表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/32

炎の世界


 悲鳴が聞こえる、何かを呟く声が聞こえる、パチパチと木が爆ぜる音がする、大勢の足音が迫ってくる。

 乃那未は気が付くと戦争風景の真っ只中に立っていた。



 建物や木が燃えてそこら中が火の海なのに、乃那未は熱さを感じなかった。

 火が燃えている所は明るいが、他の場所は薄暗い。

 周りの音は不鮮明で、まるで水の中にいるみたいだった。




 後ろで男の子が泣いている。足に溶けたガラスが張り付いたり刺さったりしているらしい。

 助けたいと願うが、その男の子はいきなり立ち上がると走り去ってしまった。

 ふらふらした足取りで、歩いていく人が見える。後ろにも数人居て、どこかを目指しているらしく列をなしている。表情がよく見えない。



 乃那未は何もすることが出来ない。ただ見ているだけ。悲しくなって目から涙を流していた。

 空を見上げてみても、雲がかかっているのか煙なのか、星も月も見えない。


 意識がはっきりしないのは、ここが夢の中だから。


 乃那未は列をなした人々が向かう先を知っている。川へ向かっているのだと。以前誰かが川へ向かえと言っていた。乃那未ではない誰かが。

 川に希望はない。熱湯になっているし、油や人や木材が浮いている。知っているが何も出来ない。



 ここが過去の世界だから。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ