クルスside
ササメ「クルスさんも、蜘蛛苦手なんだね。一緒だぁ!」
クルス「いや、く、蜘蛛が苦手なんじゃない。あの青色が無理なんだよ!なんだよあれ、エイリアンかっつーの!」
エイリアンこの世界にいたっけ?ネバネバ、ヌタヌタ?
クルス「やめろ!そ、それ以上ゆうんじゃねえ!なんか、どっかの映像が頭ん中流れてきて、それ以来苦手なんだよ!」
へえー、テレビの映像っすかね?
クルス「知らん!」
途中で別れ、2本立ちの魔狼を見つけ、とっとと、魔力で作った水刃をふるい殲滅する。遺品を2、3胃から見つけ、さっさと、ジョエルに合流すべく急いでいた。なにしろ、地中魔蜘蛛なのだ。
ジョエルの動きを見逃すのは惜しいし、確認したいこともあった。
近づくと、横を酸弾が通り抜ける。危ねえ!結構スピードと飛距離があるし…。たぶん、流れ弾だな。
地中魔蜘蛛は身体の大きさが、瞬時に変わるし、動きもコミカルで読みにくい。待ち伏せの魔物の癖に戦うとなると先読みの魔眼と静止の魔眼を持っていて、しかも、動きも速い。まぁ、口から液体出して、吹き飛ぶ感じなんだがな…。
ジョエルは身体から時々、細く青白い放電が起こっている。ジョエルは風飛びは使わない…というより使えねぇのか、見たことねぇ。俺と戦った時も、雷渡りを使っていた。空を蹴ってドンドン加速する。
うわぁキモい!あーいうのって青色の血なんだよなぁ。やっと、脚の1本跳んだなぁ。巨体化して脚をジョエルに突き刺そうとして、逆に切られてるし。あちこち、傷がついてる。あーあ、魔眼も使い過ぎて打ち止め。もう終局かな。
しかし、やっぱり、ユウリって奴の動き、ジョエルの動きの劣化版っぽいな。おかげで、慣れてて捕まえやすかったし。
ジョエルは止めを刺すとこっちに顔を向ける。
ジョエル「言われたもん、回収したかい?」
ジョエルは、こっちに声を張り上げて訊いてきた。
クルス「ああ、ある程度はなぁ!…なぁ、俺、ソレは触りたくねぇぞ!」
赤い血ならともかく、青いんだぞ?
正直、地中魔蜘蛛の解体を頼まれたら泣く。アレは気持ちワリィ。無理。
ジョエル「心配しなくても、アンタなんかに任せられるかい!高級素材がダメになっちまうよ!」
ジョエルはソレを解体して、必要なものと、そうでないのにわけ、
ジョエル「クルス、こっちの燃やしちまいな!」
クルス「へいへい。姐さんの言う通りに。」
俺は、ジョエルの近くに来てゴミを燃やすと、遺品をジョエルに押し付ける。
ジョエル「ん。ご苦労さん。ウェアウルフの素材は?」
クルス「えっ、とりあえず、置いてきた。」
…やべぇ、急いでたから、忘れてた。…要るの?アレ。
ジョエル「…まぁ、後から行くか。燃やしてないね?」
…お仕置き程ではなかったらしい。セーフ!
クルス「ああ。ところで、姐さんと、ユウリって奴の動き、似てんだけど、偶然?」
これ!!聞いとかねぇと気になってしかたねえ。
ジョエル「…昔の弟子の、弟子だったんだよ。たぶん、弟子がアタシの動きを参考に教えたんだろさ。」
クルス「属性違うのに?劣化版にしかなんねぇだろ?」
ジョエルは苦笑しながら、
ジョエル「まともな風飛びできない様だし、方向切り替え時や、スピードのあげ方が、雷渡りに近い感じになるから、ちょうど良かったんだろうよ。」
布を纏めて括り、素材を背負うかと思いきゃ、ほら!後で運ぶんだよって渡してくる。はぁ、俺が持つのかよ。アレ入ってると思うと憂鬱になる。
ジョエルは、アンタにゃわからんかもしれんが、人間は龍みたいに、持ってる属性なら100%適性って訳じゃないからねぇ。色々混ざってる代わりに使える適性に依存するから。
現に、アタシは雷がかなり使えるが、火はせいぜいマッチぐらいしか、出せないしね。器用貧乏で、使えるもん利用するしかないのさ。まぁ、使える属性があるだけマシさね。どれもこれも、5%以下の無属性の奴も、世の中にゃ五万と居るからねぇって説明してくれた。
クルス「へえー、そういうもんかねぇ。」
俺が頷いていると、
ジョエル「ほれ、雪ん中潜って死体回収してきな!水属性の出番さ!」
クルス「えっ!嫌だ!アレの小っこいのが居たらどうすんだよ!」
ジョエル「情けない事言ってねェで、行きな!アンタなら問題なく倒せるし、いざとなったら、燃やしゃあいだろ。それにあいつ、生きてるかも知れないし。一応Aランクぐらいの実力あったからねぇ。」
ああ、情報持ってきた奴な。……見捨ててぇ!行きたくねぇ!けど、それいうと、姐さんの折檻か……。ええい迷…げっ!
ジョエル「さっさと行けっての!」
尻痛てーし、頭から突っ込みたくねぇえええ!!
気がつくと横に移動してきてて、ニッコリ笑って巣の中に蹴り入れられた。俺は、慌てて雪を操作して、身体を捻り、足から着地する。ふぅ!危ねぇ。
ウェアウルフの残骸ばかりと、うわぁ、このちっこくて、さわさわと動くのもう無理!でも、水刃での攻撃はグロテスクだし…まぁ、下がっていくだけ、マッシか。…うへぇ…。
あった。アイツ、生きてようが、生きてまいがどっちでもいい。さっさと蹴りあげて地上に出る。
ジョエル「やっぱり、苗床かぁ。」
ジョエルは、ソイツに近づき、電撃食らわして、毒消しと、虫下しを飲ませている。生きてたようだ。しばらく、こいつには近づきたくねぇな。
ジョエル「クルス、よくやった。後、コイツ運べよ?」
クルス「!む、ムリムリムリムリ!ソイツ、虫下し飲んだんだろ!しばらく出てくるじゃんか!!」
ジョエル「相変わらず、地中魔蜘蛛は苦手かい?ったく。この辺で、一番の安定した稼ぎになるのに。それに、コレが居るから、牽制にも使えるんだがね。」
クルス「牽制にも?なんの?」
ジョエル「…アンタにゃ、関係ないことさ。さぁ、ウェアウルフの回収行くよ!」
クルス「仰せのままに。」
まっくろ○すけ、出ておいで~!
クルス「いや、そんな可愛い感じじゃねぇから!動きもヤバイんだからな!!確かにワサワサって表現されてるけど、そんな生易しいもんじゃねぇからアレ!!」
そうなの~?似てると思うけどなぁ…。
ジョエル「まだまだ、精神が軟弱だねぇ…。青色の血がなんだい。今度、1人で討伐させるかねぇ?」
クルス「ひぃっ!それだけは勘弁してくださいよ!姐さん!!」
龍が蜘蛛を恐れる図。なんか締まらねぇな。おい。
クルス「うるせぇ!解説!…お前、見てねぇからそんなこといえん…」バコッ!
ジョエル「ごちゃごちゃうるせぇぞ!クルス」
あっ、蹴られた?今、蹴られた?
クルス「…すいやせん…姐さ、ん…」ガクッ。
ジョエル「ふん!軟弱者め!」
ワ、ワタクシ何も見ておりません。ガクガクブルブル、