ユウリside
ササメちゃんはディアスさんの話を聞いて固まっていた。ディアスさんは話す事が済んだとばかりに部屋を出ようとする。僕は、急いで前に回り込んで、お礼を言う。
ユウリ「色々、教えていただいて、ありがとうございます。あの、せめて、これだけでも受け取ってください。」
この間、魔狼から採れた大きめの魔黄石(滅多に採れないし、結構値段もする。売るのはもったいないし、装備に使えたら使おうっと思っていたもの)を渡そうとした。
ディアス 「別に金に困ってねぇし、ただのお節介だから気にすんな。…後味悪い思いはしたくねぇからな。」
ディアスさんはササメちゃんが頭を下げているのをチラリと見ながら、そう言って、部屋を出た。
ササメちゃんは、下を向いて身体を震わせていた。よっぽど、ショックだったのだろう。落ち着かせるように、僕が手を握ると、ビクッと震えて
ササメ「っ私!…私がユウリを危険にさらしてた…ごめんなさい。」
ユウリ「ササメちゃん、落ち着いて。僕達、まだ危険な目に合ってないよ。それに、お互いに知らなかったんだし、これから気をつければいい。」
ササメ「私が!私が知ってないといけなかった。親からも、知られてはいけないと言われてたのに!!どうしてかなんて考えもっ…」
僕は、まくし立てるササメちゃんにキスをして口を塞いだ。このままだと、出会ったことさえ後悔されそうだから。例え、僕のことを心配してだとしても、それだけはさせたくなかった。そっと、唇から離して、
ユウリ「ササメちゃん、落ち着いて?僕は、そもそも君に出会わなければ、あのツノラビットの腹の中だよ。9歳のあの時に、もう死んでたんだ。ササメちゃんと逢えたから、今ここに居る。そうでしょ?」
僕は、優しくササメちゃんを抱きしめた。ササメちゃんの震えが止まるように。