ササメside
…ホントの事なんだけどな…。なんだか凄く疲れたな…。元々疲れてたけど。まぁ、普通、あの人みたいに親切に教えるってナイと思うよ。奴隷として売り渡す人が、そんな事するかなー?って自分が聞く立場だったら思うもん。仕方無い…か。そう思った時に、''使い魔契約してた奴が''って聞こえて、びっくりした。
ササメ「…あの…どうして、使い魔契約してた事を知ってるんです?契約破棄すれば、契約印、跡が全く残らないはずですよね?」
ユキハ「あ?そんなの、契約破棄が完全にできてないからさ。あんた、一方向で契約したろ?」
笑っていたユキハが、事も無げにそう言った。
えっ、契約破棄が?どうして?…ユウリは大丈夫なんだろうか…。一気に不安になった。
ササメ「はい。でも、どうして?…それに、それなら、奴隷印が刻めないはず…。」
ユキハ「ハハッ、…アンタ、それ本気で言ってんの?そりゃ無知すぎじゃないか?」
呆れたように、ユキハさんは笑ってコチラを見て、少しトーンを落として問いかけてきた。私は、不安で手が震えそうになるのを、ひっしで抑え込みながら、教えてくれるように頼んだ。
ユキハさんは、魔物が一方的に契約する時は、破棄出来なくなるリスクの事、それから、今の私は使い魔契約が仮破棄状態になっていて、奴隷契約の優先順位を高めるために、二重刻印が施されている事を教えてくれた。
ユキハ「ってか、こんなの大人になって集落出る時までに、教えて貰ってるはずだよ。一方行は絶対するなって。相手が、使い魔辞めさせてくれなかったら困るからってね。」
ササメ「…あの奴隷契約できてるから、元契約相手が…殺される事は…ないですよね?」
ユキハ「さぁね。邪魔に思われたら、消されるかもね。けど、まだ殺されて無いって事は、大丈夫なんじゃないの。」
ユキハさんは投げやりに、そう言った。
ササメ「使い魔契約、今からでも、完全に破棄できないですか?」
ユキハ「契約相手が本気で望まないと無理なのに、どうやって?だから、双方向にしときゃあ、良かったのに。破棄できるんだから。禁止されてるのをする方がどうかしてるよ。」
ユキハさんはそう言うとため息をついた。
ササメ「…そぅ…。」
私は、まだユウリと繋がっている事が嬉しくて、でもユウリを危険に晒していることが苦しくて、どうしていいかわからなかった。涙が溢れて来るのを止めることが出来なかった。
ユキハさんは、慌てたように
ユキハ「な、何で、泣いてるんだ。…あ、元契約相手なら、仮破棄済んでるし、あんたも、二重刻印のせいで弱ってる状態でもないし、狙われる可能性は低いって!…それに、元契約相手も契約するくらい強いんだろ?早々、殺られないよ!」
って言ってくれたけど、
ササメ「…狙われなきゃいいんです。でも、ポイズンスパイダーで、死にかけるぐらい弱いから…狙われたら…。」
そこから、先は言えなかった。涙が余計に出てきて喉がひくついてきて、泣かないように止めようと思っても中々止められなくて情けなかった。
ユキハ「…何で、そんな相手と…。」
ササメ「…ヒック…私ヒッ…無知だったんです。…ヒッ…狙われるなんて知らなかったから。」
ユキハさんは、微妙な顔をしながらも、ポンポンと泣き止むまで頭を撫でてくれた。