19・え、犬でしょ?
いつも読んで頂きありがとうございます。
華サイドです。
野営って野宿だよね。
私の仕事は枝を集める事。
ひたすら枝を集める、生木は駄目だと言われたけど、見分けがつかない。
だから目に付いたもの全部。
大きな枝は持てない。
しんどい。異世界、ハードだね。
結界の絡みで道のすぐ側じゃなきゃ危険なので、枝なんか近くには落ちていない。
でも、離れすぎると危険!
どうしろっていう感じです。
あっちにウロウロ、こっちにウロウロ。
数なんて高々知れてます。
コナーさんの所へ持っていくと、苦笑いされました。
そして、座ってろ!とも。
理不尽です。断固抗議です。(出来ません)
暗く成り始めた頃、コナーさんは馬車から薪を取り出しました。ええ、そうです、薪です。立派な薪でした。何とも言えない気分になりました。
何故枝が必要なのか?それは、着火用なのです。持ってきた枝のほんの少しだけ使いました。
本来なら、夜の間は交代で見張りをするみたいだけど、私が役立たずなのでコナーさん一人でやるらしい。
そもそも一人旅の多いコナーさんにとって
普通の事なんだって、街に着いたら寝るらしい。遠出の時は護衛なんかを雇うから
上手くやれるんだって。
変装この時に使ったマントを借りて雑魚寝しました。
日が昇る前に起こされ、出発の準備をし、二日目がスタートした。
王都には昼過ぎに着く予定らしい。
朝の準備の時に鞄の中を見ると
サイドポケットに一冊の小説とメモ書きが入っていた。
(これマジおすすめ、入れとくからな!
正之)
正之君、勝手に鞄の中に・・・・
てか、勝手に鞄開けるなんてサイテーだ。
どうせなら、役に立つものが良かったよ。
小説の表紙を見ると『転生講座、これで貴女も転生マスター』
うん?何これ、物語じゃ無いの?
辞典?何でこんなものがあるの?混乱していると、コナーさんに呼ばれる。
「おい、遊んで無いで早く用意しろ!
もう出来ているのか?出来ているなら行くぞ」
慌てて馬車に向かう。眠そうなコナーさんには悪いと思うけど、私は馬車を操れない。
だから昨日と同じく大人しく横に座る。
どうもさっき見つけた辞典?が気になる。
宿で鞄の中を見た時は無かったと思うけど、見落としたのかな?
取り出して軽く中を見る。
はじめのページに注意書きがあった。
『これはフィクションであり実際の云々』
うん、こっちはノンフィクションですよ。
王都に着いたらゆっくりと見てみようと思った。
道の途中でコナーさんが草原の先を指差す
遠くに犬っぽい群れが見える。
「あれは、狼じゃなくてモンスターだ
狼より頭が良い。護衛無しだと終わりだ。
まあ、結界が有るからこっちには来れないけどな」
(初めて見たよ!モンスター)
遠すぎるから良く見えないけど、以外と普通の姿なんだね。
フルールが見たモンスターは《バイトウルフ》
ズル賢く、戦略的な狩りをするモンスターで体長は2メールを越える、5匹程度の群れだが大型の獣程度なら簡単に襲う。
決して普通では無いのだが、草原という環境で比較対象が無いのでフルールには犬程度に見えていた。
大昔は、ここまで結界が整備されて居なかったので、日帰り程度の旅でも命懸けだったから、今の様な環境によって辺境だったこの国も発展できたそうだ。
簡易結界を導入した人物はハッキリ伝わって無いらしい。
私財をなげうった大商人とも現状を見かねた大魔導師とも知的魔族を倒した英雄とも、それこそ物語の主人公として数多存在しているそうだ。
昨日と違って、コナーさんは積極的に話してくれる、昔の失敗談、旅した不思議な場所、モンスターの恐ろしさ。眠気覚ましも兼ねている様だ。
たまに話に出てくるサリーさん?って誰だろう?懐かしそうな優しげに話すコナーさんが印象的だった。
遠くに大きな城壁が見えてきた。
いよいよ王都だね。
次回更新から18時に変更となります。