聖職者side続き
ひとまず、毒消しが終わったので、どっと疲れた、が、まだ脇腹の傷の治療をしなくてはと、表面の凍りつかせの解除をお願いすると、出血の酷い所をある程度治すと、魔力が、もうほとんどなかったので、包帯を巻き、一区切りつける。そして、少女の方に向き直ると、かなり顔色が悪そうだったので、
「あなたの方も、どこか怪我を?」
よく見ると、雪女だった。
「いえ、大丈夫です。…それより、ユウリは?」
「とりあえず、毒消しをしましたし、命の別状はありません。あとは、傷が治るまで安静にしていただければ。応急処置がよかったので。」
「…よかった。…もぅ、どうしようかと思った。」少女はポロポロ泣き始めた。
「あの、使い魔のあなたには、この空間は辛いでしょう?表にベンチがありますので、そちらで待ちますか?」
と声をかける。
「ユウリの側に居たいので、居てもいいですか?」
と返してくるので、よっぽど大事に思っているのだなと思い、椅子を少女の側に置いて、うなづき、
「辛くても、構わないのであれば構いませんよ。では、私はこれで、失礼しますね。」
と退室した。仮眠室につくと、魔力を使いっぱなしだったので、すぐにベッドに倒れ込んで眠った。
目が覚めると、夜中で、お腹が空いたので、携帯食料を出して食べると、昼間に治した怪我人の様子を見に行く。ドアが少し空いたままで、そこから、少女がウトウトしながらも、風と水の属性の弱治癒を行っているのが見えた。そっと離れようとした時、完全に寝落ちした様だったので、毛布を持ってきて少女にかけ、少年の傷を見ると、ほとんど治っていた。あの後、ずっと治癒をかけ続けていたのだろう。この空間に居るだけで魔物は魔力を消費するのに、無茶をするものだと思いながら、そっと部屋をあとにすると、自分も再び眠りについた。
翌日は少女の怒鳴り声で目覚める事になった。
「この馬鹿ユウリっ!!」
である。少し身なりを整え、時間を見ると、丁度、ミサを行う時間になりそうだ。悪戯心が沸いて、怒鳴りながら、泣く少女に、そして起きた少年に、
「すいませんが、ミサ中ですのでお静かに。それと身体の方が大丈夫なら、出ていってやってくださいね。この空間、使い魔さんにはキツイでしょうから。」
と、笑いながら手を口に一本当ててそれからほっぺに移動させて話し、退室して、しれっとミサの台の前について、ミサのを行ったのだった。