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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ユウリside

ササメちゃんは、本当に可愛いと思う。馬に、おっかなびっくりしながら乗る様子も。あたりを目をキラキラさせて、キョロキョロ周りを見る様子も。それから、街に着いた時、お店を覗いていたり、躓きかけて、腕でササメちゃんを支えていると、顔が真っ赤になりながら、小さく「…ありがとう…。」って言ってる様子も。こんなに小さかったかなって。服を色々見ていたから、「欲しいのあったら買うよ?」って言たら、「ううん、普通の服じゃ、すぐ暑さでバテちゃうからいい。」って言って、こっそり、「あのね、後で自作しようと思って。熱遮断するように。」って耳打ちして恥ずかしそうに笑っていたり。そういうのが、とても愛おしくて。この、おっちょこちょいで、忙しなくて、ちょっと意地悪で、天然で、少しヒンヤリするこの女の子が、僕は本当に好きなんだと思う。

時々、ササメちゃんは裏路地に行って、怪我人や病人を治していたりする。ほっとけないのだろう。心配だから、裏路地に足を運ばないで欲しいと思うけど、気持ちもわかるから、とめる事も出来なかった。人目のない所で、コッソリと治療しては、風飛びでその場から離れたりして、気をつけてはいるけれど。ササメちゃんは、毒消しや治癒がとても上手くなっていた。

夜は、時々うなされている。「…ユキハさん。…ごめん…なさい。…」時々、漏れる言葉。

殺し屋が、時々、来るけど、返り討ちにしている。

その場を、最初にササメちゃんに見られた時、ササメちゃんは震えていた。僕は恐がられてしまったのだと、そう思った。そりゃ、人を殺す所なんて見たくないだろうし、それをした、僕が怖いのだろう。

ササメちゃんは、震えながら僕にしがみついて来た。「…ユウリ、…お願いだから、嫌わないで。…ごめんなさい。…こんなこと、させて、ごめんなさい…。」

「怖い思いさせてごめん。俺が怖いなら、集落に戻ればいい。俺が雪女の集落を見つけるから。無理する必要は無いんだよ。だから、正直に言って?」

僕は、余裕がなくて一気に、そう、言い切った。

ササメちゃんはとても傷ついた顔をして、

「…そう、もう、嫌になっちゃった?…私が嫌い?…そうだよね…一緒に居るだけで、狙われるし…。ジュリちゃんとも一緒に居れないもんね…。」

って風飛びで、その場から離れてしまった。僕の手はササメちゃんを捕まえようとして空をかいた。ササメちゃんは泣いていた。

どっちにしても、探さなくては。でも、僕は、しばらくその場を動けなかった。ササメちゃんの怯えた顔が、ちらついて。

「…そうだよな。…俺だって、ディアス師匠と、初めて依頼で盗賊狩りに行ったときは、…ディアス師匠が怖かったし…俺も殺してしまったし…。後で吐いた…。」

あの時、絶対必要になるからって、無理にでも盗賊を殺させられた。必要なら、殺せって。戸惑うな。それが、生死を分かつ事になる。って。

…好きな子にあんな顔されるってキツイな。

でも、一人にさせておくと、危ないから。何の為に強くなった?あの子を守りたいからだろ!自分がどう思われようと、安全な状態にしておかないと。って思い、両方の頬を両手でパンって叩いて、気持ちを切り替え、探した。





ユウリ「えっ!な、何で...?」

ん、何が?

ユウリ「いや、もっとこう、キャ、キャ、ウフフっ的なの期待してたのに!!」

いやまあ、そりゃ、酸いも甘いも乗り越えてってやつですよ?

ユウリ「イヤイヤ、待って、だって、3年だよ?修行で死にかけ、ディアス師匠に半殺しにされながら耐えたんだよ?もっとご褒美的な回は?」

食事でデートしたじゃん。依頼でカッコイイとこ見せたんでしょ?

ユウリ「イヤイヤ、ササメちゃんだって地獄の日々耐えてたんだよ?俺の頑張りは?せめて、ほら、ササメちゃんからカッコイイって抱きつかれるとか、ラッキースケベでプンプンされるとか!」

へー?そういうの期待してた?でも、ササメちゃん、お風呂入れないじゃん。しかも、そういうのお互い恥ずかしくて出来ないキャラでしょ?

ユウリ「う...。でも、なんか、ササメちゃんからキスされるとか!甘甘の雰囲気になるとか?」

...作者に期待するだけムダのような...。

ユウリ「あの、地獄の日々を耐えたのに!!」

ディアス「ほう?アレでか?訓練が足りなかったと見えるな。」

あれ、何か怒り気味?

ユウリ「えっ!ディ、ディアス師匠!やだなぁ、ディアス師匠の訓練は楽しくこなさせて頂いてましたよ?」

お~い、目ぇ泳いでますよ?「おい!!」まぁ、半殺しでしたもんねえー。

ユウリ「そうそ..っておい、解説!!イヤイヤ、あれぐらい楽勝でしたよ。うん、楽にこなせてましたって!!」

ディアス「そうだよな~。楽勝だったよな?それぐらいの感覚で乗り越えられるようになってなきゃな?って事で、もう少し楽しく付き合えよ?」

ユウリ「へ?な何で!!どう答えても、ダメなパターン!」

ガシ!

ユウリ「イヤー...首、締まる首締まる、引きずらないで、お願いー」

ディアス「今までの訓練が天国だったと思えるくらいしっかり鍛えてやるよ!!」

ユウリ「...因みに、拒否権は?...」

ディアス「あると思うか?」

ヒィ~、ニッコリ笑ってるのに怖ー!

ユウリ「...(か解説!!後で覚えとけよ...。)ガックリ」

し~ら~ない。



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