17・馬車の旅
いつも読んで頂きありがとうございます。
フルール(華)サイドです。
コナーさんが言うには、どれも再現出来れば王国一の商会になれるらしい。
ごめんコナーさん無理です。
私は、コナーさんに会うまでをかいつまんで説明した。異世界であること、変な穴に吸い込まれた事。上手く伝えられたか不安だけど、解らない物は解らないしどうしても、私の主観で語ってしまうのは仕方がないよね。
コナーさんはうなずいたり、驚いたり、首を傾げたり。
説明が下手なのと、そもそもの出来事が信じられないのとで困っているように見えた。
コナーさんの提案は、このまま一緒に王都まで行き、王立図書館で過去の文献を調べるのが近道なんじゃないか?と言って来た。帰り方や、今までに同じようにこの世界に来た人が居るかも知れない!などを。
特に反対も無いので了承する。
ただ無一文なので、どうにかして現金を入手する方法を考えたいと言ったら
費用は俺が出すって言われた。
その代わり、この世界で再現出来そうな何かを教えて欲しいとも。
うん、異世界で商売無双。
正之君、こんな感じで良いのかな?
始まってすら無いけどね。
コナーさんは、ドールの町に用は無かった様だ。目的地はスィエル王国、そこの商業ギルドに商品を納めるらしい。
ここの王様はあまり評判が宜しくないらしい。
先代が偉大だったとも。まあ、王様なんて庶民には関係無いし、会うことも無いだろう。都会かぁー。人が多いんだろうなあ。
「フルール、そろそろ王都に向かう
若干遅れ気味なんで少し急ぐぞ」
宿を出て馬車に乗る。昨日とは違う入り口に向かう、王都はさら西に有るらしい。
警備兵に積み荷と証明書をチェックをして貰い町を出る。ドールの町から王都まで二日間の道のりらしい。護衛はギリギリ要らないらしい。ギリギリってやだな。
私の事が有るから、なるべくなら人目に付きたくないらしい。私はそれほど危険な存在だと何回も言われる。
二日間って事は、一日は野宿なの?
てか、お風呂入りたい。
コナーさんが言うには、お風呂があるのは超高級品宿で、コナーさんですら泊まった事が無いらしい。
普通は宿で体を拭くか水浴びなんだって。
冬とか、風邪ひくよね。
日本て何気に凄かったんだね。
無くなって気が付くって本当だったんだ。
馬の制御はコナーさんがしてくれているので暇である。
馬車ってかなり揺れるから寝る事も出来ないし、鞄の中に入っていた正之君が押し付けて来た小説も読めない。
長閑な道で変化があまり無い。
コナーさんは話しかけてくれない。
どうしよう?話しかけた方が良いのかな?
邪魔かな?どうして良いかわかんないよ。
「コナーさん王都ってどんな所ですか?」
沈黙は無理です。情報って大切だしね。
「スィエル王国の首都で王が居る、
この国じゃ一番大きな街だな。
ただ、プリュイ大陸で見ると、辺境に位置してるな。国自体も小さい。
これは向こうで言うなよ、洒落にならんからな。あと、街に着くまでに証明書の設定を覚えておけよ、怪しまれたら確認が取れる迄拘束だからな。
設定を書き写したノートを見ながら暗記していく。覚えるべき内容はかなり少ない。
少ないが、身の安全の為となると
多少の揺れなど気にして居られない。
馬車の旅の一日目はそうして過ごした。
次回更新も12時(正午)です。
思ったより華サイドが長引きそうです。