小川のせせらぎで故郷を見る
身体が浮かんでいる。
青い惑星の丸みが目の前にあった。
何をしていたんだか……。
人々が暗闇に投げ出されている。ほとんど意識がないものが多いらしい。多数は微動だにせず暗闇を漂っていた。あとの者はもがき苦しんでいるように見えた。
身体が沈み込んでいく感覚で苦しみは感じない。ただ漂っているだけ。
――何か、忘れている気がする。
蕾は考えようとしたが、思考がまとまらない。ここは何処なんだと、遠くを見ようとした。
目の前に広がる宇宙。
先程まで手を繋いでいた感覚……。
蕾は自身の手のひらを見ようと思ったが、両肩から先が無かったことに気が付いて諦めた。
青い惑星は、大陸が所々赤くなっていた。火事になっているのだろうか。
アンドロメダにある蕾の故郷の惑星ではなかった。しかし、何故か懐かしくて悲しくなる。
何か約束をしていた。
『生まれ変わったらもっと素直になって貴方のそばで――』
……幸せになる。
それが誰の言葉だったか、顔も思い出せないけど。
『僕はね、運命の人がいると思うんですよ』
誰の言葉だ?
そうだ、隣に居た気がする。今は居ない。
大事な人だった……と思う。会えば思い出すはずだ。
考えがまとまらない。身体が暗闇に溶けだしているようだ。深い意識に……暗闇に……微睡んで……