クルスside
結局、刺客1さん、誰が運んだの?
クルス「姐さんに決まってるじゃん。…俺はイヤだ。」
ジョエル「まったく、情けないねぇ!」
クルス「すんません。」
クルスがやけに素直。ビックリ!
クルス「バカ、謝るだけで、嫌な事をせずに済むんだ、安いもんだろ!」コソコソ
え?そんな理由?しかも、小声で?
ジョエルさーん!!
クルス「ば、馬鹿野郎!何バラそうとしてんだ!そこは内緒だろ!」
ジョエル「ん?何が内緒だって?」
クルス「あ、いや、な何でもないっすよ!!」ドピュー!!
あっ、ちょいクルス、私を引きずって行くなぁぁぁああ!!
クルス「え!何!あいつらくるの?アジトに?」
驚いた。え?何?あいつら盗賊なる気?
ジョエル「客人としてね。ユウリの熱が下がるまでだ。」
ジョエルは坦々と語る。
ふーん。客人として、ね。
戻ってくると、あいつらテントに引っ込んで寝てやがんの。外から結界を壊してやると、ササメが飛び出してきた。
ササメ「あれ、クルスさんと、ジョエルさん?えっと…。」
ササメはキョトンとしている。さっきより、顔色が少しマシかな。
ジョエル「なんだい、アンタ、聴いてないのかい?ユウリが、熱下がるまで、ウチのアジトに来るって話でついてんだけど。」
ササメ「え?そこまでお世話になるの?」
ササメは、後ろを振り向きユウリに尋ねる。ユウリは、先程、起きてきて、素早くテントをたたみ、ササメの側まで歩いてきていた。
ユウリ「ああ、ちょっと事情も変わったし、今の状態じゃ、キツイしね。」
ユウリは、姐さんと、お金の話をしようとしてたから、
クルス「んだよ、じゃあ、これが宿代でいいんじゃねえの?」
って、ササメがくれた、涙を出す。
姐さんはギョッとして
ジョエル「あ、アンタ、これ…。向こうで話した時に貰ったのかい?…これだと、貰いすぎだ。… はぁ。」
ササメは、それはお姉さんを買い戻すために渡したもんだし、ってわたわたしている。それに、あげた物だよ?って。俺は「まぁ、タダで貰うのは気が引けてたし、ちょうどいいだろ」って押し切った。
ササメ「あっ、その人、生きてたんだ。」
ジョエル「ああ、なんとかね。まぁ、どっちでも良かったんだがね。」
とかいいつつ、なんだかんだで、助けるんだよな。姐さんは。まぁ、犠牲出すなら必要最低限。そう、決めてるみたいだ。助けれるなら助け出す。
ササメは、ギドの奴に近づき、手を充てると、ドレインをかけていた。中の卵と、蜘蛛の幼虫を吸収するんだろう。虫下しを何回も飲ませなくて済んだな。
ササメ「よし、これで、虫の方は大丈夫。毒は消してあるみたいだし…。ジョエルさん、すいませんでした。決着した時点で、私が行かないといけなかったのに…。」
姐さんは、じっと、ササメの手を見ていた。
ササメ「ジョエルさん?」
ジョエル「…アンタ、魔力の精密操作、誰に教わった?」
無表情のまま、姐さんは訊いた。
ササメ「?私を捕まえた冒険者の方と、牢にいた雪女の先輩からです。特に、細かな操作が必要な時には、冒険者の方が私にしてくれた事を参考にさせてもらってます。」
ジョエル「その冒険者の名は?」
ササメ「すいません…知らないんです。教えて貰えなかったので…。あの、でも、どうして?」
俺も、どうして姐さんがそんな事、気にするのか疑問だった。
ジョエル「…いや、知らないなら、いい。すまなかったね、質問攻めして。」
姐さんは、気持ちを切り替えたのか、そう言って、「さぁ、アジトに行くよ。ついてきな。」って言った。
ササメとユウリは、テントや荷物をすぐにまとめて、後ろに続いた。結局、アジトについたのは、朝方。俺は、適当に、空き部屋を2人に宛てがうと、自分の部屋で寝ることにした。
ジョエル「ったく、ディアスもレンも何してんだろうねぇ。情けない。」
ほえ~?どうして?
ジョエル「だって、ディアスは考え浅いし、レンに至っちゃ、悪事の片棒担いでるくせに、中途半端。」
それは、ジョエルさんも同じでは?
ジョエル「アタシはいいんだよ!アタシがルールだからね!」
ええ??なんですとー?そういうタイプだったですか?!
ジョエル「アタシは、始めっから、この辺の女王だって言ってただろう。」
…ああ、そういえば、ソウデシタ…。