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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ジョエルside傍観

ユウリ「つーかさ、俺Sランクなんだよね?」

そ〜だよ。

ユウリ「なんか今回、俺何もせずに捕まったの、おかしくね?いや、だって、強いんだよな?ほら、敵に手傷を追わせるとか、何とか逃げ切るとかさ、見せ場あっても良くない?」

いやいや、だって風邪デスカラ~?

ユウリ「な、何?この守られお姫様ポジション?」

もう、その場面終わりましたから~(笑)

Sランクの冒険者。そういうのは、化けもんばかりで、一筋じゃあいかない連中ばかりだ。真正面からやりあうのは得策じゃあない。クルスに気に入らなくてなおかつ、そこそこ歯応えのある奴2人を選んで貰い、情報持って来た、やる気まんまんの盗み聞き男と合わせて3人。そいつらに、旅人を攻撃してその場から離れる指示をしておいた。死ぬ確率が高いけど、逃げに徹すれば、生き残れるかもしれない。そうして、雪女の保護者を連れ出し、その間に、雪女を取り押さえれば、勝機は有るだろう。そう、考えていたんだよね。

せっかく計画を立てても、上手くいかないねぇ。

時期を見計らって、テントに近づいたら、雪女の保護者の方が残ってんだから。雪女の保護者は、剣筋も悪くない。が、全体的に判断が遅く、動きも鈍い。クルスにあっさり取り押さえられた。どっかで見た剣筋なんだよねぇ。と、近づいて見ると熱がかなりあるようだった。まだ若い。この歳でSランクだとか、もうふざけてるよね。

演技で捕まってると厄介なので、腹に思いっきり蹴りを入れて反応を見ると、本気で意識朦朧としているのがわかった。後ろから雪女来てるし、もう!どうして、こうなるの!!って思ったわよ。

牽制するしかないじゃない。

保護者(ユウリっていうオトコノコ)も風飛びの制御の様子から、魔法が上手くて、炎系統。爆発起こせるんじゃないの?ヤケクソになられると厄介だし、近くに居たくない。

ちょうど、雪女が竜巻を起こしてくれたから、それに便乗して離れる。雪女の方は実力皆無だから、調べてみてもいい。でも、クルスに委せよう。私とじゃ、実力計れないからね。

っていうか、クルス!やっとまともに受け答えが出来る様になったじゃない。教えたかいがあったわぁ。以前なら「俺様がどうして、おめぇの言う事はいはい聞かねぇといけねぇんだ?」とか、「行きますよ、行きゃあいいんでしょ!」だったのだから。苦労したわ~フフフ。おっと遠い目をしてる場合じゃないわね。

まぁ、こっちのユウリも意識しながら、雪女(ササメ)を見る。魔力操作上手いわ。竜巻の時は荒いのかと思ったけど、必要最低限の肉体強化で防御と攻撃使い分け。しかも、種族特性の特殊魔法(マナドレイン)まで使えると。これ、普通に本気で魔力吸収(ドレイン)使われたら、あたり一面、生き物居なくなるよね。自分も含めて。まぁ、保護者(ユウリ)いるから出来ないだろうけど。

うん、詰んだわ。手ぇ出しちゃいかんやつよ。これ。うん、ストップ!ストップ!はい、撤収ー!!ってやつね。

クルスは納得できず、口を出す。

クルス「ジョエル、どうして止める?あのまま続けりゃ、俺様の勝ちのはず…だったですよね。」

ジロりと睨むと少し言葉づかいを直す。

ジョエル「はぁぁ…。ユウリとやら、もし、ササメが死んでたら、アンタこの辺一帯巻き込んで、爆発起こしてたんじゃないか?」

思わず、ため息出るよ。こんちくしょう。

ユウリ「そうですね。ササメが生きてない世界なんて認めれないですし…アンタ達を許せないでしょうしね。」

そう言って、ユウリは気絶しているササメを大事そうに抱え回復ポーションを口移しで飲ませている。

ちくしょう!こんなとこで堂々と!目を逸らしておくぐらいじゃないか。私ができることは。

ジョエル「その場合、あたり一面火の海で、アタシもアンタも無事じゃあ済まないねぇ。…しかも、1ルピにもならないし。」

クルス「気絶してるの連れ去るだけさ。」

ジョエル「我慢比べっつってた奴のセリフじゃないねぇ。お仕置き、足りなかったかねぇ?」

ジトーと見てやる。

クルス「いや、た、足りてる、足りてますってば。」

足りなかった気がするけど、今は、まぁ置いとくか。

ジョエル「ササメは死ぬ迄、やっただろうよ。止めなきゃね。…何しろ、自分が死んだら保護者(ユウリ)が助かる、とまで思い詰めてんだから。」

クルス「ん?んじゃ、死んだらコイツを殺すっつってたら、どうなんだ?」

とクルスはユウリを指さし、とんでもない事を言い出す。

ジョエル「お嬢さんが、起きたみたいだし、聴いてみるかい。結果はわかりきってるが。」

ユウリ「ササメちゃん!大丈夫?」

ササメ「…うん、ごめんなさい。ユウリが、風邪の時ぐらい、ちゃんと刺客を追い払いたかったのに…」

コホン!わざとらしく咳をして、甘い雰囲気を追い払う。

ジョエル「ササメとやら、ユウリが死んでたら、お前さん、ドレイン使ってるんじゃないか?」

ササメは、コチラを警戒しながらも、ユウリが頷くのを見て、

ササメ「…はい、全力で。…ユウリがいない世界なんて、どうでもいいし、もしユウリが殺されたら、殺した奴を必ず殺したい…ですから。」

ジョエル「つまり、私達が懸賞金を貰える方法はない。なぜなら…」

ササメを連れていくのにユウリが必要で、ユウリを連れていくと、王都で確実にユウリは殺される。すると王都が滅びるので、闇商人からお金を貰えない。んで、今すぐ、どちらかを欠けば、私らが無事でいれない。どちらをとっても私らにとってタダ働き、つまりは詰みだよ。と完結に説明してやった。

ジョエル「ところで、あの3人はどうした?」

ササメ「あっ、…ウェアウルフの群れと、その天敵の、地中魔蜘蛛に…。」

ササメは目を下に向けて、小さく言った。

ジョエル「うわぁ、よくやるよ。地中魔蜘蛛なんていつ飛び掛ってくるかわかんないのに…。確かランクSじゃなかったっけ?しかも、雪で活発になってるだろに。」

呆れて、おどけて言ってやる。

ササメ「……。仲間じゃ…?」

ササメはポカーンとこっちを見る。その様子が可笑しくって

ジョエル「ハハッ!…あいつらの為に悲しむってムリムリ!だって、その為に、クルスにムカつく奴選ばせたんだし?ゴロツキのほとんどに、思い入れなしさ。」

って説明してやった。

ジョエル「ところで、地中魔蜘蛛の場所、どこだい?」

一応、生きてるかどうかの確認と、あと、地中魔蜘蛛なら、退治すりゃ、白いふさふさの毛と目玉が高値で売れる。

ササメ「…こっから、向こうに風飛びで10分くらい…あの、ほんとに見逃してくれるんですか?」

ジョエル「こっちは、元々やる気じゃなかったんだが、懸賞の金額が大きいし、やるだけやらねぇと、このバカがうるさくてね。あと、見つけてきたバカも。まぁ、見つけてきたバカはたぶん、死んだがね。」

クルス「!!いや、だって、コイツを掴まえりゃ、姉が買い戻せるだろ!?」

ジョエル「じゃあ、アンタ、こいつ等を一瞬で気絶させるだけの実力があるのかい?あたしゃあ、命は惜しいんでね。遠慮するよ。」

ササメ「あの、お姉さんが奴隷印を刻まれたんですか?」

クルス「それが、どうした、懸賞首!」

ジョエル「クルス!!いくら1兆ルピだからってその言い方はないだろ!!!」

えええっ1兆ルピ!ユ、ユ、ユウリどうしよう。あわわ。サ、サ、ササメちゃん落ち着いて。とかどうでもいいよ。すごい慌て様だけどさ。落ち着いてから、ササメがクルスにちょっと用事があるって。もう、狙わないんですよね?って念押して、2人で話したいとさ。









ジョエル「ふう、冷静な振りするのも、疲れるよ。内心を顔に出したら、もろ、Sランクのイメージがた崩れでしょ。」

いえいえ、今回内心ダダ漏れ回デスカラ?

ジョエル「いや、ササメとユウリに向けてだよ!大体、腰引けてる敵役とかさ、見せ場ないでしょうよ?」

いや、闘ってませんから。ジョエルさん、今回、闘ってませんから。

ジョエル「おい!今てめぇ、なんで2度言った?ん?」

え、いやいや、大事な所だから?(笑)

クルス「おい!お、お前、嘘でもそこは謝っとけ!今ならまだ、間に合う…か?」


クルス「馬鹿なやつめ。あの笑顔は要注意だとゆうのに……。」



はっ、首しめられて、落とされる夢を見てた。背骨グリグリ、すごい音してた気がする。

クルス「いや確実、今、解説死んでたからね?つーか無傷で生き返るって何?解説不死身?」

いやいや、生き返るとかさ、ないですから。

クルス「……………。」

いやいや、そんな目で見られても、……えっ!マジで!?

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