衛兵2side
最近はいろんな奴が増えてきているなぁと思う。朝早くから、Sランクの冒険者も来て、依頼をしに出ていった。この辺、Sランクが受けるようなやつ無いのになぁ。まぁ、ちょと柄の悪い、有象無象の冒険者も増えてきてるけど、そいつらは、もうちょい後からだろなぁ。その頃にゃ、ドランに替わって貰ってるし。栄養剤飲んで寝よう。
ってか、今気付いたけど、ここの3交替制ってかなりのブラックじゃねぇ!?しかも起きてたら雑用もするしね。3人中2人は起きてないといけないし、 ねる時間何処へ?しかも、此処から離れるの駄目だし、やっぱり、ブラックさんですかぁ?まぁ、宿代無料だし、1年中2ヶ月は長期休暇取って良いんだけどさぁ…。主に、冒険者の余りやすい冬場。
何処にも行けねぇよ!!雪深くてね!!泣くぞ、こんちくしょう!!
せめて、彼女欲しいなぁ~。ってか、この職業じゃ無理じゃねぇ?無理っぽい。ってか無理だな…ハハハ‥。ガクッ。
今日はドランが、もう、起きてて、何故か山の方を見て睨んでいた。そういえば、今日は寒いな。夏なのに。
おっ、Sランク冒険者が戻って来た。早いなぁ。再びカードを提示してくる。
何か、担いでいる。
ノルガ「それは、何だ?」
レン「魔物だ。奴隷印も刻んでいるので、問題ない。」
ノルガ「一応、規則なんで見せてくれ。」
レンって奴が、荷物を降ろして、広げる。それが目に入った瞬間、怒りがこみ上げた。
ノルガ「なっ!!ササメ嬢!あんた、どうしてこんな事を!!」
俺はSランク冒険者に掴みかかろうとした。がドランが間に入って抑えた。
レン「魔物なんだから、冒険者がどうしようと勝手だろう。村の中に入れるにあたって、奴隷印も刻んでいる。」
こいつは何故、こんなに冷淡に答えてる?こちらに対して威圧を、含んだ目を向けて。
そこに居る娘は、いつも、明るい声で挨拶してくれて、時々、差し入れで、皆にってパン持ってきてくれたりもしてくれていた。詰所を涼しくしてくれたり…。なのに、今は、ぐったりしていて、顔色も悪く、苦しそうにしていて、存在感も希薄になりかけている。こんな事、許されるのか!?っ俺は!こんなのっ!だが、ドランも、俺に対して殺気を飛ばして、動けなくて…。
ドラン「そいつ、この前まで使い魔だったから、俺達、よく顔合わせてた。だから情が移っててな。失礼な態度をとって、すまない。」
なんで、こんな奴にあやまるんだよ。ドランだって…あんなに、話してたし、悪い事にならないように、気をつけてたじゃねぇか…。どうして…。視線が下に向いた時、ドランが思いっきり手を握り込んでいるのが見えた。…そっか、平気なはず…ねぇよな…。
ドラン「あんた、仮契約破棄の上から二重刻印の奴隷印を刻んでいるこの状態で、生きて引渡しは不可能だろう。困るんじゃないか?他の雪女を捕まえて来た方がいいだろう。…あんたなら、雪女を捕まえるのなんて、わけないだろう?こいつは、逃がしてやってくれないか?」
レン「時間が足りないし、他の雪女がいるかどうかもわからないのにか?」
ドラン「逃がす気は無ぇって事だな。なら、悪いが、さっさと出てってくれ。今にも、アンタを殴ってしまいそうだ。村にも、そいつを知ってる奴が沢山いるから、トラブルになる前に、早めに出てってくれ。」
ドランは、そう言うと、俺を詰所の方に押し込み、冒険者にさっさと行くよう促した。
冒険者は、村の方に消えていった。ドンって大きな音と「くそったれ!」って声が聞こえてきて、俺は、自分がドランに守られたこと、何も出来ない歯痒さに、苛まれていた。