ササメside②
とりあえず、ユウリのおかげで、落ち着いて来た。違う方向にムカツキがあったおかげで、かな?じゃないと、違う意味でパニクってたし。
ユウリ「とりあえず、集落の皆には伝えないといけないってことだよね?それから、後のことを考えよう?」
ユウリが今後について話してくれてる。
ササメ「ううん、それも大事だけど、先に使い魔契約の破棄を済ませたいの。詰所に出るときに出来るから、できれば今日中に。」
私は、ユウリの提案に首を横に振って答えた。やっぱり、ユウリが危険な状態なのは嫌だったから、早く破棄したかった。
ユウリ「…僕は、ササメちゃんと別れたくない。」
ユウリはぐっと手を握りこんで俯いている。私は、その握りこまれた拳をそっと触って
ササメ「ううん、あのね、使い魔契約したのは、一年くらい前でしょ?だから、その前に戻るだけ。…私もユウリと別れたくないし…。」
ユウリの言葉は嬉しかったし、自分も、ちゃんと伝えたかった。言ってみると恥ずかしくて、顔があつくなるのがわかった。
ユウリ「ダメだ!!そんな事したら、ササメちゃんが捕まったとき、危ないじゃないか!殺されたり、奴隷印刻まれたらどうする!!」
ユウリが怒ってくれてるのが、嬉しかった。けど、ズレてる。殺される危険は今だってあるのだから。それにユウリを巻き込みたくない。それに、私は奴隷にされる確率の方が高いから、ユウリだけ殺される方の可能性が高いのだ。
ササメ「あのね、私、思うんたけど、逃げるだけなら大丈夫なんじゃないかなって、一応、討伐ランクはAの魔物だし。使い魔契約を破棄したら人に対して攻撃もできるし。むしろ今の方が、もし悪意のある人がいたら、危ないと思う。(とくに、ユウリが。)」
そこまで、言い切ってから、ニンマリ笑って、さっきのキスのお返しで、
ササメ「それにね、ユウリが魔物だったら、討伐ランクFだよ?そもそも、この村に私より強い人、今のとこ、あのディアスさんくらいだし。ユウリは、私より弱いんだから、むしろ、私に守られなくっちゃいけないんじゃない?」
って言って、からかった。
ユウリは、虚を衝かれたかのように一瞬固まってから、
ユウリ「…あー、そうだった、そうだった。…こういう奴だった…」
ユウリは、しばらく遠い目をしながら、肩を落として、ガックリしていたが、頭をガシガシかいて、
ユウリ「わかったよ。とりあえず、そうしよう。でも、危なかったら、ドランさんくらいは頼れよ?あの人Aランクだし、詰所に逃げ込むくらいなら、させてくれるだろうし、ノルガさんや、エトセさんもいる。」
って言ってくれた。
ササメ「ごめんね。でも、嬉しかったよ。」
ユウリ「すぐに、強くなってやる。だから、そん時は、黙って守られてろよ。」
ササメ「うん。ユウリ、最近は、そよ風起こせるもんね。きっと、すぐに追いつけるよ。待ってるから。…その時は、もう一度契約してくれる?」
ユウリ「ああ、その時は双方向で、な。」
お互いに、顔を合わせて笑った。
ユウリ「さて、そろそろ、店出るか。村から、出る前にジュリに会ってくだろ?あいつ、外出せないし会えなくなるから。」
ササメ「ユウリが冒険者になったの、今のジュリちゃんくらいだよ?それに、お兄ちゃんみたいに冒険者になるのって言ってたよ?すぐに会えるんじゃない?まあ、会ってくつもりだけど。」
ユウリ「そう、俺がツノラビットにやられかけた時と同じ年齢なんだ。つまり、危ないって事だから、まだまだ村の外に出す気はないし、冒険者なんてもっての他だ。もっと安全な職についてもらわないとな。」
なんて、会話をしながら店を出て、ユウリの家に向かったのだった。