聖職者side
時系列ムチャクチャかも。すいません。
ディアスさんが、情報をどうやって仕入れていったか、また、雪女の情報が何処から漏れたのかの補填みたいな回です。
ユウリに1人で依頼をこなさせつつ、ユウリに内緒で行動中!!
今日も1日、朝のミサや、子供の小さな怪我を治したり、墓の掃除をしたり、赤髪のお嬢ちゃんが聖書を覚えに来て、帰っていった。そうして1日が過ぎようとした時に、寝室に誰か入り込んでいるのに気がついた。
「誰ですか?」
勢いよく扉を開けると、村で高ランクの冒険者の人だった。
「ちょいと、確認したいことがあってな。お前さん、これ、どうした。」
その冒険者が手に持っているのは、涙晶石だった。
私はその時、悟った。この人は、もう、全てを知っているのだろうと。
「おい、別にバラそうとか、そういうので来たわけじゃねぇよ。多分、誰にも知られたくねぇだろうと思ってな。この時間にこの部屋で待たせてもらっただけだ。」
座りこんでいた私を立たせて、ドアを閉め、その冒険者は結界を張って、音が外に漏れないようにした。
「話してくれるな?大まかな予想はもうついてる。」
私は、意を決して話すことにした。
「涙晶石は、以前、ポイズンスパイダーで死にかけた、少年の冒険者がここで治療を受けた際に、その子の使い魔がここで落としていった物です。」
話し始めると、スラスラと言葉が出ていった。
ある日、村の中で火災が起きて、重傷者が既に一名出ていて、治療をしていた事。他にも、火事の怪我人もいて、魔力をほとんど使ってしまっていた事。そして、その日に、赤髪の少年の妹が、風邪をこじらせ、重症なって死にかけていた事、薬が少なくて、買いにいかなければならなかったが、寄付のお金では足りなかった事。
そんな時、村全体で情報を規制して見守っていた、雪女の少女が落としていった涙晶石が頭に浮かんで…。売れば、闇商人に足がついてしまうことを解っていながら、売ってしまった事。もちろん、なるべくこの村だとバレないように、変装はしていったが、あまり効果はない事も理解していた。その売ったお金で、薬と、魔力を回復するポーションを買っていった事。おかげで、赤髪の少女は助かったが、これで良かったのか?と、ずっと悩んでいた事。村の人達の気持ちがわかっていながら、裏切った後悔。そういった溜め込んでいた感情が堰を切るかのように溢れて口をついていた。
全てを、黙って、高ランクの冒険者は聞いてくれていた。そして、私が黙り込むと、
「まぁ、確認としたら、こんなもんか。…アンタもそんなに気にする必要はねぇと思うぞ。俺からしたら、村の連中もアンタもたいして違いはねえよ。」
ディアスside
元々、情報が何処から出たのかを探っていた。隣町の魔技師ギルドに、涙晶石が売られた事と、薬師のところで、大量の金銭のやり取りがあった事が解っている。大量の薬が要るのは、聖堂くらいだろ。
今回、闇商人のやり方が遠回し過ぎた。多分、確実な情報がなかったのではないかとみていた。依頼を冒険者ギルドに出す、諜報員を紛れ込ます、流れの有名冒険者を雇う。どれも、雪女が居なくても、それが確認できれば良し、居れば尚良し。って感じだった。そうでなければ、裏の住人に確実に雪女を回収するように依頼されていただろう。その場合、ユウリは確実に殺されていた。ただ、確実な情報でないにもかかわらず、ここまでお金をかけたのは、おそらく…。
「なぁ、神父さん、ササメの涙晶石まだ持ってるか?」
ササメの情報を辿るのに、確実な方法が1つある。もし、予想が当たっているならば、だが。
聖職者は、薬をしまっている棚の奥から、布袋を取り出した。
「部屋に落ちていた分です。もう、私は持っていたくありません。」
聖職者は俯きながら、そう言って布袋を俺に手渡した。雪女が捕まったことを知っているのだろう。村の奴らの大勢は出ていったとしか思ってねぇみたいだったから、知らねぇかなって思ってたんだが。
「あんなァ、あんだけ堂々と雪女が冒険者してたんだ。いずれは捕まってたさ。この村の誰もが、危険を知らせたり、忠告したりしなかったンだから。」
と、言いながら涙晶石の品質を確認する為に、魔力を入れ込んでいった。
「だから、高価な涙晶石を平気で残していったり、雪女が迂闊な行動をしていた。ドランの野郎がちゃんと教えときゃ、そもそも、仲良くなる前に、別れてたかもしれねぇし、涙も置いていかなかったろう。俺からしたら、どっちもどっちさ。」
自分の魔力は、身体強化や風飛び、剣に魔力を纏わせたりと、魔法こそ使わないが、結構頻繁に使う為に、普段から鍛えていて、少なくないはずだった。
「それに、目の前に、誰かを助ける手段があって、その手段が、コレを売ることだったんだ。誰が責められる?そうしなきゃ、その少女は助からなかったんだろう?」
そう言いながら、ほぼ全ての魔力を入れ込みそれでもまだ余裕のある涙晶石の状態をみて、特級品だとすぐに理解した。…やっぱりな。
「なぁ、コレさ、特級品なんだよ。これで、薬の補充とポーション類一通り、それから、いざというときのエリクサーも、ここに補充出来る。後悔より、有効活用しねぇと勿体無ぇだろ?」
と、半分の8、9粒を袋の中に残して聖職者に押し付け、残りの半分は貰う事にした。
「こっちは、ササメの情報集めと、ユウリがササメを助ける時の資金にさせて貰う。」
まぁ、ユウリがSランクになり、ササメがその時まだ生きていたら、だが。ダメなら、ユウリの独立資金として、とササメの形見として、渡してもいいしな。
ササメの涙晶石が特級品だった事で、面倒だが貴族から辿れば、どの闇商人なのかすぐに判るだろう。特急品なんて、稀少だから、身を護るための装飾品として売られているだろう。
闇商人の情報網を辿っていかなくて済むから、途中で切れる事もない。
商品の出処から探ってけば、確実だ。
ディアスさん…太っ腹って褒めてたのに…ササメの涙からある程度回収してたんですね…。
ディアス「流石に全て自腹なわけねぇだろ…。そこまでお人好しじゃねぇよ…。」
程々ですもんね。ほどほど。
ディアス「期待させちまって悪かったな。まぁ、そんなもんだろ。」
ユウリ「そんな事、ないです。凄くいい人です。だって、俺の事見捨てずに修行つけてくれるんですから。ギルドで指導頼もうと思えば俺、破産しますよ!ってか命も救ってくれてますしね。」
ドラン「ってか、今回、俺、結構ダメ出しされてねぇか?」
うお、どこから出てきた衛兵1さん。
ディアス「だって、おめぇ、面倒くさがって説明省いたろ。忠告もな!お前、ぜってぇわかってたろ。」
ドラン「いや…まぁ、そうだが、何とかなるんじゃねぇかとも思ってたんだよ。」
そうそう、眠かったんですよね~(笑)
ドラン「うるせぇ!ああ、ああ、どうせ俺が悪いのさ!」
ですよねぇ~。フフフ
ドラン「って、そこは違うって突っ込むトコだろ!」
いや、突っ込んで欲しそうだったので、あえてスルーですよ。ほら、自己弁護出来る人には必要ないでしょ(笑)むしろ落ち込んで反省してくださいネ?
ドラン「え、いや、お俺、いい人枠じゃなかったっけ…え、まマジで…」
マジです。