マックside
うわぁ、でたよ、モンクイイベエ。
モンクたらたらじゃん。
マック「いや、だって、連戦だぞ?連戦。疲れたら誰だって文句出るつーの!!」
まぁ…。でも、カッコ悪ぅ~。
マック「解説に言われたって痛くも痒くもないね。かわい子ちゃん、周りいねぇからいいんだよ!!」
うん。こいつモテねぇわ…。
マック「う、うるせぇ!!お前だって、彼女居ねぇクセに!!」
はぁ?それとこれとは別だろよ!!つーか、マック、お前。知ってたけど彼女居ねぇのな。(笑)
マック「解説のバカ野郎!!」
ぶへぇぇぇえええ!!!泣きながら走ってったよ。顎痛てぇ。
マック「ったく、ふざけんじゃねえよ!」
俺は少し苛ついていた。次から次へとやって来るオーク共の相手と、交代相手がいないことに。
前半戦も終わり、中盤戦、後半戦になっていく程オークの質が上がってくる。
元の人格ではない人格が出てきて、知性を持つ者も出てくる。こういうのが出てくる前に、数の少ないうちに叩くのが1番いいに決まってる。でも、増えてしまってからの対処なのだから仕方ない。
そろそろ、本格的に闘う元高ランク魔物が出てくるだろう。
実際、知能が出始め、ソコソコいい動きをする個体も出てきている。厄介きわまりない。
その上、こちらは疲弊しきっているのだから、どうなるかなんて火を見るより明らかだ。
もう、ディアスのオッサンとか使いもんになんねぇぞ。あれ。龍とか双角鬼人、狼王クラスの奴来たら対処できねえだろ…。
そういう俺も、五首頭竜を先程沈め、蛇女を3頭相手に苦戦していた。ディアスのオッサンには、雑魚を伐採してもらってるが…。くっ、うまいこと連携してきやがる。毒爪の斬撃をよけから魔法を放ち移動するその横を髪をチリチリとさせながら雷魔法が通り過ぎ、刀で防御するが、尻尾で吹き飛ばされる。も、直ぐに反転して蹴り出す。相手の尻尾の勢いと、自分の蹴りで距離をとり、魔法を繰り出しながら、MPポーションを飲み干す。魔法が相殺されて辺りが白む中、再び蛇女に向かう。準備は整った。
マック「光破滅砕陣!!」
準備した陣から一気に光が迸り柱のようにそそり立つと周りを巻き込んで大きく削って拡がっていく。その中心にいた蛇女3体はその光に飲まれながら消えて、さらに周りを巻き込んで消していく。
マック「っ反転!!」
そう唱えた瞬間光が逆戻しされたかのように収まり地面に吸い込まれるように消えていった。
ディアス「お疲れ、これ飲んどけ!」
投げつけられた傷薬。チッ、蛇女の遭遇時に尻尾で肋骨やられてるのバレてたか。ズキズッキしてるし、遠慮なく飲ませてもらうし…。つーか、そもそも、結界張って分断しながら撃退するって無茶だったんじゃねぇ?
魔力持たねぇし。はぁ…。まぁ、ここで踏ん張らねぇと負け犬だからな。やってやるさ。
お次は、オイオイ、天馬とかマジやめろ。速さが半端じゃねぇから、やりにくいんだよ。地面降りねぇから罠も掛かりにくいしな。ってディアス容赦ねぇ。斬撃で羽根の根元からバッサリいきやがった。
俺とは相性悪いから任せるか。
そん代わり、雑魚共を剣で光一閃して片付ける。
つーか魔蜂、ブンブンうるせぇんだよ。1匹逃れた奴に剣をぶっ刺す。巨体が剣に刺されたところからパラパラと灰になって落ちていく。
すると、ちょっと先の地面に異変が起こり、俺とディアスは一旦引く。魔力が地面に通っていていきなりあたり一面の地面が隆起したかと思えば、オーク共の大群が飲み込まれて消えた。
マック「マジかよ…。こんな実力者何処に隠れてたんだ?」
ディアス「…どうして、あの人らが…?」
ん?知り合いかよ?
トールゥド「よお、久しぶりだな…ディアス坊。交代時間、そろそろだろ?依頼受けたから、任せて休んでこい。」
地面から、浅ぐろの男性が出てくる。くっ、地味にカッコイイじゃねえか、クソ。
ディアスのオッサンと同じか、それ以上歳食ってそうなのに、なんだあの爽やかさは!!
ディアス「…大丈夫なのか?軍が近くに居るのに…?」
トールゥド「その軍の司令からの直接依頼だからな。アイツ、隊長(ノラ(スキー))の弟だから。雰囲気そっくりだったろ?」
そう言いながらも、片手間で土を動かし串刺して地面に沈みこませていく。スゲェ、魔力の消費を押さえつつ、地面に魔力流してここまで大規模に魔法使えるなんて…。
ディアス「…うわっ、マジか…。道理で…見た目似てねぇのにやりづらい訳だ。」
マック「ちょいまて、ディアスのオッサン。コイツと知り合いか?俺に紹介しろよ!こんなスゲェ奴!!」
ディアス「あ?誰がオッサンだ!!っう、その気持ち悪ぃ目やめろ!!」
トールゥド「トールゥド。普段は盗賊やってるから、あんま仲良くはできんがな。」
マック「いえ、必ず会いに行きます。ぜひ、その技術を学びたい。」
俺はトールゥドさんの手を掴み勢いよく握る。
ディアス「…お前…ハァ…。まぁ、とりあえず休憩させて貰うわ。」
ディアスのオッサンがガシッと俺の首筋を引っ掴んで引っ張りやがる。離しやがれ。ッタク。
こんなオッサンと一緒に居るのも癪に障るから、さっさと宿屋に向かわせて貰う。
普段の酔っ払いの冒険者やら市民が全く居ないから、静かな街になってる。つっても、内職(魔羊毛紡ぎ)とかも盛んな街だから、真夜中でも、人の起きてる気配はあちこちであるのだけど。
酒場に着くと、エレンちゃん達が少し落ち込んでいる。なんでも、同室だった雪女の子がオーク化しかけて、魔核がボロボロで危ないのだとか。
マック「なんだ、まだ生きてんなら、方法はあるさ。まぁ、守ってやるとか言っといて何もできてねぇし…。」
そう言って、確かあった筈だな~と思いながら2階の部屋に入る。
マック「うおっ、さみぃ。…あ〜、確かメキルちゃんだったかな?ホイッ、それ雪女の魔核。食べさせたらマッシになる筈だぜ?テイムで魔核を補強する時は、同族の魔核をやればいいって教本に書いてあったからな。」
一瞬部屋の中見て固まっちまった。あ~、そこそこの大きさのスライムがベッドに居てガキの雪女包んでてちょっとひびったぜ。
自分の荷物を漁って、あった、あったと引っ張り出し投げ渡す。
メキル「…間違ってない。けど、…」
ん?同族の魔核を食べさすのは抵抗あるか?
マック「死ぬよか良いだろ。」
メキル「アナタが、その雪女倒したのなら、この子に恨まれる可能性が高い。」
マック「約束守れてねぇから、別に感謝されようとか思っちゃいねぇよ。」
メキル「…違う。その魔核の記憶がフラッシュバックする。私が経験したのは、剣でメッタ刺しにして遊ばれたりするやつが多かったけど…。」
マック「精神的にキツいか…まぁ、それも生きてこそだろ。」
メキル「ん。…そう…だね。ありがとう。」
俺は、それを聞いて、下のエレンちゃん達と一緒に寝る為に降りてった。今日はあの部屋寒くて使えねぇからな…。
マックさんや、マックさんや?そんなそんなポンポン人に物あげていいんですかい?
マック「ああ?女に優しくすんのは基本だろ?例えそれがガキでもさ。」
ほへぇ~…。マックさんが男前に見えてきた。
マック「そうだろ。そうだろ。なんなら惚れてくれていいんたぜ? 」
うわぁ…ワタクシそういう趣味ないんで…。
マック「俺だってないわ!!冗談だつーの!!」
…ところで、スライムがメキルさんってよくわかりましたね。
マック「ああ。かわい子ちゃんには一通り声かけて、覚えてるからな。まぁ、スライムの女の子、あの酒場にゃ、ソイツしか居なかったし、胸でてたしな…。」
うわぁ、出た。これだよ。いい行動してても、片っ端からナンパしてっから…。しかも覚えてる理由が、胸とか。もっと硬派の振りでもしたらいいのに…。これが、残念男子か…。
マック「お前…褒めたり貶したり、忙しいやつだなどっちかにしろよ…。」
しかも、ミーハーだし。男の追っかけとか、トールゥドさんも嬉しくないと思うぞ?
マック「うん。お前、やっぱ敵だったわ。」
あれ?ポキポキお手手鳴らしてどうしたの?…いや、話せばブホォェェェェ!バキ!ボコ!…ワタクシ事実を言った…だけなの…に…ガク。