ササメside
ササメ「ケンカの原因になるはずないじゃん。」
と、申しておりますが
クルス「なるって!だって、こないだの、2人で話したとき、ユウリって奴、こっちめっちゃ睨んでたからな!」
うん、確かに、睨んでおりましたな。
ササメ「気になるから、見てただけでしょ。怪我もしてたし。敵だったし。」
クルス「おまっ…何で、ユウリが嫉妬なんかしないと思うわけ?」
ねー、さっきの、ケンカ中も、怒ってたように思うよ。
ササメ「だって、私がユウリの事好きなの、ユウリ知ってるし、他の人が、私の外見に興味持つとは思えないし、心配いらないでしょ? それにさっきの怒りは隠し事に対してでしょ?」
いやいや、それだけじゃないですよ。
ササメ「そうかなぁ?」
クルス「大丈夫って解ってても、不安になるから、恋なんだよ。まだガキのあんたにゃ、わからんだろがな!」
ササメ「…どうせ、ガキだもん…。」
クルス「げっ、泣くなよ。あ〜、もう!悪かった!だから、泣くな、な!怖いんだよ、後ろからめっちゃ、睨まれて!!」
うお、後ろにユウリ、確かにおりますな。なんか、どす黒い、オーラ出しておりますわ。
ユウリ「ササメちゃん、泣かせないでくれませんか?」
クルス「笑って威圧するとか、もう、勘弁してくれぇぇえ!!!」
外に出ると、頭が、すっとする感じがした。洞窟内は、少し暑かったから。外の気温がホッとする。空を見ると、星がいっぱい広がっていた。
ササメ「もう、離れる意味が薄れちゃったな…。」
寿命が短い事を知られてしまった。でも、これで良かったのかもしれない。私、ユウリと離れる自信がなかったから。結局ずるずる一緒にいて、バレてしまってただろう。
ササメ「クルスさんも、外に出てたんですね。」
少し、開けた場所の木の上に腰かけようと思ったら、先客がいた。
クルス「チッ!何でこっち出てくんだよ…。」
枝別れしてるところに脚を乗せて、くつろいでいたようだ。
ササメ「えっと、なんとなく?」
仕方ないから、幹に背中を預けて立つ。
クルス「……言っとくが、俺じゃねぇからな。」
ササメ「…うん。そんな気がした。でも、ジョエルさんは、どうしてわかったんだろ?」
クルス「そりゃ、魔力制御ミスったからだろ。不自然に乱れてたからな。アレに気づかねぇほど、ジョエルは甘くねえよ。」
暗に、ユウリもまだまだ弱いって言われてるのだ。少し腹が立ったけど、悔しいけど、言い返せない。
ササメ「…アレがマズかったのかぁ。…ねぇ、良かったら、鍛えてくれない?さっきの、全然ダメだったし。」
強くなるしかない。
今まで、ユウリに頼りすぎだった。ユウリが、倒れた途端にこれだもん。このままじゃ居れないよ。
クルス「さっきの場所、もう、暗いぞ?外でやると、姐さんが、アジトの場所ばらすなってうるさいし。」
ササメ「じゃあ、痛覚遮断。その方法!だめ?」
龍なら、たぶん知ってるはず。部位操作ができなくても、全体にかけておけば、魔力制御が乱れることもないだろう。
クルス「…オススメはしない。それ使ってて、いきなり動けなくなったりしたら、もう手遅れだ。…それと、もう寝ろ。2人でいると、ユウリに誤解されるぞ?」
断られちゃったか。そう、思った時に、次の言葉を聞いたとき、笑ってしまった。クルスさんは、不機嫌そうに、ちっ!何なんだよ!って悪態ついている。爆笑してしまって、少し落ち着いてから、答えた。
ササメ「寝れそうにないから。それに、誤解されるって何を?クルスさんは龍だから、恋愛はタブーでしょ? 」
長生きな龍は基本、恋愛はしてはいけない。その後が長く、1つのツガイで居る事はない。ただ、時期が来れば、決められた相手と子を作る。 人に恋する変わり者の龍も、たまに居るらしいけれど、その後の永い時に耐えきれず狂うのだそうだ。
雪女は基本、単体繁殖で、魔力の分離によって生まれ、親と同じ外見に育っていく。でも、いろんな外見の雪女が居るのは、昔から、雪女が人と交わるからだと聞いている。わざと、子供の外見を変えるために、一夜限りの関係を持つ昔話も聞いたことがある。人に知られている雪女の話は、ほとんどコレらしい。ただし、雪女も、龍程ではないが、恋愛は推奨されていない。一夜限りと違って、たまに、短命の雪男が産まれるから、らしい。
クルス「…ユウリがそれを知ってるのか?それに、恋愛タブーなのは雪女もだろう。」
ああ、そうか。ユウリが嫉妬するかな。
ササメ「龍程ではないから。それに、魔力分離出来る程、魔力溜め込むことないだろうし…。」
魔力溜め込むほど、長生きも、無駄喰いもしない。いや、出来ないって言った方が正確かな。
でも、ユウリにそっくりの子供、可愛いだろなぁ…。
ササメ「でも、そっか。う~ん、ユウリも無知だったからなぁ…。どうだろう?私と離れてた3年の間、色んな経験とか、情報仕入れてるだろうけど。」
でも、この外見で、他の人が興味持たないだろうことは予想出来るし、嫉妬なんかするだろうか?
首を傾げてから、頭を振り、
ササメ「寂しいけど、嫉妬なんかされないだろうな…。」
クルス「…まぁ、俺はそろそろ退散させてもらうわ。ケンカの原因になるのはゴメンだしな。」
クルスさんはアジトの中に戻って行った。
風飛びで、木の上の方に座って星を眺める。
ユウリは、たぶん、私が寿命が短い事を隠してたことを知った時、私が離れるつもりだったのを感ずいて、怒っていたのだろう。
逆の立場だったから、ユウリも考えた事だろうし。本来なら、ユウリが先に寿命を迎え、私が取り残されるハズだった。でも、ずっと、もっと先のことだと考えていた。色んな事、ユウリとして、一緒に食事して、一緒に暮らして…。んで、ユウリが、少しずつ歳とって、最終的に、どうするつもりだったか。それだけなのだ。
自分の死を知らせ、泣かせてしまうのか。それとも、たぶん、死んだんだろう。でも、生きてるかもしれないって希望を持たすのか。
どちらが、相手は苦しまないのだろう。
自分が死んだ後、前を向いて生きていってくれるだろうか?
それなら、思い切ってずっと一緒にいた方がいい。
私が死んだ後、また、誰かを好きになって、幸せに暮らしてくれれば。子供や孫に囲まれ、静かに息を引き取る。そうなるなら、別に死もそんなに怖くない。
私は生きている間、愛してくれてたら、それで十分だから。
でも、生きる事が辛くなってしまうのなら、嘘でも、生きてるって、希望があった方がいい。
ずっと、思い続けてくれるのは嬉しいと同時に、ユウリを残していく事が、とても怖いと思う。
それを思うと、すごく、死にたくないし、イヤだ。
私の死後も、ユウリにはちゃんと、生きていて欲しいのだ。
その場合、ユウリと離れて隠れて死んだ方がいい。
たとえ、離れていても、どこかで生きていてくれている。そう思うだけで力がわく事があるのを私は知っているから。
まぁ、寿命が短い事を知られているから、効果が薄いし、もう、私が集落に帰るって言っても、使い魔契約は解除してくれないだろう。使い魔契約してたら、相手が死んだかどうかは、すぐわかってしまう。
あと、3年。まだ期間はある。どうすべきか、悩むのだろうな。
まぁ、普段は忘れてるかも。そうこうしているうちに、行き当たりばったりなのかもしれないし。
ササメ「子供、欲しいな。ユウリの子供。」
好きな人の子供は欲しいですよね~。
ササメ「うん。魔力溜め込んでないから、無理なんだろうけど、いつも一緒に手を繋いで寝たりしてるし、できないかな…。」
うん?ササメちゃん、因みに、子供は、どうやって作ると思ってるんです?
ササメ「そ、そんなの、言えないよ。恥ずかしい!」
うん。知ってると思ったんだよ。なのに、何で手を繋いで寝たりしてるし、で子供できないかなぁなんて思ったの?
ササメ「だ、だって服を脱ぐか脱がないかの違いでしょ?手で繋がってるし、人と、交流してるんだから、交わってるでしょ?」
あ〜、その辺の知識は、きちんと教わらなかった?
ササメ「?どういう事?」
ユウリ「うん。大丈夫。その辺知らなくても、俺が、ちゃんと、優しく教えてあげるから。」
ササメ「ゆ、ユウリ?」
ユウリ「子供が欲しいなら、繋げるのは手じゃなくて…」
はあああい!!そこまで!!ダメですよ!下ネタは!
ユウリ「ちっ!解説め!…ササメちゃん、後でじっくり教えてあげるから、安心して。」
こら、エロユウリ、ササメちゃんから離れやがれ。
ササメ「ユウリの息が耳に当たって、こしょばいよ。
」
うわ~、もう既に、ササメちゃん顔真っ赤。あ、ユウリ、ササメちゃんの耳にキスした!ああ、ササメちゃん、ダウン!
ユウリ「うーん、まだ、当分先かな。」
まぁ、このおボコさ加減なら、そうだろね。