ユウリside
気がつくと、目の前にぼゃっと少女の顔が、目の焦点が合いだすと、青い目が覗き込んできていてびっくりした。えっと、僕は確かツノラビットと戦っていて…その後の記憶がない。
少女「君、大丈夫?ツノラビットに狩られるぐらいなら、この辺危ないから戻った方がいいよ?」
少年は少女を観察し、状況を整理しながら「助けてくれたんだ?ありがとう。」と微笑んだ。
少女は白い着物に赤い子供帯を脇で蝶々結びにしていた。水色の髪が耳したで揃えられていて、なんだか座敷童子みたいだ。
少女「家が近くなら途中まで送ってあげるよ?」
親切にしてくれているのだけれど、そういう訳にはいかなかった。
少年「いい。今は食料が要るから狩りしないと。」
家にはお腹を空かせた妹が待っている。「ほい、これどうぞ」少女は、ずいっとツノラビットを渡してきた。「えっ、これいいの?君も要るんじゃ…あっ、君の名前なに?」少年は慌てて尋ねる。
「いいの、いいの。残りの3匹は先に貰っちゃったしね。私の名前は細雪、君の名前は?」
「ササメちゃんっていうんだ。僕はユウリ。」
自己紹介をしながら、あそこにツノラビットが、他に3匹も隠れていた事を知って、改めて気を付けようと思った。