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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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放浪の旅へ

ササメside


あれから、転々と各地を移動した。あの村以外の所では、やはり外套を頭からすっぽり被らないと、すぐに絡まれた。もちろん、ユウリが近くにいたし、大丈夫だったけど。ユウリはずいぶん大きくなった。見上げないと、顔を見ることが出来ないくらい。ギルドに行くと、本当にSランクになっていたし。二つ名はかなり気になる名前だったけど…。

「自爆の炎操者」

って何?どうして、そんな、名前になったのか気になるんだけど…。

しかも、微妙に避けられてるし。ユウリがパーティー組もうと誰かと目を合わそうとしても、ほぼ全員が視線を逸している。どうしてなのかな?と受付嬢に軽く尋ねると、

「そりゃあ、「自爆の炎操者」様ですからねぇ。噂を知ってる人は組みたくないと思いますよ。」

…ユウリ、何をしてきたの?ジトーとユウリを見る。

「いやぁ、ダンジョンで、罠にかなり引っかかってね。結構な人いたし、見られてたみたいだ…。」

ユウリは手で頭をかきながら、苦笑いをしている。受付嬢は、ニコニコしながら画面をタッチして、依頼顛末情報を開き、

「いえ、その件だけではないみたいですよ~。Bランクのハニービー退治、それから、Cランクの薬草採取事件…。」他にも、色々、トラブルが起きたらしい。レベル外の魔物が大量に現れたり、ミスって凄い大変な事になったり、まともに普通に依頼が終わることが少なかったらしく、トラブルメーカーとして避けられているとか…。まぁ、その中でダンジョンが1番有名で、しかも、冒険者といえばダンジョンが多いので、自然と…。という事を教えてくれた。

「ま、まぁ、ユウリ昔から、ドジだったしね…。」

ササメは遠い目をした。

何となく、理解したところで、久々に一緒に依頼をした。本当に強くなってたし、びっくりした。風飛びモドキも身につけていたし。イヤ、あれ、風飛び?もう、別もんじゃない?みたいな感じだけど。カクカク動くから、動きが…心臓に悪いし、でも、風飛びより緩急はすごくつけられるみたい。その代わり、直線的だから軌道が読み易いのかな?

無事、普通に魔物退治を終わらせてくると、受付嬢にどうだったか訊かれたので、普通に大丈夫だった事を伝えたのだが、その魔物が変異種だったらしく、周りから「やっぱり、やべぇって…」と周りから声がしていた。

…なんだろう?少し理不尽だ…。噂が先走りしすぎではないかと思う。

確かに、Bランクじゃなさそうだったけど、そんなのたまにあることでしょよ?ワンランクアップの魔物が出てくるぐらい…。

「何怒ってんの?大丈夫だよ。それに、この方がササメちゃんと依頼が受けれるから良いよ。」

「うん。まぁ、そうだけど、普通に依頼をこなしただけなのに…。それに依頼のランクより実際のランクが高かったなんて、よくあることでしょ?」

私が不満そうに言うと、横からノリツッコミされた。

「あ~、よくあるよくあるって、あってたまるか!実力のない奴にとっちゃ、イレギュラーは命取りになるからな。特に、命のやり取りが懸かる冒険者だ。仕方ねぇ事だと思うぜ。」

…凄いマッチョのギルド職員?のおじさん?お爺さん?が、そう言う。

「まぁ、実力があったって、死ぬときゃ死ぬ。イレギュラーが起きやすいってことは、普通に嫌がられる要因になる。まあ、そんな膨れなさんな。その代わり、割増料金だ。」

って言って依頼報酬をユウリに渡してくれた。ついでにユウリの頭をワシャワシャ撫でながら、

「まぁ、有名になったのはそれだけじゃねえから。短期間でSまで登りつめたその実力も伴ってのもんだ。まぁ、「風来坊の閃剣」に認められて弟子入りまでしてんだから、当然かもしれんがな。」

カッカッカッって笑いながらさっていく。

「えっ、それ誰?」

私がユウリに訊く。ユウリはニッコリしながら顔を外に向けて、

「ササメちゃんも知ってるよ。まぁ、まず食事でもしよう。長くなりそうだし。」

近くのレストランに入って、ってレストランだよ!?ユウリ、すごく稼げるようになったんだね。で、注文を済ませると、ユウリは話してくれた。


ディアス師匠だよ。界隈では有名らしくって、ほら、1度は、冒険者の指導しないといけないんだけど、してなかったらしくて、本来ならAランクじゃなく、Sランク以上の実力があるって有名な人だったらしい。でも、誰も指導しようとしなかったんだって。頼まれても「俺がする必要あるか?」って、全て断ってたらしいよ。で僕を指導した事で、Sランクに自動昇格。ちなみに、さっきのマッチョな人はこの街のギルドマスターで、ディアス師匠がお世話になってたんだって。

えっ、ぼ、俺はしたよ、Fランクの指導。じゃなきゃ、なれなかったよ、Aランクも。その時の指導で、Cランク薬草採取事件って言われたんだよね。…嫌だなぁ、そんな、危険なとこ行くわけ無いじゃん。Fランクの魔物しか出ないって聞いてたから、その場所に行ってたんだけど、何故かスライム大量発生しててね。まぁ炎で、纏めて、集めて後少しってところでドジってスライムの群れに突っ込んで、取り込まれかけたけど、アイツら炎に弱いから。Fランクの奴らは皆守ったよ。結界張ってさ。その時かな、自爆の炎操者って不名誉な二つ名ついたの。…あはは。って。

「あははっ、じゃないでしょ!何危ないことしてんのよ、そんな事したら窒息死しちゃう可能性大だよ!!」

「うん。まっ先に気道塞ぎにきたね。アイツら。炎属性で良かったよ。」

「妹のジュリちゃんにしこたま怒られてるんだろうけどさ。まったく。あっ、このアイス美味しい。」

「それ、ジェラートっていうんだって。…ジュリは村にいたから、知らないと思う。ディアス師匠と出かけてた時だったし。…まぁ、他の件で結構怒られてるし、もう大丈夫だろ…?」

ユウリは目を泳がせている。

「知りません。絶対怒られると思う。」

なので、キッパリ言い切ってやった。

「うん。ダロウネ…」

「まぁ、美味しかったし、ご馳走様。」

その後、宿に泊まりに行く途中、ユウリが立ち止まった。

「ユウリ?どうしたの?」

「ううん。何でもない。宿についたら、ちょっと仕送りしてくる。」

何か、違う事考えてたんじゃないかなって思ったけど、聞いて欲しくなさそうだったから。

「ジュリちゃんに、だね。わかった。」

素直に頷いた。

ユウリは宿についたら、結界を張って、私にここから出ないように言ってから、宿から出ていった。もちろん、数分後には戻ってきたけど。ユウリはすごい機嫌が良くて、これなら、尋ねていいかなって思ったけど、「内緒。」って言ってオデコにキスされた。何だったんだろ。

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