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夢の世界へようこそ

作者: ホワイトw


夢……それは寝て見るもの


それは人の中にある自分だけの箱庭


そこでは、自分の生み出したオリジナルの物語の劇が開演される


それは、楽しい物語、悲しい物語、そして……怖い物語、色々あるだろう


そこで起こったことは自分以外誰にもわからない……


しかし……


そんな夢が具現化して皆で分かち合えるそんなテーマパークがこの世に出来ている


もうお分かりだろう


そう『遊園地』である


私の家の近くにもあるのだが、その名も『裏野ドリームランド』

古びた外装であまり人気がなく、最近廃園になってしまったらしい


しかし、そこで私は一つの噂を聞いた


『廃園になった理由って……実はただ人気がだけじゃなくて、遊園地の『ドリームキャッスル』に入ると子供が消えるって話らしいよ』と、


どうやら、なにか曰く付きの遊園地らしい、深く聞いてみると、はじめはマスコットキャラクターがいて『中に誰かいるの~』と聞くと『誰もいないよ』と返してくれるテンプレだが夢のある楽しい遊園地だったらしいが、なぜか、人気はなくなり、収入がないため録にに改装もされず、ついには、廃園になってしまったらしい。


その場所は管理者がおらず無法地帯となっている


ちょっとした都会にたっている色褪せ赤く錆び付いた扉のついたその『遊園地』

今としては幽霊スポットと化したそこに

今日、訪問者があらわれる。


××××××


某日


窓から差し込む温かく明るい光に目が覚める、鉛のように重い体を起こし、壁に掛かった時計を見る


『6:34』


「そろそろ起きるときか……ん?」


改めて回りを見渡す、目の前には私の家の居間の景色、寝ているのはベッドではなくソファー、目の前のつくえには、赤く印が打ってあり、メモ書きがあちらこちらにされている町の地図、床に散らばった筆記用具に名刺入れ、風景から察するにどうやら、調べ事をしているうちに寝落ちしてしまったらしい。


軽く頬を叩き眠気を飛ばしてから、ソファーから立ち上がり散らかったものを片付ける、名刺入れを拾いながら呟く


『心霊学者:刻命雄二(きざみゆうじ)か……』



××××××


私たち、『心霊学者』という仕事は大きく二つの仕事に分かれる


一つ目は、心霊現象を記録、観察する作業


そして二つ目は、それを科学的に実証出来るかどうかの研究だ


ちなみに私は前者である


私の仕事:記録・観察に関して、実際にその場に足を運ばなければならない


今回いや、今日も実は調査するところがある


そこは、都会といったら都会に位置する道沿いに立った『裏野ドリームランド』という遊園地だ、理由としては、そこでは前々から子供が消えると言う噂が後を立っていたて、なぜか今でもその付近で子供が消えていると近くの住民が電話をかけて来たからだ。


まぁ、仕事だし行くしかない、何て言ったって、この不景気にこの特殊な職業、いつ稼げなくなるかわかない、さて……


これから行く『裏野ドリームランド』、果たしてどんなところなのだろうか


×××××××××


車に乗って約45分、私は今、茶色く錆びた鉄扉の前にいる

中には大きな城に様々な遊具、しかし、録に手入れもされてないらしく園内全体が薄暗い、外見だけでいえばホラースポットといった感じだが本当に子供が消えることなんてあるのだろうか


そんな疑問と共に沸き立つ未知の場所を探索するスリルの高揚を感じながら私は遊園地への第一歩を踏み出した


ーー遊園地・中央広場ーー


私はいま目の前には白く……いや、灰色にそびえ立つドリームキャッスルを前に立ち、撮影機材のチェックを済ませたカメラを片手に仁王立ちしている、そんな状況になったのもこの遊園地に入ってからだ


まず、空気感がここの中だけ異質だと言うことだ

それは別に、私が霊感が強いとかそう言うことではなく、凡人でも感じ取れる異質さ、あえて言うなら、さっきからへばり着くような視線を感じる、それは、私の体を包み込むような視線で、すごく不愉快で不気味だ


まぁ、そんなことはさておき……


「調査を始めるか」


※この物語は、淡々と始まった幽霊学者の作業の一部である


「中は思いの外きれいか……やはり異質だな」


中にはいるとまず見えるのが中央ロビーに大きな階段、階段は左右対称で目の前には大きな木が生えている


まず私は階段を登り部屋を一つ一つ調べ始めた




ドリームキャッスルの中を徘徊する中思った事といえば一つだけだった


「まるで夢の(・・)世界(・・)だな」


そう思うのも、私が見た限り、一部屋一部屋に役割あるような感じで、まるで人がすんでいる家のような作りになっているからだ


ふと、窓の外に目をやる


「外はもうすぐ夕暮れか……」


紅に染まった空を見ながら呟いていると


「!!」


何かがガラスに写り込む


驚きながらも後ろを振り向く


そこには案の定誰も何もないただの部屋、しかし……


「ドアが開いてる?」


たしか私はこの部屋に入るときにしっかり閉めたはずだ


しかし今は半開き状態


改めて思う


「やっぱりこの遊園地何かある……」



まぁ、そんな不気味体験をしたあと、帰るのが普通なのだろうが、いかんせんこれは"仕事"、べつに肝試しに来ているわけでは無いのだ、ここで歩みを止める訳にはいかない


そう心で確認


その後も淀みの無い異質なドリームキャッスルを徘徊する


そして最後の部屋、これで終わりかと思うと少々あっけないような気もする


そんな思いを胸にドアを開ける


ここは……書斎か?


はじめの感想はそんな感じだった、目の前には少し古ぼけた木の机に椅子、右の壁にはびっしりと本が詰まった本棚


部屋の中を見渡しても特に変なものは無し


まぁ、ついでに机でも漁っていこうかと椅子を引いたとき


「ことん……」


机の下から出てきたのは所々赤いものが付着した小さな靴だった


私はしゃがみこみそれを拾い、観察する


「なんでこんな物が」


そう、思いがらも赤い何かに触れる


「ヌチャ……」


それは、手に媚びり付くような独特な感覚と微かな異臭を放っていた


しかし、そんなことは気にせず、臭いを嗅ぐ


「これは!!」


その手に付着したものは……


紛れもなく"血"だった


それに、気がついたとき、不意に自分に影がさす、あわてて上を向くとそこには


一体のマスコットがこちらを見ていた


驚きのあまり少々固まってしまったが、


こんな好奇滅多にない、何か……何か言わなければ


そう思いながらも口を突いて出て来たのは


「お、お前は誰だ中に誰か入っているのか?」


そうな、ちんけな質問だった


的を射た質問ながらもなんと面白味の無い質問だろうか、そう思っていると目の前のそれ(・・)は答える


「わたしはこのドリームキャッスルの主のペット、メープルキャットのメルって言うの、それに中に人、なかにはだーれも(・・・・)いないよ」


と、特に取り繕った様子もなく楽しそうに答えるそれ(・・)、しかしまだ会話は続いていた


「だけど、それ……」


その視線は私がもっている靴へと向けられていた


「それ、あなたは見てしまったのね」


少し声色が暗くなる


それに乗じて改めて靴を確認する、血の付着した小さな靴それが意味するものは……


そう、思案にふけっていると、背後に殺気を感じ、反射的に飛び退く


ブンッ


そこを通ったのはマスコットの腕、改めてマスコットをみる


表情に変化はなく、相変わらずファンタジーな顔をしている


しかし、まさか攻撃してくるとは驚いた


そう思いながらも相手の行動を観察し、次の攻撃に移るのを確認し反撃に出る


真っ直ぐに放たれた殴りを手の甲で弾き顔にアッパーを叩き込む


ガンッ


そんな鈍い音と共にマスコットの顔が外れる


「つっ!」


それは驚きしかなかった、何故ならそのマスコットの中には本当に誰も入っておらず空っぽだったからだ


そんな驚きに体の動きが鈍くなり、殴りを腹に受けてしまう


ゆっくりと倒れる体は止まることなく床に突っ伏す


次第に薄れていく意識のなか、私はマスコットが発した言葉を耳に焼き付けた


「貴方は色々……みてしまった、でも大丈夫これは……そう、夢……だから」


そこで私は意識を完全に失った



××××××


「……っ」


とても蒸し暑いなんだこの空間は


からだの感覚と意識が回復し私は体を包む光と蒸し暑さに悶える


その反動で目をかっと開ける


見えたのは天井それも私が住んでいる家の天井


ん、家の天井?


その違和感が体を駆け巡る、そして知覚する


(そうか……あれは夢か)


「ははっ」


なんと言うか呆れるな


夢の中でもホラーとは、職業病だろうか


かすれ笑いをあげながら体を起こすと、腹の部分にあった何か(・・)が「ことん」と床に落ちる


それは……


書斎で見つけた血の付いた小さなくつだった



×××××


それから一ヶ月後……


私は今も心霊学者を続けている


あぁ、あの遊園地のことかい


実は、あの後一週間位したら急に取り壊しになってしまってね……


まぁ、それくらいならよかったんだけど


いざ壊してみたら、ドリームキャッスルの床から数十体にも及ぶ子供の(・・・)死体が出てきたらしいんだ、それも新しい死体は約一ヶ月前に死んだって言うんだから驚きだね……

全く、とんだ所に調査に行ったもんだと思ったよ


まぁ、そんな体験談はさておき、今日はどこを調査しようか


机の上に使い古された地図を開き思案する



―終―





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