ジャスミンちゃん
あの娘はとても悲しそう
あの人や僕や君や酔っ払いや
横顔がとても可愛らしくて
流れや 人や 恋や 哀れや
首を傾げてや 黙ってや 別れや
うつむいて 独りで 心を置いて
「はーい」って元気よく返事しました
かたことの日本語で
「いらしゃいませ しゃちょーさあん」
といいました
あの娘はとても寂しそう
郷里ははるか遠くに
あの娘はここで生きています
街の灯りがまたひとつ点きました
そっときっとふと
「もう いいですか」
あの娘は言いました
僕は涙を堪えて言いました
「霞んでいて 貴方をよく見れません」
人はきっと同じなのに
心を囚われているのに
すれ違う
愛しているのに
そうでないふりをしなければなりませぬ
そのばかばかしさ
僕は背中で聞いている
僕は背中で見つめている
もう一度振り向いてくれたなら
僕ももう一度だけ人間らしくいられるのに
酔っ払いの群れの中
あの娘はふと立ち止まって振り返り
僕にスマホを見せて
「どうですか私には家族がいますよ」
と微笑んで自慢するの
僕はとても悲しくなって
「それは良かったですね 羨ましい」
と目を赤く腫らしながら笑うのでした