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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ジョエルside

なんか、前に出てきてた奴が騒いでるよ。

刺客⒉3「この裏切り者~!!死んでねぇじゃん!しかも、名前まで…許すまじ!!」

刺客1「…いやぁ、でも、苗床よ?蜘蛛に内側、卵たっぷり産み付けられるんだよ?代わる?」

刺客⒉3「…あ、いや、それは遠慮するかなぁ~?」

刺客1「フフフッ。いいよぉ?代ってもらって?フフフ」

刺客⒉3「なんか、、やべぇ!逃げろー!!」

刺客1「アハハ、まて~!!」

クルスにウェアウルフの素材を回収させている間、ギド(盗み聞き野郎)の様子を診ながら、昔の事を思い出していた。


あの頃は、仮騎士団第三部隊、隊長のノラスキーも生きてた。遠征に行く途中、魔鳥の群れを大量に屠りながらも、逃げるガキどもがいた。実力はそこそこ、このままだと、数に押されてガキどもの魔力がつき、殺られるだろう事は明らかだった。

ノラスキー「まぁ、今、助けて文句たれられても厄介だし、様子見てからかな~?」

のんびりした口調で隊長が言う。、

ジョエル「おお、たまには、動く気になられたのですね、隊長!隊長の剣技が久々に見れる!」

感動していると、肩に手を置かれ、

ノラスキー「ハッハッ!何ゆってんの。行くのは副隊長、君だよ。僕が空飛べるとでも?冗談きついよねぇ~。ハッハッハ!」

ジョエルはガックリきた。いや、だって、隊長、空飛べなくても、剣圧で薙ぎ払えるし、魔法で落とせる。近接戦闘も超得意で、あの動きを見れるなら!って楽しみだったのに。ルルルー。

ノラスキー「あれ、そんなに、魔鳥と戦うのいや?」

隊員1「いえ!隊長の勇姿が見れないことにガックリしてるんですよ、副隊長さんは!ヨシヨシ」

隊員1はジョエルを慰める。

隊員2「まぁ、こうなることは、分かりきってましたけど。わかってなかったの、副隊長だけですから~。」

ノラスキー「まぁ、いいや。ほら、そろそろ出番だよ。行っといで、エル(ジョエル)。僕は、君のキレのある動きが好きなんだ。見せてくれるね?」

ジョエル「は!必ず!一匹残らず駆除してみせます!!」

ノラスキー「いや、別に、そこまでしなくても、あの2人助けるだけでいいからね?おーい、聞いてる?…ああ、行っちゃった。」


あの頃は、大好きな隊長も居て、なんの疑問もなく、国に仕え、それを誇りに思っていた。

他国との戦いで、攻めるよう、指示をしておきながら、勝手に暴走した隊。隊長以下全て逆賊として切り捨てられるまでは。全て、元孤児で集められた隊員達。これで、武勲をたてれば、大々的に、発表されるはずだった。いや、初めから、騙されていたのだ。アタシらは。

砦を落としたのにも関わらず、逆賊とされ、2国から、追われる身になった。隊長は、アタシらを逃がすため、囮になり自爆した。炎属性。2国の兵士は、かなり被害を出しお互いに引いた。巨大なクレーター。何もない荒野。何も残らなかった。

後から、色々調べた。この国の王子達の権力争い。王はずっと、意識不明状態。

勝った方の王子は、隣国と手を結んでいた。

もう一人の王子は、隣国が攻めてくる、と偽の陽動作戦に乗せられ、動かせない近衛騎士団の他に、戦力を求め、この国をなんとか助けようと動いていた。負けた方の王子も、勝った方の王子に騙されていた。だが、上に立つ者のせいで、隊長は…。見る目がなかった。そう言えばそう。今の王族も、素直で愚鈍だった王族もどちらも嫌いだ。隣国と手を結んでいた王子は、逆賊として、もう一人の王子を奴隷に落とし、隣国に渡した。実際、この国は、安定しているし、いい王様なのかもしれない。愚鈍な奴が王になれば、隣国とのやり取りもあるのだから、国がうまく回らないことぐらいわかる。


でも、あの5年間。忘れられない。

自分も、マトモには生きれない。例え、指名手配を受けてなくても、普通に暮らす気にはなれなかったろうが。

自暴自棄にならなかったのは、あいつらディアス達が居たから。遠征の途中で一緒になり、色々鍛えた。レンは、隊長から魔力操作を習い、アタシから、薬草の知識を。ディアスは、アタシと手合わせして、風飛びを磨き、隊長から剣技を吸収していた。めきめき目に見える速度で成長していく彼ら。冒険者で、その日暮らしの彼らは、騎士団に入りたいと言い出した。けど、年齢がまだ、15、6に達してなかった。

結局、砦の襲撃の直前までついてきて、その間、1ヶ月弱、一緒に過ごした。


逆賊として、追われている時、

ノラスキー「なぁ、アイツら、僕達みたいに利用されなきゃいいがなぁ。なあ、もし生き残れたら、エル、…あいつらさぁ、変な方向に行かないよう見守っててやってくれよ?お願いだから。」

皆、ボロボロで、何人かいなくなっていた。もう、その時には、覚悟を決めていたんだろう。アタシは、珍しく、弱気な隊長に、何も気づかず、「何言ってんの!皆で生き残るって言ったでしょう!最後まで、足掻いてやるんだから。」そう言った。

アタシが、その言葉の意味を、何の為に言ったのかを、その言葉を怨むのは、すぐの事だった。

アタシには、何も残らなかった。その言葉以外。

次の日、ノラスキーは、「囮をしてすぐに引き上げるから、後ろに下がっててくれ。まだ、体力余ってるの僕ぐらいだしね。」そう言って、下がらせた。確かに、皆、もう魔力もろくに残ってなくて、マトモに戦えるのは隊長ぐらいだった。心配だったが、言う通りにするしかなかった。そうして、あの爆音と閃光それから、爆風。吹き飛ばされ、気がついてから、隊長がいた方に向かう。

あの、まだ、熱が冷めやらぬ、クレーターの中央部で。アタシは暫く立ち尽くした。

それ以来、小規模な追っ手がたまに来るだけになった。面が割れているのは、隊長とアタシだけだった。

隊員は、一緒に残ろうとしたが、アタシは笑って

ジョエル「忘れたかい?隊長は、アタシらみたいな奴を生み出さないよう願ってた。なら、アンタ達は、堅気になって、他の奴らの手助けすんだよ。こんなとこ居たって、出来ないだろ!」

そう言って、追い出した。もちろん、何人かはしぶとく残っていたが。


ユウリの剣技は、まだまだながら、隊長の太刀筋だった。ディアスは、もうあの域まで達しているだろうか。



ジョエル「もう、歳かねぇ、昔の事を思い出すなんて。」

クルス「ん?今頃、気づいた?」

クルスは、ウェアウルフの素材を集めアタシの横に来ていた。

ジョエル「…クルス…お前と言う奴は…。フフフッ。口が減らないねぇ!」

ニッコリ笑って腕を使い、クルスの首を締める。

クルス「え!いや、い、今、じ、ぶんで………。」

ブクブク。クルスは、意識を落とした。

さてと、暫くしてから、電気で起こすかねぇ。


ノラスキー「そういえば、エル、色恋全く無かったんだねぇ?隊員皆、男だったのに。」

隊員1「た、隊長!それは言っちゃダメですよ!」

隊員2「そうですよ!紅一点のジョエルちゃんを誰も誘わなかったのは、隊長に遠慮してなんすからね!」

ノラスキー「ん?何で僕?」

隊員1が隊員2を連れ出しコソコソ喋ってますなぁ。

隊員1「隊長にぶいから、隊長わかってないから」

隊員2「まマジで、あんなわかり易いのに!!」

うんうん。隊長が好きだったから、他の人好きになれなかったんだね。ジョエルさん。

ジョエル「ん?し死んだ者がゴチャゴチャ何言ってんのかな?ん?解説?もういっぺん、お仕置きかい?ゴキゴキ」

あれ、指鳴らしてドウシタノカナ?アハハ…

アレ?隊長?隊員1、2は、ドコヘ?

アハハ………逃げギャアアアアアアア!!!

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