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雪女と少年  作者: 干からびた芋
143/163

ジャンside

ササメ「ほっとかれた…。さびしぃ…。」

まぁ、寝たきりじゃ仕方ないよねぇ~。

ササメ「イチオウ…ヒロインのハズなのに…。」

ジャン「僕は君の恋人じゃないもの。忙しいしねぇ。君と違って?」

ササメ「……。どうせ、使命とかないもん。忙しくないけど、忙しくないけど、そう言われると悔しい…。」る~る~る~…。

まぁ、まぁ、のんびり養生してたら?

ササメ「どうせ、それしかできないもん…。」

けっ!!ネガティブ主人公とか嫌われんだよ!!

ユウリ「か・い・せ・つ・君?ササメ泣かせて何してんの?」

ぇ、いや、別に?泣かせてないよ?頭に手ぇのせて何?

ユウリ「目ぇ泳いでるよ?ん?何するかはよく分かってるよねぇ?」

イギャャャャァァアア!頭痛てぇぇええ!!つぅか、ワタクシ何したと?泣かせたのジャンとさびしい思いさせてるユウリじゃんーーーー!!!

ユウリ「え!そうなのっ…て解説走って行っちゃったよ…。」


雪女(ササメ)の事はさておいて。

とりあえずは、放置するしかないしねぇ。

僕はフゥッとため息をついた。なるべく、力を借りたくはない。けど、ちょっとイザコザも増えてきてるし、やっぱり助っ人は欲しい。

兵士も疲弊してきてるし、後の方が強いオークが出やすい。

ユウリ君もあの調子じゃ、交代してもたいして役に立たないだろうし。

他の奴も、魔力補充した所で交代しておかないと、スタミナが持たない。

そう分かっているからこそ、街の商工ギルドである人物との連絡を頼んだ。

今から姐さんに念話…は距離離れすぎてるし、連絡ついたところで、どうせ間に合わない。

ラトアヌスさん、あの人なら人脈があるから、頼めば何人かは回してくれるだろう。

こちらの状況は既に知っているだろう。あの人の情報網なら。その上で、抜かりなく準備までしてそうだ。だから、連絡と取引内容だけでいい。

それと、王様との回線を繋ぎ、状況報告と取引材料の許可を得る。通信用宝玉に手を触れて念話を飛ばしているとはいえ、長距離過ぎて魔力がごっそり持ってかれる。内密だから、直接王様の脳内に声を届ける必要がある。

王様の方からは、宝玉に文字が浮かび上がる。

ーいいよ。好きに使って。そのように計らうから。ー

通信用の部屋から出て、商工ギルドの待合の隅のソファーにうすら笑いを浮かべながら凭れ掛かる。

そろそろ、僕も休憩しないと保たないかなぁ。

と思って一息ついた時、

ラトアヌス「これはこれは、ジャン様。お久しぶりでございます。さて、本日はどのようなご要件でございましょう。」

うわぁ……あいかわらず、胡散臭い。

ジャン「まぁ、おおよそは、既に予想がついているんじゃない?」

そう言って、握手をして移動する。

商工ギルドの小さな一室を借り防音結界を貼ると、

ジャン「フゥ~。とりあえずは、強いの数人、派遣してくれないかい?けっこうヤバそうでね。」

ニヘラと笑いながら、切り出す。

ラトアヌス「ふん!サッサと兵士を辞めりゃいいもんを…。副隊長に免じて何人かは見繕ってやるから、その隊長の真似をやめろ!!」

ジャン「うわぁ…あいかわらずキツイなぁ…。真似してるんじゃなくて、(あに)の教えを守ってんの。わかる?僕だって(にい)ちゃんを思う権利くらいあると思うよ?」

ラトアヌス「どうだか!あの王が健在の時点で、「やめろ!」…トールゥド…。」

元々、ラトアヌスさんの足元で気配を消していたようだ。…1階じゃなければ無理な芸当だな。

とりあえずは、トールゥドさんがいてくれるなら、大分助かる。

ラトアヌス「チッ、とりあえずは、こっちに渡すのは、期限切れの食料と薬品ってとこか?」

ジャン「ああ、許可は得ている。量は、この書類の通りだよ。さすがは、ラトアヌスさん。助っ人、用意してくれてたんだ。ありがと。」

トールゥド「あと、ヨルダンと、ヒルダート、ライアン、チョビル。俺含めて、5名だ。」

ラトアヌス「追加なら別途、料金を貰うからな!」

ジャン「アハハ、トールゥドさんがいる時点で大丈夫でしょ。それに、姐さんもこっちに来てるんでしょう?」

トールゥドさんが此処に居る時点でほぼ確定だろう。まぁ、姐さんには、出番があっては困るけど。

…軍が指名手配犯(ゆうめいじん)の手を借りるなんて…しかも、オークにそこまで追い詰められるなんて…二重の意味であってはならない。

トールゥド「ああ、高みの見物ってやつだ。」

まぁ、街に絶対被害がいかない事がわかるだけでも、心の持ちようが違う。

ジャン「だろうねぇ。じゃあ、早速お願いしようかな。あとは…3刻ほど、ラトアヌスさんが僕の代わりしてくれると助かるんだけど、サービスしてくんない?」

書類をラトアヌスさんと交換して、契約を結び終わると、そう言って髪をかきあげながら笑う。

ラトアヌス「ふん!お前にサービスする訳じゃない。姐さんに免じて、アンタの代理を務めよう。」

嫌いな相手でも、きちんとサービスはしてくれる。さすがは商人だな。こんな事言ってても、ちゃんとソロバンはじいた上での判断なのだから。

ジャン「お~、ありがとう。助かる。さっすが商人!!」

これで、ラトアヌスさん配下の優秀な諜報員の一部が戦線維持の要になるな。

早速、作戦連絡の変更点の連絡をする。

ジャン「…で、目印は商会の腕章をつけてる。…ああ、ソイツらに。んじゃ、3刻後にまた、連絡を入れる。」

さっすが、仕事が早いこと。あらかじめ、準備してなきゃ出来ねえよ?目印までつけて、軍の外郭まで来てたな?じゃねぇと、連絡途中に合流とか、有り得ねぇから。つーか、話纏まってから、窓の方で手のジェスチャーしてたけど、あれで通じるとか…。いや、だから、任せれるんだけど、ねぇ…。

ジャン「3人は軍の方の戦線維持を。それから、トールゥドさんは、もう一人と冒険者の方の戦線維持を。特に、冒険者の方が疲弊してきてるので、交代も含めて、うまく回してください。」

トールゥドさんなら、安心していられる。地味に強いから。

さてと、仮宿舎に戻るか…な…。

ラト「あ、倒れた。」

トール「無茶してたみてぇだな。ちょっと運んでくるわ。」

ラト「なんでそこまで王国に尽くすかねぇ?理解できん。」

トール「育ててくれた家族が大切なんだろ。俺らだって似たようなもんさ。隊長の話で聴いてた大切な弟に手ぇ出せねぇんだから。」

ラト「似てねぇのに、変なとこ似てやがるからな…。でもムカつくから落書きしちゃれ。」

トール「うわっ、俺知らねぇぞ。後で起きたら倍返しされそうだな…。」

ラト「貸しがあるんだ。そうそう、仕返しなんかできっこないさ。ぷぷ。」


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