠、彩葉、行ってくれるかな?ちょっとユメみて異世界へ!」
「そんなにゆるくていいのか…。私的には前から行ってみたかったし、楽しそうだなって思うから行きたいけど、彩葉はどうする?」
「私も楽しそうだと思うけど、異世界にいるときに命を落としたりしたりはしないの?」
「うん。かくかくしかじかで命の保証はするからそこは安心してくれていいよ。」
「なるほど。じゃあ、大丈夫だね。って伝わらないから!そこの説明は絶対にはぐらかしたらだめじゃない?」
「そのことについての説明も、異世界にいる二人がいるときのほうが説明しやすいんだよね。今は、君達二人には、僕が運が良くなる魔法をかけておいたから。あと、コンとコタが付いていくから命についての心配はしなくて大丈夫だよ。」
「ええ、安心して我らにお任せください。」
「僕も尽力します。」
「…じゃあ、私も行くことにするわ。」
「決定だね。転移場所は目的地から遠すぎないほうがいいよね。でも、首都の大通りにいきなり人が現れたら混乱させちゃうよね。路地裏くらいにしておこうか。目的地に着いてあっちにいる二人に会えたら、今持ってるスマホで僕に連絡してね。じゃあ、またあとで!いってらっしゃーい!」
「待って!?路地裏とか嫌な予感しかしないんだけど!」
文句を言い切る前に、私達はまた白い光に包まれた。
これほどに時間に余裕がないならば、最初からちゃんと話を聞けばよかったかな。と少し後悔した二人だった。
2話目の投稿がすごく遅くなってしまいましたね。その分だけ書けば書くほど長くなってしまいましたし。まあ、区切りつくまでって考えれば、仕方がないのだと思っておきましょう。これからもお楽しみいただければ幸いです。前書きでも書いたようにこれからはだいたいの決まりをつけて投稿しようと思います。