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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ディアスside

のんびりしてんなって思う。普通、雪女が自分狙いだと言われれば、大体の事情を察しても良さそうなもんだ。ホントに何も知らねぇのか、と呆れてしまう。ユウリっていう相手の方もだ。…まぁ、低ランクで契約しちまってる時点で、そんな気はしたんだが…。

ディアス「君達は、涙晶石という物を知ってるか?」

ユウリとササメは顔を見合わせて首を振り、こちらに向かって、知らない、と答えた。仕方がないので、持っている実物を見せて、

ディアス「これ、一粒1000000ルピはくだらない。魔力を溜め込む性質から、様々な用途に使われる。」

実際、今見せた涙晶石も、いざという時の転移魔法が込められている。まぁ、見ただけではわからないだろうが。

ササメ「えっ!!こ、これ、わ、私達の涙だよ。ただの。」

ユウリ「えっ!そうなの!?」

むしろ、お前らの驚きの方がびっくりだよ…。疲れてきたから、サッサと警告して去ろう。

ディアス「はじめから、鉱山資源ではなく、雪女狙いの依頼なんだよ。だから、集落ごと何処かへ身を隠す事をお勧めする。商人や冒険者の強欲さと、裏の住人には適わないからな。では、忠告はしたからな。」

後は、自分たちで判断してくれって思いながら立ち去ろうとしたら、引き止められた。

ササメ「待って。どうして私が雪女だって、判ったの?それに、あなたは私達の話を聞くまで、集落があることを知らなかった。私なら使い魔契約をしているから安全なはずで、どうして、警告しようと思ったの?」

ディアスはあまりの認識のズレに驚くと共に、この村の住人が、ある程度、ササメを守ろうとしていたのだろう事を察した。恐らく、雪女だと気づかれにくいよう、雪女だと判ってる奴がいても、口に出さなかったりしたのだろう。雪女の使い魔がいれば、それなりに噂にのぼる。例え、こんな小さな村でもだ。そうすれば、闇商人が、あんな依頼を出さなくても自然と、ならず者共が集まり、手を出す奴が出てくる。たぶん、出入り口を管理する衛兵が、その辺も気をつけていたのではないかと、今更ながら、思い当る節が出てきた。だが、そのせいで、本人達には危機感が全くない。しかも、この村は、どんどん大きくなって来ているのだから、流入する人を選別するのも不可能で、ササメを守ろうにも、限界がきているのだろう事も、察しがついた。

ならば、何が危険なのか知らせて、危機感をもたせるのは、その事を理解した自分の役目だろうと思い、ため息をついてから、口をひらく。

ディアス「白い着物ではなく、緑の服を着ているから、バレないとでも?それに、あんたの場合、使い魔契約印があるから安全ってのは、相手の方が高ランクの場合に限られる。相手を殺して野良にすりゃ、なんの問題もないからな。最も、それで済んだらマシな方か。」

この世の中、殺人なんて日常茶飯事で、犯人がわかったりするほうがまれ。地方にゃあ、警邏もねぇ。自警団なんて見回りくらいで、犯罪を減らす事はあっても、解決なんてしないし、できない。現場を押さえなければいけないから。行方不明なんかもけっこうある。

まあ、契約していたら、奴隷印を刻まれる事はないし、契約相手がいれば、国の法でも守られるっていう表向きの契約内容は、知っているのだろうが、その抜け穴?みたいなものに、気がついていないってとこか。契約相手ごと拐われる事や、相手を殺して野良にしてから、奴隷印を刻まれるってな事は、考えてもいなかったようだ。

それは、俺が言った言葉に、愕然とし、ショックを受けている少女を見て、すぐに解った。しばらくは、時間がいるだろうと思い、「じゃあな。支払いは済ませてあるから、後はごゆっくり。」と、声をかけて、立ち去ろうとすると、少年が立って、お礼を言って、忠告のお礼に、Fランクの奴じゃあ、手に入れるのが難しいだろう魔物の材料を貰ってくれと、言ってきたが断って店を出た。


いや、だってさ…申し訳ないけど、俺はすぐに手に入れられるし、それを貰って、売るほど金がいるわけでもないしな…。多分、武器か防具を作ってもらうために持ってたんだろうしな。



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