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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ユキハside

ササメはしばらくすると、泣き止んで、ぽつぽつ語り出した。小さな集落にいた事や、元契約相手と一緒に依頼をこなしていた事、使い魔として、開拓村に1年出入りしていた事、ある冒険者に忠告を受けるまで、雪女が狙われるなんて意識していなかった事。

(ユキハ)は静かに聴いていた。とても複雑な気分だった。

こんなとこに、ずっといるから、もう、素直に泣くことは、ずっとしていなかった。素直に泣ける事が、羨ましかった。

開拓村に一年間居て、捕まらなかった事も。

閉鎖された田舎だったのだろう。雪女だと騒がれたことも無かったらしい。(ユキハはたった2日、街に滞在していただけで捕まったのに。まだ、こんな感情が、あったなんてなって苦々しく思いながら目を閉じて気持ちを落ち着けた。

私は、話を聴くまで、ササメは使い魔契約した相手に騙されたのだろうと思っていた。実際、売り渡しては、引き取り、を繰り返し、使い潰される雪女の話を聞いたことがあったし、此処にも、使い魔の契約者に裏切られて来た奴もいた。ソイツは長く持たなかった。

でも、話を聴いていると、使い魔契約の相手もササメも無知だった。だから、使い魔の契約相手に騙されたって事はないのだろう事も、ササメが本当に成人してない事も、理解(納得)してしまった。だって、ポイズンスパイダーで死にかける険者が雪女と契約なんて、お互い(ササメも契約相手の方も)に自殺行為もいいとこだ。

使い魔契約していた、元契約相手の事を想い泣いたササメ。相手が本当に大切なのだろう。

そんな相手が居る事も、羨ましかった。

私が、心を落ち着かせていると、ササメは、魔力の精密操作が、まだ上手く出来ないから、教えて欲しいって言ってきた。こちらとしても、生きていてくれた方が助かるので教える事にした。


それから、生き死にがかかっている分だろうか、魔力の精密操作を必死で修得していた。

自分(ユキハ)の負担が減った分、ササメの負担が増えた。どうやら、ササメの涙晶石の質が良かったらしい。ボロボロになって戻ってきては、幾度となく魔力の補充を施した。それでも、ササメは生きる事を諦めなかった。理由を訊くと、ササメは少し笑って、「きっと、私が死んだら元契約相手は悲しんでくれる。でも、そんな思いさせたくないから。」って。「仮契約破棄状態でも、繋がっているんでしょ?」って、そう言った。

ユキハには、理解できない事だったけど、仮契約破棄がササメにとって心の拠所らしかった。




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