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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ササメside…なんとなく、きいてみた。

マック「おっ、もう終わってんじゃん。」

あ~休憩から、戻ってきた?見せ場終わっちゃったよ?

ディアス「剥ぎ取りだな。あと、運ぶのと。」

マックさんよ、うん、休憩してたんだから働こ?

何、Uターンして帰ろうとしてんのさ…。

マック「おい、オッサン、離しやがれ。やりゃいいんだろ!やりゃあ!つーか、俺じゃなくても出来んじゃんこういうのはさぁ…。」

あ〜、強い奴と戦うのは俺しかできないけどって奴ですか?

ディアス「みんな疲れてる中、やってんだ。サボんなよ。」

歯ぎしりですか?マックさんよ…って止った?何見て…?

マック「…しゃーねーな、おい!ユウリ、お前、いい加減休め。あと、俺らやっとくからさ。」

あ〜っと、ボロボロヨタヨタだもんね…。

あ!気絶させられて端っこよせられた…。強引な…。

マック「こーでもしねーと、あの雪女んとこ無理して行きそうだかんな。」

あ〜、行ってたね。多分。



ササメ「ねぇ、ユウリ。」

座ってユウリに体を預けて居る。

ササメ「ユウリは…私を(うらぎ)ったりしないよね…?」

小声で、囁くように呟く。

不安で、顔を見れない。このぬくもりが消えてしまったら、私はどうすればいい?

ユウリは、木に体を預けて眠っている。あれだけのことがあったあとだ。話しているうちに、ユウリは眠ってしまっていた。

脚の上に食事の残った皿と、地面に置かれた水の入ったコップ。

疲れていたのを知っていたから、寝入った時に、深く眠れるように魔法をかけた。だから起きない。

眠っているのをわかってて、尋ねている。答えなんて返ってこない。答えなんて、わかってる。

こんな問いかけ自体、ユウリに失礼だってことも。

ユウリは、命懸けで私を守ってくれている。大事だって、何処にも行くなって言ってくれたんだもの。

ササメ「私ね…最近、眠るのが怖い。自分じゃない自分の(かこ)も、振り回されてしまう感情も…。」

木々の葉っぱの隙間から夜空が広がっているのが見える。お酒で盛り上がって向こうはまだ、ガヤガヤしている。

ユウリだってあっちで騒いでても良かったのに、私に気を使って行かなかった。

まぁ、もう大半は、つかれて眠ってしまってる人が多いようだけど。冒険者と、兵士達が無防備に寝ている。酒樽や木のコップ、食べかけの食事。起きたら、みんなで朝食を食べて片付けるのだろう。

野外で寝てても問題のない気温にはなってるけど…。

一部の人達がスリや野盗などに警戒している。このオーク騒動に参加していなかった、街の衛兵達も。

今の私には、ユウリ以外の男の人が全て怖い。でも、怯えるわけにはいかない。そんなの私じゃないから。

ジャン「こんなとこ居ないで、宿に戻るか、あっちに戻るかしてくれない?」

この人も、兵達を労い見張りをしてくれている。疲れているだろうに。

もう、攻撃してこない。わかってる。でも、体をユウリの前に移動する。少しだけ、手が震える。男性に対する恐怖と、ユウリが殺されるかもしれなかった恐怖で。大丈夫。大丈夫だって心に言い聞かす。

ササメ「すいません。もう少し、したら戻ります。…途中で、討伐せずに済ませてくれて、ありがとうございます。」

ジャン「ん~、こっちとしたら街中でオーク化しなけりゃ、別に問題ないからねぇ。…紐付きは勝手に死んでくれるからさ。」

そう、街中でオーク化すれば、他の魔物がオーク化すると困る。結界を張っていても、あまりに近くで黒い魔力が漂うと、少しずつ浸透して中に入ってしまう。いくら聖印のブレスレットをつけていようが、街の中の集められている魔物達がオーク化してしまえば、その魔物達の数ほどブレスレットを発動するだけの魔力と人員が要るから。

でも紐付きなら、人に危害を加えれば、契約違反によるペナルティが発動して、殺そうとすれば死ぬことになる。

オーク化したら人を攻撃してしまうのだから。

ジャン「(ユウリ)、運ぶんなら、他の奴に頼んどこうか?君は、今はあんまり魔法使えないんだろう?」

(ジャンさん)は、私が怯えてるのに気づいている。それに、魔力回路を傷めてる事も。

情けなくなる。自分の状態が。

大丈夫だから。もう攻撃してこないのわかってるじゃない。それに、あの記憶は私じゃない。何もされてない私が怯えるのはおかしい。大丈夫。あの男の人も、ユウリじゃない。人が、怖い人達ばかりじゃないのは知ってるでしょう?少なくとも、私が会ったことのある人達のほとんど、雪女狙いの人達を除いては酷いことなんてされてない。

ササメ「…ううん。要らない。でも…」

自分に言い聞かせて、感情とそれに伴う吐き気を抑えて立ち上がる。

人に怯えるなんて、自分らしくない。ユウリが、殺されかけた事に対して怒ってる、多分こっちがわたし。

だから、痛みが来るのをわかってて、思いっきり彼の頬を引っ張たく。バチーン!

ジャン「…何してるの?」

胸を抑え蹲る私を、頬にモミジマークをつけられた彼は呆れた笑顔で見下ろす。

ササメ「…ジャンさんの方に理があったことも解ってる。でも、ユウリを死にかけるまで痛めつけた事は、まだ許せなかったの。貴方が私達を見逃してくれたから、…私も、これで。」

一気に汗ばみ目の前がチカチカするけど、顔をあげて笑う。少なくとも、痛みのおかげで恐怖心(ワタシらしくないココロ)に悩まされなくてすむ。

ジャン「ふっ!まったく、君には呆れるよ。それで、死んだらどうすんの?魔核も傷んでるのに。」

彼は、笑いながら肩をすくめる。

ササメ「その時はその時?…フフッ。やっぱり、風で運ぶのもキツイから、ユウリを宿まで運ぶのお願いしようかな。このままだと困るのも確かだから。」

痛みをガマンしながら、私は平気そうに、そう言って笑う。

人を怖がるなんて失礼だ。それも、恩がある人達を怖がるなんて。

感知を発動しなくたって、居るのはわかってる。奴等(ワタシたちをネラウひとたち)が来ないわけ無い。

なら、そいつらを処理してくれた人達がいたのだ。それが誰か、は状況を整理すればすぐわかる。

状況を把握できていて、すぐに動けた人たち。

ササメ「それと、ジャンさん、クルスさん、ジョエルさんも、わたし達を守ってくれて、ありがとう。」

私は近くに居るだろう人達に聞こえるように、そう言って、食器類をパッと持って宴会場になってる平野に持って行く。



おっ、これってササメさんのツンデレですかぁ?

ジャン「あ〜、耳を真っ赤にさせて駆けて行ってたね。」ニヤリ

ササメ「そ、そんなんじゃないもん。ただお礼言っただけだし。お皿片しに行っただけだもん。」

クルス「なら、なんで顔、赤くしてんだ?風邪?」

ササメ「ジャンさんに、お礼言うのが癪だったの!だって、ユウリ死にかけたし、面と向かってお礼なんて…。照れ隠しじゃないもん!!」

おお、ほっぺたプクってしてんの久しぶり!!

ユウリ「そうだよ。照れるのは、俺の前だけで、だよね?」

ササメ「ひゃぁぁあ!!」

うぉ、ササメさんの後ろから、抱きついて耳元で囁きますか…。

顔、まさに茹でだこ状態で、目ぇ回しちゃったよ…。

ジョエル「ったく、いちゃつくなら他所でやっとくれよ…。」

あれ、ジョエルさんもいたよ…。


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