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雪女と少年  作者: 干からびた芋
93/163

ユウリside

クルス「なぁ、解説。俺らの出番これで終わり?」

うん。多分。もう出てくることないと思う。

クルス「もっと出せ!俺様居ねぇと始まんねぇだろ!」

スゲェ自信だな。おい!

ジョエルさんも、もう出ないかと。

ジョエル「いや、たぶん、また出てくるさ。」

その自信はどこから?

ジョエル「なんとなくさ。」

それ言われると、突っ込みようがないですな…。

ササメ「わあ~ 」

ササメちゃんは、初めて海を見た時、とても驚いていた。目を(まある)くして驚いていた。

ササメ「…すごい…こんなに、大量の水。ずっと向こうまで続いてる。こんだけ水があったら、水不足はなさそう。」

ユウリ「あ~、俺も初めて見たけど、この水、塩水らしいよ。だから、水不足は解消されないよ。」

海岸沿いを歩きながら、

ササメ 「そうなんだ。ふふ、海に氷浮いてるのね。魔物さえ居れば、海でも、雪女って暮らしていけそう。」

ササメちゃんは可笑しそうに笑って、そう言った。

ユウリ「あの氷、融けるらしいよ?大元から離れて流れてきたものなんだってさ。」

ササメ「うん。でも、山みたいに人が入ってくることないし、大元から離れたって事は、氷の島が、きっと、この先在るのよね?」

ユウリ「あー、その氷の島、人住んでるから。なんでも、海の魔物を軽々と狩る、凄い強い種族が居るらしいよ。海の魔物ってあんまり想像つかないけど。」

ササメ「そっか、…残念。っていうか、ユウリみたいな人や、普通の親切な人達ばかりだったら、みんな仲良く暮らせそうなのになぁ。」

そう言って背中を俺に預けながら、顔を上げ、上目使いで、笑いながら俺を見る。

散々、狙われ、騙されかけ、色々思うとこがあるのだろう。少し、疲れているみたいだった。ササメちゃんは、寒くない筈なのに、寒そうにして、俺に擦り寄る。俺は軽く笑ってから、そっと、肩を片手で抱き寄せた。


♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦


1ヶ月前、アジトを後にした。


何時までも、居る訳にはいかないのは判ってた。そろそろ、出て行こうかと思っていた。修行もつけてもらっていた。ササメと相談して、明日、出て行こうって。

そうして、ササメが食事に出ている間だった。

そんな時、地面の人が、すっと部屋の隅に現れ

「悪いが、今日中に出てってくれ。」

そう言った。切羽詰まった顔で。

ユウリ「何か、あったんですか?」

「王都から、再び討伐隊が出る噂が流れている。今まで、それだけの損害や労力を割く価値がないから、放置されていたのに、だ。…これ以上、此処に留めるわけには…。あんたらが、出ていけば、恐らく、この話はなくなる。」

ユウリ「わかりました。元々、もう出ていくつもりだったので、ご迷惑おかけしました。」

ササメが戻って来ると、事情を話し、今日中に出ていくことにした。

ジョエルさんやクルスさんに、これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。

ユウリ「今日、出ていきます。今まで、ありがとうございました。」

ササメ「色々、お世話になりました。」

そう言って、深々と頭を下げた。

ジョエル「まだ、指導したいとことかあったんだけど、まぁ、仕方ないねぇ。」

ジョエルさんは、少しがっかりしていたようだった。

クルス「おい、俺が鍛えたんだ。そんじょそこらの奴に捕まったら承知しねぇからな!」

不機嫌そうな声を出し、ふぃ、と横を向いてしまう。ササメが言うに、クルスさんなりの照れ隠しだそうだ。ササメが、笑って巫山戯て「がってん承知でありやす。」なんて盗賊風に手をあげるから、クルスさんが吹き出しつつ、腕と腕を軽くぶつけ合わせていた。

出ていくことに気づいた数人の盗賊達(もとエルちゃんシンエイタイに、

「お、エルちゃんとこのお嬢ちゃん、出ていくのか?」

「アンタらが来てから、お頭、笑って機嫌のいい顔が増えてたからよ。ありがとな。」

「また、近くによったら、訪ねてきてやってくれよ。ああ、見えて寂しがり屋で、昔はよく隠れて泣いてたからよ。」

等と、声をかけられていた。ササメが、ジョエルさんの親戚か何かと、勘違いされたままだったからかな。ジョエルさんがその方が都合がいいし、ほっときなって言ってたから。

俺には何故か、「泣かせたら承知しねぇぞ。」「何かあったらわかってるだろうな?」なんて、脅しの言葉だったが…。

まぁ、そんだけジョエルさんは(した)われているのだろう。いい人だし。

そうして、出て行って、最初に大きな街に戻ることにした。自分らが、盗賊のアジトにいない事を、ハッキリと示すために。

そうして、また、転移陣を使って移動した。依頼をこなし、その間、妨害や、余計なチョッカイをかけてくる奴をいなした。また、移動し、引っ切り無しにやってくる奴を、何人かは殺さず倒し、そうして、噂が沢山出るようにした。もちろん、その分、狙われる回数も増えたし、大変だったが。そうしてから、街を出て2人で馬をかけ、村を何個か通り、そうして、やっとこさ、海まで出たのだった。


ユウリ「バタバタしてたから、やっと、のんびり出来る~。」

おー、グッと腕を伸ばしてストレッチですな。

ユウリ「後は、ササメちゃんとしっぽり出来たらいいな~。」

……。人魚に喰われてしまえ!!

ユウリ「やだな、いくら海でも、人魚なんて早々現れないでしょ。…いや、現れないよね?」

なになに?!殺っつける自信ないのぉ~?クフッ

ユウリ「いや、だって、唄で好きな人の幻覚見せて惑わすんでしょ?んで、搾り取るっていう…。」

ちょっと!下ネタ入ってるよ。どの程度までオッケーなんだ?これアウトっぽくねぇ?

ユウリ「いや、だって溜まってるしねぇ…。」

おい!アウトじゃねえの?止めたげて!!

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