ササメside
何処に住んでて、どれくらいかかるのか、気になっていたけど、それよりも、同じくらいの年の子がいないって聞いて、じゃあ友達確保しときたいなって思って勢い込んで言ったら、すっごい笑顔で喜んでくれて、打算で言った自分が恥ずかしかった。それでも、話しかけてきてくれるのが嬉しくて、話を聴いていると、すぐ着くところに家があるって言うし、高ランクの魔物が少ないって、それ嘘だって思った。
あの山には結構強い魔物もいるし、私達、雪女もいる。まぁ、魔物を見つけたら、私達が魔力を吸い取って生きる糧にさせてもらったりしているけど。…多分、ユウリは上手いこと言われて騙されたんじゃないかなって思った。まえに、セツナおねぇちゃんから、「人間にはね、都市部にいる浮浪児達を減らすために、死ぬかもしれない危険なところに使い捨ての労働力として、上手いこと言って、騙して連れてくる人も居るの。同族に対してよ?…だから、人間には、気を付けないとダメよ?」って聞いた事があった。私は心配になって「ユウリは魔法は使えるの?」って尋ねた。「う''…あんまり使えない。魔力変換は少し出来るみたいなんだけど、どうやったら使えるのかわからなくて…」ユウリは苦笑いしながら答えている。「ふ~ん。」私は相槌をうちながら、このままじゃ、すぐに死にそうだなって思って「じゃあ、あの湖まで来ることがあったら、少しくらいなら、教えられると思うよ?」と提案してみる。すぐに死なれたら、つまらない。「ほんと!?ありがとう!!」ユウリは勢いよく振り向いて、満面の笑顔をしながら、繋いだ手を両手で掴んで勢いよくブンブン振り回す。これだけ喜ばれると、やはり少し後ろめたかった。なので、俯いて「…うん。」と、返した。