ジュリside
今日は、バザーの手伝いで、荷物を広げて並べるのと、呼び込み、後片付けの手伝いをしてきた。少し遅くなったので、急いで夕飯の準備をする。って言っても、簡単スープとパンを切るだけなんだけど。準備を済ませて、あれ?まだ帰ってこないやって思ってたから、外から、ササメさんとお兄ちゃんの声が聞こえてきた時、慌ててドアを開けたの。ドカッ!!
「お兄ちゃん、おかえり!!」
開けると、そこにはササメさんしかいない。ササメさんは、危なっかしい兄を何度も助けてくれている人で、おねぇちゃんみたいな人で、私より、少しばかりお姉さんかなって見た目なんだけど、魔法使えて凄いの!!ただ、熱い食べ物は駄目みたいで、凍らせてから、シャリシャリ食べてたの見てて驚いた。でも、それ以来、熱いの食べないようにしてるみたい。
「ササメさん、こんばんは。お兄ちゃんは?」
私が、そう聞くと、ササメさんはすっとドアの横を指さして、「…そこに…」私がドアの向こうを、のぞき込むと、頭をかかえてしゃがんでいるお兄ちゃんが。こんな時まで、かくれんぼの精神なのね。「お兄ちゃーんっ!!」て思いっきり捕まえに行った。ゴツン!!
ササメ「あ…。ジュリちゃん石頭だから…。…チーン。ご愁傷様です。」
ユウリ「…死んでねぇ!!ドアと頭突きで、死んでたまるか!てか、妹の頭突きはむしろ、ご褒美!?」
ササメ「ツッコミ、お疲れ様。ってか脳細胞が死滅した?」
ジュリ「ええっ、お兄ちゃん、更に馬鹿になったです?」
ユウリ「なってねぇよ!ってか、更にってなんだ!…あ〜、ジュリ、今日も夕飯ありがとな。」
お兄ちゃんは、机の上をみて、頭を撫でてくれるです。
ジュリ「お兄ちゃんも、冒険者稼業お疲れ様です。」
私は、兄に向かって手の平を出し、ニッコリ笑う。お兄ちゃんは、苦笑いしながら袋をそっと乗せる。
ジュリ「はい、確かに。では、お席にどうぞ。ササメさんも、上がってって。」
ササメ「ありがとう。でも、今日はお別れを言いに来たの。最後に夕飯一緒にしようと思って。」
私は、ちょっと悲しくなった。だけど、いつまでも頼ってるわけにはいかなだろうなって思ってたから、そんなにショックは受けなかった。
ジュリ「そう、ついにお兄ちゃんに愛想を尽かしたのね…。いつかそうなるって思ってたの。お兄ちゃん浮気性だし…。」
って泣きマネしながら反応を伺うと、ササメさんは何を思ったのか
ササメ「…ユウリって、やっぱり、女ったらし?…キスとか上手いものね?…フフフ」
って、なんか黒いオーラを出して笑い、本気にし出すので、こっちが慌てたよ。
ジュリ「ええっ!嘘ですよ。…って、キス?」
私はすぐにジロリと、お兄ちゃんを見ると
ユウリ「ま、待って!勘違いしてる。妹が病気したとき、薬飲ますの口移しだったから、その時のやり方で、しただけだから!!」
お兄ちゃんが、慌てて弁解する。
ジュリ「ああ、この前、寒かったときに風邪ひいて意識飛んでた時の?…うん、飲ませてもらってたです。」
ササメ「ああ、ジュリちゃん、あの時かなり危なかったもんね。」
ジュリ「ヘェ〜、キス、ね。そこまでいってて、別れるですか?」
私がササメさんを見ると、ササメさんが少し俯いた。
あれれ、反応が違うよ~!!ここは慌てるのを楽しみにしてたのにっ。
けど、事情をあらかた話してくれて、なら、仕方ないじゃんって思った。お兄ちゃんとは、別れるつもりないって言うし、なら、会えなくて寂しいのはジュリだけじゃん。
ササメ「とんだ疫病神で、ごめんね?」
ジュリ「本気で言ってたら殴るですよ?そもそも、お兄ちゃん、何度死にかけて助けてもらったと思ってるです?」
ユウリ「ホントだよ。ッイテ」
ジュリは心の中で、兄は反省するです!!ってツッコんで、兄をジト目で見ながら、頭を叩く。
ジュリ「お兄ちゃん、かき氷の差し入れくらいするですよ?」
ユウリ「いや、無理だって。怪しまれるし。」
ササメ「溶けちゃうしね。フフ。」
そうこう話してるうちに、食事を食べ終わって、お水を飲む。
お別れなので泣きそうですけど
ジュリ「そのうち、冒険者登録して会いにいくです。だから、またです。」
って言って、堪えて、笑った。
ササメ「うん、ジュリちゃん、またね」
ササメさんも合わせて笑ってくれた。
ユウリ「ササメちゃんと詰所まで一緒に行くから。お留守番よろしくな。」
ジュリ「任せて!お兄ちゃんも、しっかり送って行くですよ?」
私は、ササメさんが来てからの賑やかになった1年を、もう、戻らない、家での楽しかった''ひととき''を思い出しながら、2人を見送った。