ユウリside
えっと…闘い、まだ続くの…。
ユウリ「終わって欲しいよ。そしたら、ササメのそばに居れるのに…。」
マック「俺は、今から休むんだからな!!起こすなよ。」
ユウリ「はいはい。師匠も休憩かな。」
ディアス「ああ、お前らほど魔力ねぇから、しっかり休ませてもらう。」
あれぇ?ディアスさんって魔力あんまないの?ササメちゃんの涙晶石調べるとき結構ある的な感じだったのに?
ディアス「…魔力量はとっくにユウリに抜かれたさ…実力は俺の方が上だけどな。」
あれ、落ち込んだ?
ユウリ「師匠の斬撃まだまだ見切れないんで、大丈夫ですよ?師匠。」
ディアス「ああ?あったり前だろうが!!お前に早々抜かされてたまるか!!」
ユウリ「し、師匠、ギ…ギブギブ!!首…しま…」
あ〜、ユウリ?上から言葉は良くないよ~?ハハッ。
時間がきていたので、持ち場に戻るために、冒険者達を横に通り過ぎる。
俺に狙いを定めてくる魔物だけを通り過ぎざまに屠り、前に出る。
ユウリ「あれ?どうして、トールゥドさんが?」
結界の周り前の方が、すっきり片付いていて、近づく魔物が、串刺しされたり、沈み込んだり、している。
結界に攻撃してくる魔物が少ないから、維持するのも楽だしうまいことしていると思う。
そこそこ強そうな魔物を、地面の中から近づき後ろから現れて仕留めてから潜るところが視界に入る。
完全な暗殺者スタイルではなかろうか…。
いや、それより、どうしてここに居るのか?
とりあえず、残っている岩系の魔物や、魔植物をナイフに魔力を込めて斬っていく。飛翔魔虫系は、小さな石の礫により体躯を貫通させられ地面に落ちている。容赦ない…。軽く風と爆風を使い結界の切れ目から結界の内側に押し出す。
ほっとくと、ワーム系の魔物が喰らって強化されてしまう。
残っているのが、トールゥドさんでは対処の難しいものばかりのようだから、死骸の処理にまで手が回らなかったようだ。
問題無い奴らは、地面に沈みこませて少し弱った状態で後ろの冒険者達に回している。1人でうまく回しているようだ。
確認しながら、魔物を屠る。毒液とか、腐食液がかからぬように…。
トールゥド「よう、久しぶりだな。」
ユウリ「ええ…まぁ、あの、どうしてここに?」
トールゥド「依頼で、だな。通行料だけじゃあの人数賄えねぇし、出稼ぎってところか。まぁ、普段から魔物の素材の取引なんぞもしてるから慣れてはいるが、流石に、エルさんは表に立てないからな…」
騎士団いるのに、盗賊の頭が堂々と活躍するのはまずいのだろう。
ユウリ「ああ、だから、土系ばっかり残って…。クルスさんも無理ですしね…。来てくれて、助かります。」
トールゥド「いや、それはこっちのセリフだな。ディアスの奴と、他の奴らだいぶ疲れてたみたいだから、少し早めに休ませたからな。1人でやると、こうなっちまう。」
効率よく素早く、倒せるものから倒す。その弊害か、苦手なものばかりが残るってとこかな…。最初から、この場にいれば、かなり凄い勢いで魔物が減っていったのが見れただろう…。
トールゥド「まぁ、これ飲んで、向こうのデイダラボッチ行ってくれ。」
うわぁ、増血剤と魔力増幅剤飲んだばかりの胃が…。
横目に緑色の魔力増強剤と、紫色の毒消し剤の入った液体の小瓶を受け取る。
しかも、デイダラボッチって…
ユウリ「…毒泥ぼっちじゃないですか…。」
巨大な泥の人型が地面から現れ地面に潜る。しかも、攻撃が掠れば毒状態…。避けて、本体が出ているうちに攻撃を当てないといけない奴。普通の打撃や斬撃は効かないし、しかも、集団で襲ってきてくれりゃ、一気に片がつくのに出てくるのは一匹ずつ…。後の冒険者達に回すには、多分、溺れる奴が出てきて危険…ってゆう中途半端な強さ…。げっ、しかも、数居るじゃん。
トールゥド「おっ、上手いこと言うなぁ。ハハッ。炙り出しはするからさ。俺じゃ、倒す手立てがねぇからさ。」
トールゥドさんがテキトーに相槌を打つ。
倒す手立てがない事はない…デイダラボッチから土の制御権取り戻して圧潰すとかできるだろうけど…。
ユウリ「ああ、トールゥドさんが倒すなら魔力消費が半端なくいりますもんね…。わかりました。モグラたたきしてきます。」
毒消し飲まなきゃいけないかも…と胃を心配しつつも、当たらなきゃ良いんだ!と気持ちを切り替え、元気良く言い切る。
トールゥドさんから離れて、処理しに行く。
俺なら、ナイフに魔力込めて叩き斬るだけで水分がとんで、崩れてく。
その時、ドカッドドカンッと音が連続して向こうからして細かな石の欠片がとんで来る。
トールゥドさんが爆発岩の処理かな…。手を触れて起動させてから、離脱。地面に潜って防御に徹っしている。あの魔物、勢い良く跳ねて突っ込んでくるからなぁ…。地面も深く抉れるから、ヒヤヒヤするだろう。あれも、攻撃力がソコソコあって、後に回すのにはキツイか…。
あのゴロゴロ…ディアス師匠なら、剣閃飛ばして一気に処理できただろうけど、まぁ、それは言っても仕方ないな。
よっと、そうこうしてるうちに片付いたかな。
次はアレかな。近づいてきてるし、明らか強い。
あれは、マンドラゴラ?マズイ!!
音遮断の結界を急いで広範囲に張った途端、結界が震え魔力がガリガリ削られていく。
マンドラゴラの咆哮がながく感じられ、結界の維持に全ての意識がむかう。
しばらく、身体に力が入らない。息がうまくできず、躰の芯から冷えていく。無理に体力ポーションと魔力ポーションを震える手で飲み干す。
咳き込み、息を吸う。周りの景色がなんとか入ってくる。
周りの魔物が一気に弾けたのだろう。周りにはマンドラゴラ以外の魔物が生きていない。
トールゥドさんが地面から一気に攻勢をかけている。もう1人、知らない奴も攻撃してる。
トールゥド「チョビル、さがれ!!」
おっと俺も行かなきゃな…。幾分か躰に力が入った。おそらく、あれが最後だろう。
うーん、大詰かな?
ユウリ「ええっと、人型の植物系の魔物ってアウラウネじゃなくてなんでマンドラゴラ?」
ん?だってアウラウネって女の子じゃん?
ユウリ「いや、だから、なんで、男なんだ!!」
あ〜、そんなこと言っちゃう?ササメちゃー、ング!?
ユウリ「いや、性別はどっちでもいいさ!!」
マック「な、何言ってやがる!どうせ戦うなら女の方がいいに決まってんだろ!!」
ユウリ「…いや…その…さぁ?…判れよ(ボソッ)そこは…」
ササメ「ん?何を判れって?」ニコッ
……。アハハッ…。(乾いた笑)
さぁ~て、ワタクシは逃げさせていただきますね。(コソコソ)