ササメside
あ~、今日も熱い。ユウリと一緒に依頼をこなすから、魔力は補充できてるけど、この熱さ。夏はやっぱりきついなぁ。かき氷の約束が無かったら、気力も無くなって、溶けてしまうのではないかと思う。
ましてや、今年は白い着物を着てないから、熱が遮断されない。でも、今着てる服は、使い魔契約した後、ユウリが私のために、雪女だって判らないようにするためだけど、買ってくれた服だから大好きなんだけどね。
ギルドまで、急いでユウリを引っ張って、ギルドに行って。もぅ、自分でも何言ってるのか、頭の中は赤色のかき氷。すぐに日陰のベンチに座って、ユウリが持って来てくれるのを、ぼーっとしながら、待ってたら、多分、自分より強いだろうと思われる男をユウリが連れてきた。そういえば、今日、さっきギルドにいたかも。
ああ、今まで自分より強い冒険者が、あのギルドにいなかったから、あの依頼受ける人いないだろうって思ってたけど…もしかして?受けるのかな…。そうなると、困るけど…。
でも、話をするために、すぐに、かき氷が食べれないと思うと未練で、屋台に目が行く。それに、鉱山資源がない事を伝えるのに、場所移動が必要なのかも疑問だった。でも、場所を移した方がいいって、しかもカキ氷奢ってくれるって言うから、ついて行く。もし、ただの絡みとかなら、自分より強いだろう相手だから、逃げきれなさそうだし、嫌だなぁ。ドランさん(=衛兵1)は、なんかあったら逃げてこいって言ってくれてたけど。
細い路地に入るなら、絶対について行かないようにしよう、と考えながら、ユウリに手を引かれていた。けど、すぐに着いたって。
顔を上げると、どうしようって思った。だって屋台のかき氷の値段は、100ルピ(今日はセールで80ルピだった)だけど、ここだと1000ルピもする。ちゃんとした店に入るなんて…。てっきり、詰所の個室を借りるか、宿にでも行くのかなって思ってたんだけど…。
ユウリもかなり焦っていたけど、入って行くので、戸惑いながらも店に入る。ユウリに引っ張ってもらって、個室につくと、ここなら涼しくできると思って席に座ったら、すぐに魔法で空気を冷やした。グデーっとしてると、机の上にかき氷が置かれて、透明の器にピタッとほっぺを引っつけた。
凄かった。何がって、フルーツがふんだんに乗ってて、ひとつの器なのに、緑と赤の2色、白玉、餡子に練乳までついてるの。さすが1000ルピ!!って思いながら、口に運ぶ。ユウリが話している内容が、少しずつ頭に入ってきて、自分達の話だから、ちゃんと参加しないとって思って、親達から、聞いた事を話した。ユウリからは、せめて顔上げようよって言われた。
でも、楽観視してたのかな。
雪女の捕獲、討伐依頼なんて、すぐに取り消されて終わる筈だって…。だから、この依頼の、ほんとの狙いを聞かされた時、びっくりしたし、雪女の涙が凄い高い値段で取引される事にも、驚いた。
親から人間に見つかっちゃダメとか、言われてた意味が朧げながらも理解できたし、ちゃんと、そう言う事、母に話して欲しかったなって思った。そりゃ、そんだけの価値があったら、狙われるのも仕方ないのかなって思ったし、見つかっちゃたら危ないよねって。
それから、使い魔契約で守られていない、集落の皆は、 確かに逃げた方がいいのかも。奴隷印押されるのは嫌だろうし。
あれ?でも、どうして、忠告してくれたんだろう。ディアス?さんは話の途中で集落がある事を知った。忠告は私とユウリに向けて?使い魔契約をしていると、奴隷印は刻めないって使い魔契約の時、書類に書いてあった。しかも、涙に価値があるなら、龍みたく殺される事もないと思う。ユウリは人だし。契約してれば、国の法で、ユウリ以外の所有が認められないってあったし。安全なはずだけど、それなら、この男が警告する意味が解らなかった。
だから、立ち去ろうとするディアス?さんを、慌てて引き止めた。でも、知ったのは、法なんて、なんの意味もないってこと。人が、お金の為なら平気で人を殺す。そういう事もあるって事。服を変えたぐらいじゃあ、雪女だってすぐにバレてしまう事。つまり、
--ユウリが私と契約した為に、殺されてしまうかもしれないって事ーー