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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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レンside

荷物を担いだまま宿に戻って、部屋に入ると結界を張った。荷物を優しくベッドに降ろして、ロープを解く。でてきた雪女の生命核に触れて、状態を確認するが状態は芳しくない。魔力を同化させて少しずつ流し込み、空になっている魔力を補充してから、奴隷印の定着を速めるように、そちらにも手を加えるが、あまり成果はない。これ以上、こちらに出来ることも無い。「チッ」舌打ちをして部屋から出て外からも結界を貼ると、情報収集するために村に出た。あの部屋に残ってると、妹を思い出してしまう。それがほんとの妹なら、まだいい。他の、ましてや雪女に、妹の状態を被せて見てしまうのは避けたかった。ベッドで苦しそうに寝ている。共通項などそれしかないのだから。


今からなら、市場の方が賑わっている。少し買い物をしながら、色々聞き出していく。必要な薬草も買いながら、冒険者ギルドの方にもよって、雪女の事や、契約破棄の話など、軽く、職員に聞いていく。宿に戻って、雪女の容態を確かめ、魔力補充と、薬草を固め丸めた物を喉の奥に指で突っ込み水を流すが、上手くいかない。仕方が無いので、俺は口に水を含み雪女の口に流し込む。舌を使い喉の奥の薬草を飲み込ませていると、僅かに抵抗されるが、すぐに意識が途切れたようだった。口をゆすいで、昼飯をとり、どうやって、ユウリって契約破棄相手の冒険者を探すか考えながら、奴隷印に魔力を注いで定着を早まるように工夫を重ねていた。わかっているのは、まだ、Fランクの冒険者で、市場が賑わう時間帯から、夕方まで依頼をこなしに出ることが多いって事や、赤い髪だって事。明日の朝迄に見つけなければ。使い魔契約を完全に無くし、雪女の奴隷印を1つ消して、確実に生かして引渡しをするために。夕方まで少し休み、相変わらず意識が戻らない雪女の容態を確認してから、宿を出る。途中、かなり落ち込みながら、通り過ぎる赤髪の少年を見かけた。冒険者ギルドに向かっているようだった。ふと、振り返ろうとした時、視界に懐かしい奴が入る。向こうも、こちらに気がついたようだった。

ヒュー、ポトッ。鳥が飛んでいく。


ーここで、会いたく無かったよ…。ディアス…。


ディアスの右手には、白い花の髪飾りが握られていた。確か、雪女がつけていた。


お人好しの彼が、自分がしている事、しようとしている事を知れば、もう、以前のような関係には戻れないだろう。そして、それは、此処で顔を合わせてしまった時点で、既に手遅れだということも。


顔にベッタリ、緑の糞がついていた。少し固まっていたので、よけ損ねた。うん、かなりの手遅れだ。


ディアス「ブッフォ!レン、お前、嘘だろ。あんなのよけねーなんてっ。ンププッ」


手持ちの布で、拭いつつ、

レン「うるせえ!ディアス、お前こそ、どこほっつき歩いてんだよ。地図も読めねぇ分際で!」

ディアス「なっ!!いつの話だ、そりゃあ!今は読めんぞ。ちゃんとな!!それに魔鳥の群れだって今なら問題なく、退治出来るしな!大体、…はぁ、レン、お前、今から酒場付き合えよ。どうせ、行くつもりだったんだろ。」

レン「ああ。まぁな。」

表面上は和やかに、お互い内心を隠しつつ、酒場に向かった。




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