セツナside
話としてはあまり進んでません。セツナおねぇちゃん目線です。飛ばして読んでも問題ないです。
ササメが契約した、と聞いたとき私は怖くなった。人に知られたこと、人が近くに居る、それだけで、逃げ出したくなる。集落では誰も、近くに人里ができた事に気がついていなかった。…また、集落から、散り散りに逃げなければいけないのだろうか。
あの時、私は…友達を見捨てて逃げた。まだ、奴隷印が押されてなかったから、助けられたかもしれないのに…。目の前で、背中を焼かれて、…涙を流すのを見て喜ぶ奴ら…。友達の悲鳴が耳について離れなかった。その場から、離れても、ずっと…。一緒に、また遊ぼう、そう約束していた。2度と会えなくなるのを解っていて、でも怖くて逃げてしまった。…ユキネ…。
私が68冬越えた時だった。命からがら違う集落にたどり着いた。家族も散り散り。情報収集の人も命懸けで、情報を集めてくれているが、集落全てを回るわけでもない。どれだけ捕まったのかも、わからない。あんなの…2度と経験したくない。ササメは知らない。私がどうしてこの集落に来たのか。…人間がどんなに残酷なのかを…。
ササメが大丈夫か不安で仕方がない。この集落に来たとき、懐いてくれて、私の心を何度も癒してくれた。あの子が酷い目に遭うのは嫌だった。それに、外に飛び出して行く、あの子の背中を押してしまったのは私だった。私は、ゆっくり気持ちを落ち着かせながら、あの子の話を聞いた。ササメは、ただ友達が欲しかっただけなのだ。同じ目線で遊べる子が…。とてもキラキラした目でイキイキと話している。ここで、本当は、人間がどれほど残酷で怖い生き物なのか、言ってしまいたかった。けれど、それは酷い事のように思えた。せっかく出来た友達と引き離すような事したくなかった。でも、いずれは言わなくてはいけない。危ないのだから。すぐに言った方が良いのかもしれない。今までは子供だから、あんまり酷い事は聞かせないように、おばさんと注意していた。私のような事情で、知ってしまったなら、ともかく、そうでないなら、変に怖がらせる様な事を言うのもどうか、という配慮だった。でも、もう、そんな事言っている段階ではないのかも。私には、もう、どうしたらいいか判らなかった。だから、ササメがどんな状況にいるのか、詳しく知りたい、そう思った。だから、ササメが毎日、あった事を話してくれるように、お願いした。
その日は、服を見せてくれた。萌黄色の可愛いワンピース。くるりと回って見せると、ユウリに買ってもらったのって、とても嬉しそうに話してくれた。服が広がってめくれてしまう。私はササメちゃんが普段使っている赤帯でワンピースの腰周りを締めてリボンを作り、この方が可愛いわってお勧めした。これで捲れ上がる事はないと思う。気にしてないあたり、やっぱり子供だと思う。風が吹いたときは、ササメちゃんに気をつけるように言った。男の子と一緒に居るのにパンツが見えたら、問題だから。羞恥心持ってね、お願いだから。今度、魔力の精密操作の練習に帯ではなく、黒いスパッツでも編もうと決めた。うん、なるべく早く作ろう!!
次からは、また、話が進む予定です。