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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ササメside×人魚

ユウリ「ええっ!なんで!なんでササメちゃん?ここは俺じゃないの?」

ん?何?誘惑されたかったの?

ユウリ「ササメちゃんの姿で、罠にかかってみたかった…。」

ササメちゃーん!!ここに裏切りもフンガフガ

ユウリ「な!なに!解説!そこは黙って置くもんじゃないの?ねぇ?」

フンガフガ。ドンドン…㌧

ユウリ「んー。この調子じゃあ、手は離せないかな。」

クルス「おーい、ユウリ。ソイツ、息継ぎできてないぞ。」

ブクブク。


あ〜、死ぬかと思った。

クルス「いや、だからな、お前多分死んでたから……。」

どこからか、唄が聴こえる。海に来てから、身体が怠く感じていた。だから、眠りが浅かったのだろうか?ユウリは眠ったまんまだったので、そっとテントから出る。

薄暗い、石の通り道を波の音がする方に出ていく。洞窟の出入り口まで来ると、尖った岩の影がいくつかあり、月が下半分ぼんやりうかんでいる。霧も少し出ているようだった。

そのまま、石畳のような所を歩き、唄の聴こえる方に歩く。

海の横をそのまま歩くと、最初についた砂浜に着く。そこの沖の岩の上に、誰かの影があって、そこから唄が聴こえる。

自分でも、どうして出てきたのか、よくわかっていなかった。きっと、綺麗な唄声だったからだろう。そう、思った。

すっと、海の方に足が向かう。潮水に足が浸かった途端、身体から力が抜けていく。 それ以上進まない方がいいと思うのに、何故か、身体が海に向かう。息があがってきて、胸が痛い。

「おや、変わったのが引っかかった。雪女だなんて。潮水に浸かるなんて、自殺行為だろうに。」

綺麗な唄声の主がこちらを向く。

「…ユ、ウリ?どうして…」

そんな筈ない。ユウリは、洞窟にいる。

「まぁ、魔力はそこそこあるし、美味しそうだ。フフッ。しかも、好きな相手がいるのかな?」

声が頭に入ってくる。不思議な声。ユウリじゃないのに、ユウリの声みたいに感じる。身体の芯から痛みと熱さが駆け上がり、頭がうまく働かない。唄声が切れてから、身体から完全に力が抜けて海に沈んでいく。苦しい。口から潮水が流れ込む。

誰かが身体を掴み陸へと引き上げる。

咳き込む合間から、引き上げた相手の声が聴こえる。

「海で自殺なんて、勿体無い。僕が、美味しく頂いてあげる。」

なんで、ユウリじゃないのに、ユウリの声に聴こえるの?わからない。苦しい。

月の明かりで、ボンヤリ相手の顔が見える。そんな筈…そんな筈ないのに…ユウリ?どうして?私の目も、耳も、違うって違和感があるのに、ユウリじゃないのに。

声で身体が痺れてくる。力が入らない。潮水のせいなのか、声のせいなのか…。キスをされる。

違う、嫌だ嫌だ嫌だ!ユウリ!!

身体に力が入らない。違うのに!こんなの嫌だ!

徐々に魔力が吸われていく。意識が保てなくなっていく。身体に服の上から(いじ)られる。

涙が溢れてくる。

「大丈夫。好きな相手との最中に逝かせてあげるよ。」

その声を最後に何も分からなくなった。


人魚(女性)「このヘタクソ!違和感を感じさせるなんて下手も、いいとこよ!」

人魚(女性2)「そうよ。そうよ。美味しく頂いてあげるのは、私達の義務みたいなものよ!命を頂くんですもの。せめて、最後にいい夢を見せてあげないと!」

人魚(女性3)「そうよ。下手くそだから、魔魚ばかり喰ってるくせに、いつでも、人間食べれるような発言しないでほしいわ!!」

人魚(男性)「うるさい!うるさい!女性の方が多いからってでかい顔すんなよ!実際、唄の誘引には引っ掛かったんだ。気持ち良く気絶してんじゃん!」

人魚(女性1)「へぇ?涙を流しながら?」

人魚(女性2)「へぇ?弱ってるところに魔力を一気に奪っておきながら?」

人魚(女性3)「へぇ?女性の扱い方も知らないの?」

人魚(男性)「う、うるさい!喰えりゃいいんだよ!ちくしょぉぉぉおお!!」

あ〜、走って逃げた。まぁ、ここまで追い詰められりゃ、うん。仕方ないねぇ……。

ふだん、肩身の狭い男性人魚 でした。



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