詰所にて
ユウリの妹のジュリちゃんと別れた後、ユウリとササメは詰所に向かった。
ササメ「あれれ、どうしよう。昨日の人と違う。」
ササメは出入口に立っている衛兵を見て、立ち止まる。
ユウリ「ササメちゃんは、今までこの村に入った事なかったから、身分証明とか?求められたの?」
ササメ「うん、そんな感じなんだけど。」
ユウリ「だったら、とりあえず、あの衛兵さん、ノルガさんに、話しても大丈夫だと思うよ。」
ササメ「そうね、じゃあ、そうする。」
ササメ「あの、すいません。えっと…。」
衛兵3「どうしまし…
衛兵1が詰所から出てきて、
衛兵1「ああ、ノルガ、そいつらは、いい。こっちで引き受ける。」
手をあげて声をかける。
ササメ「昨日は色々すいませんでした。便宜を図って頂き、ありがとうございます。」
声のする方を向き、ササメは衛兵1を確認すると言った。
衛兵1「なぁに、こっちこそ、すまんかったな。急患だってのに、時間取らせちまって。…ユウリ坊も元気そうで良かったよ。見た感じやばかったからな。」
ユウリ「ご心配おかけしました、ドランさん。」
衛兵1はユウリの頭に手を置いて、
衛兵1「全くだ。死んだかもしれねえなって思ったからな。この村じゃ、今の所、全員が顔見知り状態だ。知り合いが死ぬのは、あんまり気分のいいもんじゃないからな。」
と、言いつつ詰所の中に入って行く。
部屋に入るとドランは書類を出してきて、机の上に置く。
ドラン「さて、使い魔契約の書類は、こんなもんだな。ここと、ここに署名してくれればいい。」
その言葉を聞いてユウリは困惑する。
ユウリ「?あ、あの、使い魔って?」
ドラン「そいつが、おめぇが死にかかってるから中に入りたいと言うんで、一方向で契約してもらったんだよ。」
ドランはユウリ坊は気絶してたから、契約のことは知らなかったなって思った。
ユウリ「ええっと、使い魔契約って魔物がするんですよね?」
ドランはユウリ坊の質問に困惑した。
ドラン「ああ?当たり前じゃねえか。…ん、なんだ?ユウリ坊は知らなかったのか?そいつ雪女だぞ。」
ドランはユウリ坊が、何に対して困惑しているか、ようやく理解した。
ユウリ「えっ、いや、雪女っていえば、白い着物で、パステルカラーの髪色、美人、でもって、人を行方不明にさせる、恐ろしい魔物だって…。」
ユウリは、雪女の特徴を思い出しながら、ササメを見る。
ササメ「…どう思われてるか知らないけど、雪女だよ…。」
ササメはユウリの言葉を聞いて落ち込む。ユウリは、慌てて
ユウリ「いや、ササメちゃんは違うよ!優しいし、可愛いいし、恐ろしくないから!!」
ササメ「でも、雪女だよ。」
ユウリ「ああ、もう、違うってのはそこじゃなくて、ササメちゃんは雪女でも、ただの女の子ってこと。」
ドラン「…どうでもいいから、早く書類書いてくれ。俺、寝たいんだよ。」
ユウリ、ササメ「すいません。」
ドラン「んじゃ、これで書類は終わり。説明は面倒だな。まぁ、契約解除したい時は、ここに来ればできるし、雪女だってのは隠した方がいいから、服は変えた方がいいぞ。ふぁあ~。じゃぁな。」
ドランは詰所のベッドに戻って行った。