レンside②
パチパチと焚き火が燃えている。
「…俺に妹がいるだろうってどうして思った?」
ハッタリで言っただろうが一応聞いておく。
ササメ「フフッ、知り合いに似てたから、かな。」
「知り合いに?」
ササメ「そ。って言っても、容姿とかじゃなくて、ふとした時に見せる気づかう動作とか、手馴れてさとか、そういうの…あいつにダブってたから…。」
雪女はどことなく、寂しそうに言った。
「契約相手か?」
ササメ「…''元''ね…。今は契約相手なんていないし。それは、あなたがよく解っているはずよ。…奴隷契約印を刻んだんでしょ…。」
奴隷刻印されてる事は気づいていたんだな。だから、逃げなかったし、諦めてたのか。
「ああ…。」
こいつは、使い魔契約が、完全に破棄できていない事を知らないのだろう。知っていたら、例え、一部分であろうが契約相手を特定できそうな事は吐かなかっただろうからな。
まぁ、どちらにしろディアスが守ってんだ。そんじょそこらの奴に早々、殺られたりしないだろうが。
俺は、契約破棄状になってる事は、もちろん、俺が契約相手を殺そうとした事も、こいつに知らせる気はなかった。
ササメ「それにしても、魂の契約が、本来、こんなキツい物だとは思わなかったわ。…それとも、奴隷刻印だからかしら?」
「…さぁな。…魂に負荷のかかる契約じたい、した事のない俺に、わかるわけが無い。」
かなり、強引に重ねがけしてと奴隷印を刻んだから、消滅していてもおかしくなかった…。それを知らせる気もない。使い魔契約が仮破棄状態なのを知られたら、どうするかわからんしな。
ササメ「…そぅ、そうね。ところで、結界張るの、代わりましょうか?」
「その必要はない。しっかり休んでおけ。」
ササメ「…あんまり無理すると身体壊しますよ?魔力結構使うし…。」
「こういうのには慣れている。あと2、3日ぐらいどうってことない。それより商品を万全の状態にしておく方が大事だからな。」
まだ、奴隷印が馴染まずに、しんどそうにしているこいつに無理させる訳にはいかなかった。
ササメ「…そう。私は売り物ってわけね。じゃあ、あちこち傷んでるので、遠慮なく休ませてもらうわ。でも、必要であれば声かけて?…つぎの日起きたら、魔物の腹の中なんて勘弁だから。」
雪女はクスクス笑いながら、からかい口調で言った。
「ほざけ。そんな事にはならんから安心して寝ろ。」
「はーい。」と雪女は、幌馬車の中に入った。
まったく、こんな目にあっておきながら、''そんなに悪い人じゃない''なんて、どうやったらそんな感想出てくるんだ?頭がおかしいとしか思えなかった。ましてや、そうした相手を気遣うなど。これから、どんな目に遭わされるか知らないのだろうか。
とりあえず、今の魔力吸収の仕方では、攻撃魔法禁止の制約がかかるので、食事が出来なくなる。闇商人に引き渡せば、確実に餓死するので、王都に着くまでに魔力の精密操作を覚えさせ、凍らさずに直接魔力吸収を行うように、覚え直させる必要があるな。
いや、生きて引き渡せばそれで終わりなのだから、そんな必要はないが。あ〜もう!糞!見た目がガキなせいで、冷淡になりきれねぇ。しばらく寝込んでたのを世話してたから、少し情でも移ったか?まあ、転移陣の手続きやら移動で、まだ日にちがかかるから、そのついでだ。できるとこまで教えて、後は知らん!!
題が間違っててすいません。ディアスではなくレンです。ごめんなさい。