時間
時間はない
時間がない
一秒減る
一秒過ぎる
音なく
消えて
戻ってこない
せめて
時間に裾があれば
ちょっと待ってと
握ることが
できるのに
早く消えて
なかったことに
流して
と
胸かきむしるように
もがくことも
あるけれど
行かないで
消えないで
と
手を伸ばすこともある
時間の顔は
身勝手な心には
いくつも見えて
化粧を施し
香りをつけて
あの頃、という
箱の中へしまい込む
どうにもならない
に
押し流されて
幻に落ちてゆく様を
見送るだけ
と
知っていながら