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モンスター

久しぶりの投稿です。

皆さん、お待たせ致しました……。

 ふあぁ、うめぇーー!


 本拠地、私の目の前には「火炎放射」で焼かれた帝王カエルが一、ニ、三……香ばしい匂いを漂わせている。

 コンガリと焼かれた表面にはジュワッと肉汁が浮き出ていて、艶やかな光を放っている。

 もう最後の一匹か、味変としてハーブとしても使われるサンドールを乾燥させた物を振り掛けた。

 これは前にも言っていた家にあったものだ。

 ようやく、活躍の機会である。


 フワッ……カブッ……モグッジュワァァ……。


 かぶり付いた瞬間サンドールの酸っぱい香りが鼻をつく。

 口に溢れた熱々の肉汁が旨味を運んでくれる……あぁ美味い!

 三匹目にも振り掛け、かぶりついた。

 よく咀嚼し、飲み込む。御馳走様でした。


 ▽状態異常満腹。スピードが半減します。


 ……最近食べ過ぎ……ですかね?



 最近頭を悩ませているのが、獲った獲物の保存方法だ。

 手足が無いため細かい作業は出来ないし、結局いつも獲った分はすぐに食べきってしまう。


 そもそも帝王カエルをこんなに一気に獲れるようになったのは何故か、そこを少しお話したい。


 ……ふっふっふ、なんといっても進化様々なんです。


 「毒牙」は帝王カエルも毒持ちの為、MPをかなり消費しないと良いダメージは入らないが、何と言っても「火炎放射」これは強い。

 「波おこし」で嵌めた所に「火炎放射」で炙ればイチコロだ。

 倒すついでに調理も出来るから万能。

 そんな遠距離攻撃を覚えてしまったので今の所硬化の使い道は無いのだが……。


 とりあえずステータスはこんな感じだ。


 Lv12(+6)

 

 パワー1665(+1000)

 スピード2250(+1250)

 ディフェンス1058(+300)


 HP 300/300(+100)

 MP 570/570(+220)


 あぁ!美味しいし、経験値も手に入るし!

 良いことづくしじゃないの。

 そう、私が嬉々していると、正反対の冷静な声が響く。


 ▽帝王カエルから手に入る経験値は上限に達しました。


 ……考えないようにしてたのに。

 だけど新しい獲物を見つけなきゃいけないのも事実。

 蜜吸いバエとか潰しまくれば、少しは経験値が入るかもしれない。

 ……段々、血の気が盛んになって来た自分の考えに、ちょっと我ながらに引いている部分もあるのだかわ。

 ゴブリンの時はもっと違ったと思う。

 あの日、あの時から戦闘や死の危険に慣れる事が怖かったんだよね。

 見てくれはモンスターだけど、中身はきっと違う。

 人間と同じと思っていたからか、戦闘や死を潜り抜けていけば、中身もモンスターになってしまいそうで。


 ▽生き抜く為です。躊躇は要りません。


 再び冷静な声が響く。

 頭の中で流れているからか、その落ち着く声からかは知らないが、心にストンと落ちてきた。

 どこか自分の感情を誤魔化している。と思いつつも、私は蜜吸いバエを探しに向かったのだった。



 状態異常満腹も治り、いざ蜜吸いバエ探しの開始だ。

 蜜吸いバエは生き物の死体に集まる習性がある。

 表面に残った肉や血を食料にするらしい。

 私の死体にもおぞましいほど群がっていた気がする……。

 見つかるまで少し時間がかかるかなと思っていたけれど、直ぐに蜜吸いバエは見つかった。

 別に珍しいモンスターじゃないし、そこら中にいる。

 だけれど、それは道に出た瞬間、すぐに見つかった。


 何故か?

 答えは簡単、道に死体が落ちていたからだ。

 しかも、いつもより明らかに多い。

 ゴマコオロギに、帝王カエル、色とりどりのケサランパサラン、そしてゴブリン……沢山の死体が赤い道をつくっていた。

 しかも、血はまだ新しい。

 私が帝王カエルを獲りにいった時は当然こんな事にはなっていなかった。

 この短時間の間で、何者かがこの惨状を作りあげたのだろう。


 ーー異常だ。明らかに何かがおかしい。


 そう自然に頭は捉えていた。

 特にゴブリンの死体が見えた時は、軽く吐き気すら覚えた。

 血生臭い臭いと、数々の死体に顔をしかめながら、様子を見る。

 すると死体には一つ共通点があった。


 私の身体を超える程の大きな引っ掻き傷だ。


 引っ掻き傷と言うのもやさしすぎるだろうか。

 とにかくどの死体に抉られ血が滲み、綺麗に三本線が描かれていたのだ。

 これだけの大きな傷を作れるモンスター。

 それがこの道を通った。そう考えるのが自然だろう。


 ……ねぇ、この先に何がいるんだろう?


 ▽質問確認。私の実力ではお答え出来ません。

  この先、危険な状態の可能性大。直ぐに退避して下さい。


 冷静に響く声。

 自分の頭もきっと、その声と同じように考えていただろう。

 しかし、そんな考えとは裏腹に、身体は血の道を辿って、歩き始めていた。

 この先には何があるのだろう、何が待っているのだろう。

 それを覗きたい、見てみたい、そんな好奇心が勝ったのだ。


 ▽……。


 自ら「死」へと向かい、平穏を崩す行為に、どこか虚しさを覚えながら、足を進め続けた。

 それはいつの日かのモンスターを指しているかのようで、私は必死にその考えを頭から振り払った。

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