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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ユウリside

えっ!魚、大量に茹だったまま放置?

ユウリ「…まあ、失敗したしね。…でも数匹持ってきときゃ良かった。夕飯に!」

いやいや、ユウリさん?環境破壊、半端なくない?

ユウリ「…きっと誰かが片付けてるよ。まあ、生より腐りにくいし、大丈夫でしょ…。」

……。いやいや、生より腐りにくいしっつってもね?潮水に浸かりぱなしよ?キツくない?

いやいや、苦笑いで済ませれるようなさ、状態じゃない気が……。

ユウリ「…数匹持ってきときゃ良かったかな。勿体ない。…」

……。うん。図太い。数匹持ってきときゃっ、てね、水面揚がってきてたの、すごい量だからね?数匹じゃないから!落ち込む所、違うからね?

ユウリ「…今更、戻れないでしょ?…開き直るしかないじゃん…。」ぼそぼそ。

……なんか言った?

ユウリ「ん?いんや、べっつにー?夕飯に持ってくの忘れてたなぁ〜って。」

…ユウリ……。いいのか、それで……。

とりあえず、2・3時間ほど生い茂った林の中を馬をゆっくり進ませた。虫系魔物を剣閃を飛ばしながら。この場所には、地面を這う虫が多いようだ。まだ海からそこまで離れられていないからだろう。川幅が大きく、曲がりくねっている。

ここまでくれば、もういいだろう。必要分だけの大きさで結界を張る。ササメは、まだ、気を失ったまま。あいつ、潮水が弱点だと言っていた…。

思い出して、少し歯に力が入る。ササメを馬か

らそっと地面に下ろすと、服を脱がしていく。手が、アイツが触った所にいこうとするのを必死で抑えながら、顔を背ける。そのまま、嫉妬に駆られたら、ササメに手を出さずに居られる自信が無かった。…両想いなのだからいいのか?…いや、この状態ではなしだろ…。

どちらにしろ、ドロドロした感情でササメちゃんに触るとササメちゃんが穢れるような気がした。

川に、入ってササメを洗う。と言っても、水につけてあげただけだが。ササメの呼吸は、浅く早いままだった。優しく顔を濡れた布でふくと、そっと毛袋に潜り込ませた。そのままでも、風邪はひかないけど、目に毒だし、地面に置きたくはなかったから。

その間に、服や、外套を洗い、枝に引っ掛けて、すぐに焚き火を起こす。自分も濡れた服を脱いで、火と自分の周りに熱遮断の結界を張り、火にあたる。熱を遮断する結界を張っていても、まだ、時間もたってないし、この時期はまだ、寒かった。

「ふだん、こういう事はササメがやってくれてたからなぁ…。すぐに乾かないのは不便だなぁ。」

俺がやると焦げさせてしまったり、縮んだり、とにかく生地が(いた)む。水分を纏めて服から引きはがすことが俺には出来ないから。

それより、ササメだ。俺の冷えた指先より、ササメの方が暖かく感じた。かなり、マズイんじゃないだろうか。魔力の補充はしたけれど…。

腰をおろし落ち着くと、後頭部がズキズキし、あちこち、軽い痛みを訴え出す。軽く、火傷と、殴打ってとこか。

ハハッ、魔力で防御してもも、思ったより威力が出過ぎて、自分で出した技で傷ついてりゃ世話ないわ。…情けな。

治癒は正直、得意じゃない。魔力を大量に消費して、できないこともないが、効率が悪すぎて、体力的にも何もしない方がマシなのだ。

なんか、もっと情けなく思った。

「こういう時のために、治癒ぐらいは覚えておくべきだったか。はぁ…。」

そのまま、焚火を続ける。

だんだんと温くなってきて、ウトウトしていた。

服は半乾きだったが、とりあえず、もう着て、熱遮断の結界からでる。ササメはまだ、息が浅く早いままだった。

心配だった。目を覚まさないことが。まだ、数時間しか、経ってなくて、でも、このまま目を覚まさずに、弱っていくのではないかと不安で仕方なかった。

近くに座り髪を触る。我慢できなくて、キスをしながら魔力を注ぐ。最初は、ビクッとササメちゃんが反応するが、すぐに抵抗がなくなる。薄く、ササメちゃんの目が開き、ふにゃあ、ってとても嬉しそうに笑う。小さく、口がユ、ウリって動いて、スッと眠る。目尻から、また、涙が出ていた。頬を撫でる。

自分でも、驚くほどホッとして、満たされる。まだ、体調は優れないのだろうけど、ササメちゃんの顔色が幾分か良くなった気がした。






服は着せたんですか?

ユウリ「ササメの?」

うん。

ユウリ「そりゃ、着せたよ。だって、起きた時に、裸だったら、ササメちゃんすごく驚くでしょ。」

ササメ「毛袋から出れないじゃん。そんなの嫌だよー?」

ユウリ「ええっ!それだけ?なんか、思うとことかないの?」

ササメ「?だって、ユウリは私の意思尊重してくれてるから、意識失ってるときに何かしないでしょ?」

ユウリ「…いや、まぁ、そりゃあ…でも、俺も男デスヨ?」

いやぁ、辛いですなぁ。ハハッ、信頼、裏切れませんなぁ!ポンポン

ユウリ「…解説、その肩においた手を砕いていい?」

いギャ!何か、既に手に力が入ってるから、笑顔の癖に、…イラって来たから八つ当たりとか。や、や、やめ''ぇぇぁいだぁぁぁぁああ!!!


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