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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ディアスside②

ディアス「久しぶりだな、レン。いつぶりだったっけ?」

レン「さぁ、少なくとも、3年は会ってねぇな。俺は、王都に引っ越したしな。」

ディアス「ああ、まぁ、その前に俺も町出てぶらついてたしな。しっかし、Sランクかぁ、やっぱり差がついちまったな。」

レン「ハッ、お前ならすぐになれるさ。どうせ、貴族の依頼とか避けて、より好みしてっから、点数足りてねぇだけだろ。」

2人は酒を飲みつつ、昔話に花を咲かせていた。

ディアス「ところでさ、妹さん元気か?」

レン「…ああ、元気さ。謎の病気なんかにゃ負けねぇよ。半年以内に、顔見せてくれりゃ、妹も喜ぶよ。エリクサーもあるしな。」

レンは誤魔化しているつもりだろうか。まったく。つまり、エリクサーをもってしても、半年しか持たねぇって事じゃねぇか。そんな、めっちゃ作り笑いされて明るく言っても、不自然なんだよ。ったく。

ディアス「…それでか…。」

レン「おいおい、そんな顔すんなよ。まぁ、飲めよ。」

レンがコップに酒を注いで、何気なさそうに聞く。

レン「あ〜、ところでさ、お前、四日前ぐらいからこの村にいんだろ?なら、雪女とその契約者見てんじゃねーの?」

ディアス「ああ、契約破棄したってのも聞いたがな。」

レン「どんな奴だった?」

ディアス「?それきいて、どうするつもりだ?」

レン「いや、別にどうも。ただの、興味本位だ。じゃあな。」

嘘だ。ただの、興味本位のはずねぇな。このタイミングで訊くんだから。

レンが立ち去ろうとするが、こちらにも訊きたいことがある。

ディアス「レン、最後に…捕まえたのは見た目、少女の雪女か?…正直に答えてくれ。」

これは、はっきりさせておきたかった。白い花の髪飾りを、時期を見て、少年に渡すつもりだった。

レン「…何だよ、ソレ。ハハッ!」

誤魔化すなよ。レン。軽く睨みながら言う。

ディアス「お前程の奴が、この村にこのタイミングでやって来たんだ。それも、大事な妹さんを首都に置いて、だ。…雪女の捕縛以外考えられねぇだろ。」

レンを真っ直ぐ見た。レンは少し、悲しそうに笑う。

レン「和やかにしたかったんじゃねぇの?」

ディアス「この村で、出会った時点でそれが、無理なのは、お互いにわかってただろ。」

レン「…はぁ。ったく。わかったよ…ああ、そうだ…。」

ディアス「…そうか。せめて、定着させてから、出てきたんだろうな?」

レン「そんなすぐには無理さ。」

ディアス「…そうか。なるべく、苦しませてやるなよ…。」

レンは暗い目になり、何かを決意したかのように手を握り込む。

レン「…言われなくても、そのつもりだ!」

ディアス「じゃあな、元気でやれよ。」

レン「ああ。」

レンは勘定を済ませて出ていった。。


ディアスは、クイッと酒を煽った。レンは、妹の為なら、もう、どんな事だってするつもりだろう。例え、妹がそれを望まなくても。奴にとって妹は、大切な存在であり、トラウマでもある。やるせなかった。

感傷を振り払っていると、ディアスはふと、違和感を感じた。自分は、何か見落としている。何を?

レンは、妹の延命の為には何だってする。それはもうわかってる。

ササメはもう、捕まった。それは、もうどうしようもない。終った事だ。なら、''なんで、契約破棄相手の事を訊いた?''捕まったのだから、それで終いのハズだ。契約破棄されているから、奴隷印を刻める。レン程の腕があれば、奴隷刻印の定着など、半日あれば終らせれるはず。なのに、定着させずに出てきた?そもそも、どうして、終わったにもかかわらず、村に飲みに出てきた?情報収集はいらないのにか?何を見落としている?考えながら、ウトウトと、酒場で寝ていた。


''後で、事情を説明する。''

ドランの言葉が、浮かぶ。

''少年(ユウリを気にかけておいてくれねぇか?''

…まさか…。慌てて起きて勘定を済ませて詰所に向かう。


ディアス「雪女が、村に入った時の事が知りたい。」

ノルガ「帰ってくれ!!もう沢山だ。」

顔もあわさずに怒鳴られる。こっちも荒れているな。

ディアス「そういう訳にはいかない。大事な話だ。」

ドラン「何がききたい?」

ドランさん、あんたは知ってるだろ?ききたい事。

エトセ「おい。ドラン、どうせ、あいつと同類だろ?なん…」

ドラン「黙れ。その口塞ぐぞ。」

ドランが、ノルガとエトセをひと睨みして黙らす。

ディアス「雪女は、確かに奴隷印が刻まれていたのか?」

これだけは、すごく大事な事だった。チラリとよぎる最悪の事態を回避出来るかどうかの。アイツに犯罪者になって欲しくねぇし、少年にも生きてて欲しい。

ドラン「ああ。ご丁寧に二重刻印でな。」

ディアス「二重刻印!?なぜだ?」

普通の奴隷印でも負荷がかなりあるのに、二重刻印するなんて、よっぽど上手くやらねぇと、刻まれた奴は生きられねぇ。レンがそんな事知らないハズがないのに!!

ドラン「使い魔契約の破棄はされていたが、仮どまりだったからだ。…俺らはここから、離れられねえから、あいつ、守ってやってくれねぇか?」

ディアス「!!」

俺は、急いで詰所を出た。そんなの想定外だ!ユウリがヤバイ!!村の中を走って探す。どちらでもいい。レンでもユウリでも…気配の消してる外套で覆った男と少年が目に入る。人混みを避けながら、ユウリを庇える位置に急ぐ。間に合え!!












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