レシーラside
この間、やっと王都から、離れられたと思って、近場のダンジョン街にやって来たのに、そこのダンジョン、一部に不具合があったらしく、潜る人が減っていた。そのため、急遽、別のダンジョン街にやって来た。基本ダンジョンに潜る冒険者は既にパーティーを組んでいる奴が多い。なので、気軽に潜ろうとする人を探すためだった。
ソロはこういう時にツライなぁ。まぁ、ちょくちょく王都に戻らないといけないから仕方ないけどさぁ。まぁ気長に待とうかな。そう思っている時、言い争う声が聴こえてきた。どうやら、1人はダンジョンに潜りたくて、もう一人は反対していた。人数も足りないって。これは便乗させてもらいましょうか。2人ともそこそこ強そうだし?
そうやって、声をかけると、坊やの方が、お久しぶりってきたもんだ。んー、こんなガキと潜った事無いしなぁ、盗賊ギルドじゃ…ああ、この子の外套とこっちの坊や…ああ、鍵の件の時の、外套被ってたガキだよ。ふーん、中身はこんなだったんだ。まぁ、ガキだけど…ってこの女の子、けっこうおませさんな上に喧嘩売ってきてるじゃないの。ふうん?
レシーラ「ササメ''ちゃん''(このガキ)。ああ、こんな脂肪の固まり、気にする必要ないわよぉ?(このツルペタが、悔しいからっておば様呼ばわりかい?)男の子ってそういうのに、興味があるけど、あったらあったで、邪魔だからねぇ。」
思いっきり、坊やに向け胸を揺らしてやる。
ササメはカチリと固まり、男の子はゴクリと喉を鳴らして、目を逸らし、
ユウリ「ササメちゃん、こちらは、牢屋の鍵の件ですごくお世話になったんだ。レシーラさん、お陰ですごく助かりました。俺は、ユウリです。もし、ダンジョン、一緒に潜ってくれたら助かります。」
ササメ''ちゃん''はユウリに向かって怒りながらも、
ササメ「あっ、もぅ…。レシーラさんでしたよね。ダンジョン、不慣れなので大変、御迷惑かける事になりますがいいのですか?(さっさと断リやがりませ。)」
アタシに向かって、ニッコリ、心の声がダダ漏れの言葉で訊いてきた。いや、御迷惑かけるかもってのは半分以上、本音みたいだけど?
レシーラ「丁度、組む奴探してたんだよね。ソロだと、パーティ組むの苦労するんで入れてもらえるなら、こっちも助かるわぁ。」
こっちも、ニッコリ返してやった。それが後悔の連続となる、ダンジョン潜りの始まりだった。
っていうかね、どうしてコイツ等、端から、罠を全て起動して攻略していくんでしょうね?いやね、そりゃあ、10階層ぐらいは掛かってもせいぜい、落とし穴か、槍や矢が1本くらいで大したことないのよ?実際、坊やも、パシッて矢や槍の柄を掴んだり余裕でよけたりしているしね。でも、階層深くなるほど、罠も凶暴なんだよね。でも、端から全部、罠に掛かる方が難しいと思うんだけど…ねぇ?わざとかしら?まぁ、30階層迄は様子見かしら?まぁ、宝箱も2つ程開けてやったしね。
ユウリ「レシーラさんって、ある程度強いですよね?」
レシーラ「まぁソコソコは強いと思ってるわよ。どうしてかしら?」
ユウリ「こっから先、罠が凶悪になっていくので、避けれるかどうか心配なんですよ。」
ああ、ようやく、罠自体を避ける気になったのか。やっぱり、さっきまでのはワザと、だったのね。
…後で、避けれるの意味違いだと知る事になるのだけど、この時は、そう、考えていたんだよねぇ…。避けるのが、発動した罠そのものだと、誰が思うだろうか………。
レシーラ「じゃあ、先頭行こうか?その為のパーティーだしね?」
罠解除のエキスパートであるアタシの出番ってね。って思ってたのに。まさか、あんな事になるだなんて!
罠を避けて通って居ると、何故か、ユウリが踏んで作動させる。あらかじめ、場所を教えてやると、それを避けて、何故か違う罠を作動。それも、壁一面から、毒付き矢が大量に出てくるやつや、上下から刺壁が迫ってきたり、水責め、何故か違う階層に落とされる落とし穴(こんなのあるんだ!ってビックリよ!!)の魔物虫大量付き。いや、可笑しいわ!!なんで?!罠をあらかじめ解除したりもしてやってんのよ?普段、この階層来るまで、ここ迄、ボロボロになった事も、時間がかかった事もなかったわよ!風飛びですり抜けたり、ササメが凍らせたり、ユウリが燃やしたり。だって、アタシがあらかじめ罠が作動しないように解除した罠まで、どうやって作動させたわけ?そこの好奇心旺盛バカ雪女!!どうして雪女なのが、わかったかって、そんな技、連発すりゃわかるわ!!んで、この悪運天然ボケ男!そこ踏むなっつったらどうやって見つけにくい、違う罠で他に誰もかかりそうもない、天井スイッチの罠を発動させる!!誰がそんなとこ押すのよ!!ってか、入ったらいきなり毒ガス部屋なんてとこ覗くなぁ!!!ってか、色々おかしいからね!!こんだけ実力あるのに、何故ウッカリ?とか、転けるとか、来た魔物が、とかで罠が作動?ってか魔物が罠を発動させるなんて初めて見たのよね!巻き添えで、アタシ等全員罠に御招待ってきたもんよ!魔物が自滅してくダンジョンって何なのよ?もう、イヤァー!!
もう、こいつ等とは潜らない。うん、潜らないから!地上に戻ってくると、そう誓ったのよ!ってか、「今回、罠を避けられたりしたから、前回のダンジョンよりは楽だったね。」ってどの口が言うか!このボケ雪女。「レシーラさんが良かったらまた、よろしくお願いします。」とか、もう勘弁だよ!!この野郎。色々、坊やからかってササメの反応見てやろうって思ったりもしたのに、そんな暇もなかったしね…。
ってか、後から知ったけど、ユウリ、コイツって''自爆の炎操者''だったんかい。知ってたら、絶対組まなかったよ!アタシのバカ!!強い奴と組んでたら、まぁ安心、なんて二度と思わんわ。まぁ、ササメには、回復かけてもらったし、これからも、このユウリに付き合わないといけない事を思うと、同情もする。なので、少し、ご褒美に、いいこと教えてあげとこうかしら。
ユウリは、確かにロリコンではないけど、アナタの事は別なんだよ?牢屋の鍵、普通、一日じゃあ覚えられないんだよ。誘惑して、からかいながら教えてたしね。でも、高い集中力で覚えきった。ユウリはそういう目で、アタシを見ること自体裏切りだとでも考えてた節があるねぇ。アタシは、こういう職業柄、いろんな奴にあったけど、人を見る目は確かだよ。大切な女がいる奴なんだって、すぐ判ったよ。あんた、確かに愛されてる。だから心配する必要ないねぇ。フフ、そりゃあ、男はこういうのに、少し弱いもんよ。あんたがコンプレックスに感じるのも判る。でも、アイツは別れる時こう言ったんだよ。
「そういうのに、興味ありません。今はそれより、大切なものがありますので。」
って本当にすげ無く言われたわ。前は冷たい目で見るくらいだったから。今、反応してしまっているのは、大切なものが、もう、側にあるからよ。
でも、彼強いけど、ウッカリしている所も見受けられるから、そこを貴女が気をつけてあげなよ。
レシーラ「って、前のダンジョン、原因はアンタ等かい!」
ササメ「…てへ?…」
ユウリ「…何のことでしょう?ねぇササメさんや?」
レシーラ「…アンタ等目ぇ泳ぎ過ぎなのよ。…はぁ…。」
ユウリ「それより、今回のダンジョン、下の罠のスイッチよける時、丁度いいとこに、天井に取っ手がついてたんだよね。ぶら下がるよねぇ?普通。」
ササメ「そんなのあったの?回してみたい!!」
レシーラ「アンタ等…ダンジョン内にそんな怪しいの有ったら普通は、触らないのよ?…今回で懲りててよ?…はぁ…。」