ユウリside
ササメside
魔力使いすぎだよ~。感知魔法使いっぱなし~の、魔物引き付けるのに風魔法で攻撃し~の。けっこう広範囲かつ、詳細に、魔物を探したからなぁ…。でも、休もうという矢先に、ユウリが居なくなっちゃったよ…。もう疲れたよ、パトラッシ○…。ねむくなちゃった…。お休み…ってしちゃダメ!ユウリなんで、外出るの!!寝るときは、ちゃんと寝ないと成長しませんよ、わかった?わかった!?わーかーりーまーしーたーかー?ったく。
気がつくと、ササメちゃんが居ない。僕が寝てから、外に食事しに行ったんだろか…?頭がボーッとする。ササメちゃんが多分、眠り魔法をかけて行ったぽい。集中しにくいなか、感知魔法を使うけど、ササメちゃんが近くに居なかった。しばらくしたら、戻ってくるだろう、と思いそのまま横になっていたけど、ササメちゃんが、こんな時に、わざわざ遠くまで離れるだろうか?おかしい。そう思うと、その場にじっとしてられなくなった。ふらつく頭を抑えながら、立ち上がると、それだけで息があがる。
まずいなぁ…。
そう思いつつ、結界の外に出て行くと、空気が一気に冷えた。喉に急に冷たい空気が触れて咳き込んでしまう。その時、誰かの感知魔法に気付いて、離れようとしたが、男が立ちふさがる。剣を抜いて攻撃を加えるが、避けるだけで攻撃をしてこない。
纏う雰囲気から、龍か、天馬か、人ではない。高位の魔物。少し動くだけで、息があがり、咳き込んだ。
その時に、その使い魔の男が、腕を抑え込み、動きを抑えられた。かなりの力でびくともしない。
「おや、こっちに、こいつが残ってたのかい?こりゃ、当てが外れたねぇ。」
女が近づいてくる。足運びから、相当の実力者か…。逃げれない上に、Sランク相当の女と、その使い魔。万全の状態でも、キツいのに、こんな時に。
「…クソッたれ!!」
思わず、悪態をつく。
「汚い言葉づかいだねぇ。顔はせっかくの好青年っぽい感じなのに…。ふん、まぁ良いわ。アンタだいぶ調子悪そうだし、ねっ!」
思いっきり、鳩尾に膝が食い込んだ。
「っうぁ!ゲッコホッコフコフ…ハァハァ…。」
立っていられなくなって、膝をつく。剣も手から落としてしまった。意識朦朧となりながらも、
「…ササメを…どうした…?…」
「ふーん?アンタほってかれたんだ?まぁ、こんな状態じゃ、ねぇ?仕方ないわよねぇ。」
「…ハハッ!っ…アンタ等 …捕まっ…ねぇな…どう…もいい…。ケホコホ」
ササメがまだ、捕まってない。なら、このまま何処か逃げてくれりゃあ、いい。こいつ等に敵いそうにないのだから。
「まったく、役に立たない手下ども。帰ってこない上に、つゆ払いも出来てない。まあ、アンタが手下になるんなら生かしてやってもいい。どうする?」
女がしゃがみ、俺の髪を掴んで顔を上げさせ、目を合わさせると、そう、尋ねた。
「…ササメに…危害ケホを…加えね…なら…なっコホ…やっても…いい…?どう…ケホる?」
どうせ、ササメ目当てなのだ。無理に決まっている。
「…へぇ?そう、中々気骨があるようね…クスクス…と言うことで、貴女が抵抗しなければ、こちらとしても、貴女に危害を加えなくて済むのだけれど?」女は、途中から雰囲気が変わり、警告を含んだ声になる。
ササメ「へえー。気づいてたんだ。ユウリをどうするつもり?」
ササメの声がして、姿が現れる。幻覚魔法で、姿を景色と同化させて、見えなくしていたようだ。でも、俺は愕然とした。
ユウリ「ササメちゃん! ゲホゴホ…どうして…や…そくと…ちが…。」
もし、俺がどうしようもない時は、ササメちゃんだけでも逃げるって約束したじゃないか…。
ササメ「まだ、ユウリが生きてるもの。どうしようも亡くなった時ではないでしょ?」
ササメちゃんが、笑う。まるで、悪戯が成功した時のように。
俺の周りに軽く風が吹くと、俺を中心に、いきなりすごい竜巻が起きて、男と女が離れる。ササメちゃんは俺の側に来て、攻撃防御用結界と、回復魔法と、魔力補充を素早く済ませる。それと、ササメちゃんの涙晶石を持たせ、合図したら使ってって。耳に小声で話しかける。こんな魔法を使い続けると、すぐに魔力が尽きてしまう。案の定、竜巻は数秒でとけ、ササメちゃんが肩で息をしている。
「へぇ?中々、強そうね。クルス、いける?あの子抑え込めるかしら?」
「命令とあらば。」
「じゃあ、お願い。」
男は、ササメちゃんの近くに移動して、ササメに触れようとした。ササメちゃんがその手を掴み顔面に蹴りを入れようとしたが避けられる。
「貴方はどうして、そんな女に付き従って居るの?」
「人に付き従うのが、雪女の特権だとでも思って居るのか?」
「いいえ。でも、誇り高い貴方方が、好きでもない人に付き従うのは、おかしいでしょう?奴隷印でもないし。」
話しながらも、お互いに攻撃を仕掛けている。
ササメちゃんは、だいぶ息が上がっている。男の方は、まだまだ余裕だ。
「お前、奴隷印を知ってる?まさか…」
男の方がピタリと止まると、呪文を唱え始める。魂への攻撃?まずい、
「ササメちゃん!」
ササメちゃんが気付いて風魔法で攻撃するが、風魔法が途中で霧散し、ササメちゃんは風飛びが維持できずに地面に墜ちる。
「ササメとやら?お前どうやって奴隷印を外した?それほど、生命核が傷んで居るということは、逃亡奴隷だろう?」
ササメちゃんは苦しみながらも、
ササメ「それを…知ってどうするの?…」
クルス「俺が、これ以上、手を加えたら核が壊れるぞ?」
ササメ「…じゃあ、そうすれば?ユウリが殺される理由がなくなるもの。」
ユウリ「ササメちゃん!!」
ササメ「出ないで!!まだ、合図してないでしょう!」
俺が、結界から出ようとしたのに気づき、声を上げて留め、作戦がある事を思い出させる。
クルス「ハッ、まだなんとかする気で居るのか?」
ササメ「あら、だって私を殺したら1ルピ(お金)にもならないでしょ?」
ササメちゃんは、顔色の悪いまま、相手を嘲る。
クルスが、ササメちゃんに近づきササメちゃんの胸ぐらを掴む。
クルス「さっさと、奴隷印の外し方を教えろ!!」
ササメちゃんが、苦しそうにクルスの手を掴むと、クルスが、顔を歪める。
クルス「オマエ!…フハハッ、いいぜ、どっちが先に倒れるか、やるってのか?」
女「私は男の子を甚振るだけ甚振るキャラかい?」
あー後半出てきてませんもんね。
女「まさかの出オチで終わるんじゃないだろね…?」
あ、…いや、一応、親分なんで、どんと構えて後ろにいるだけですよ…たぶん。
女「たぶん、だぁ?おい、この後、出番あるんだろうねぇ?なかったらどうなるかわかってるだろうね…フフフ」
……えっと、わかりません。わ、ワタクシは存じあげますぇぇぇえん!!(逃)
女「 待てぇぇぇぇえ!!!」