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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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ジャン、全てを知る。6

王様「イエーイ!優秀な手駒ゲットー!!」

ええ!?今回、そんな回でしたっけ?

王様「えー、そうだよ~。結果的には、だけどねぇ。」

ジャン「やっぱり、コイツ、ここで殺していい?ここでならいいよね?護衛も居ないし?」

王様「やだなぁ、君と僕の間柄じゃないか。」

ジャン「あっれェ?どんな間柄でしたっけ?」

王様、ニコニコ笑ってるけど、大丈夫じゃないから……逃げた方が……。ぁ、魔法が放たれた!?えっと反射ーー!!何!!!あ、ジャンさん…倒れた…。

王様「やだなぁ、僕が対策しないはずないじゃん。見てみて、この宝石!イエーイ!」

……やっぱり腹黒だった……。

遠征から帰ってくると、何故か位階が上がって中隊長になっていた。意味がわからない。

他の奴らから、孤立するんじゃないの?何にもしてないのだから。と思っていた。

ところが、地中魔蜘蛛、ウェアウルフの魔物の討伐数が多く、また、隊員を助けた回数が多かったからだとか。

その、褒賞に謁見出来るって聞いて、逃げたくなった。

どの面下げて、王様に会えと?散々掌の上で遊ばれ、兄まで殺されているというのに。

僕は、王の執務室に呼ばれる。

男が座っている。とても、小人族のハーフとは思えない。堂々とした男。暫くすると、お付きをすべて下がらせる。

何故、二人っきりにしたのか。いや、もう一人、隠れて控えているか。憎んでいるのは知ってるはずだ。2人っきりになる筈ないか。

ところが、王は椅子を降り、横に跪く。

隠れていた人物が、堂々と椅子に座る。

そいつは、小人族の男だった。

「やあ、おひさ。また、会いに来るって言ったでしょ?」

僕は、掴みかりたいのを必死で堪える。

「フフッ今なら僕を殺せるよ?そこの奴にも手出しさせない。王はそこの奴が、代わりに努めてくれるよ。ずっと。」

僕に近づく。僕は笑って

「どういうつもりです?僕が貴方を憎んでないとでも?」

「いや?僕は、君にチャンスを与えたかったんだよ。小人族の未来の見方はね、ある人物の未来の視点なんだよ。だから精神が引っ張られて疲弊してしまうんだ。今はね、君になら殺されてもいい気分なんだよ。妹も、母も殺される事はなくなったからね。」

「王よ、お戯れは困ります。それ以上、その男に近づくなら、ソイツを斬ります。」

「ありゃりゃ、かたいなぁ。僕が許すって言ってるのに。まぁ、いいや。どちらにしろ、彼は動けないみたいだし。」

クスクス笑う王様を睨みつけたいのを必死で堪え、死んだ眼をしながら笑う。手に力が入って血がたれてきている時点で、取り繕っても無意味だけど。

家族によろしくっだねっと笑い転げる王様。それから、ピタッと笑い声が止まって、宝石に口を近づけ何かを呟く。

「ジャン。お前は、幸せに生きてくれ。俺は、大切な物が沢山出来(しあわせだったてな、手放せなくなっちまった。約束、守れなくてすまん。…エル、結局言えなかった。愛してた。サヨナラだ。」

兄の声だった。

頭の中に残っている音声、記憶を見せるための魔法。

兄の声を聴いて、感情を鎮めることは出来なかった。

「どうして?アンタの能力が他人の視点で未来を見ることなら、アンタはソイツの気持ちが痛いほどわかる筈だろう?なのに、なんで?こんなことできんだ!!」

ここまでくれば、わかっていた。こいつは、この音声を聴かせるために、わざわざ呼び出したことも。これが、王様の僕に対する褒賞だろう。

僕のこれは行き場のない八つ当たりだと言う事も。

もう、憎むには、相手(おうさま)の事情を知りすぎてる。そして、かなりの温情も貰っている。それがわかるぐらいには、時間的猶予(ネンゲツがたちすぎていた)があった。

「だから、疲れたって言ったろう?無理に能力を使ったから、あちこちの視点があって煩わしくてね。まぁ、統治するには役立つんだけどさ。」

この王様は、死にたがってる。それがわかって尚更、腹が立った。

王様風に言うなら、

今まで、利用し殺してきた者たちを背負って行くのがしんどいから、荷物を降ろさせてくれても別に構わないよってところだろう。

「何故?僕を利用した。あんたなら、僕を使わなくても、復讐なんて止められたし、止めなくても望みどうりアンタは死ねた。」

「彼女が無傷とはいかないさ。元隊員もたくさん死ぬ。それに、君と彼女を合わせたかったんだよ。」

「なぜ王様が、王様をしない?」

横の控えている、王様のハリボテ役を横目で見ながら問う。

「ハハッそれこそ見て判るだろう?こんな子供が王様だって?威厳も何もあったもんじゃない。コイツは僕に恩義があって、こうして変わってくれてるんだよ。」

「何故僕に、正体をばらす?」

僕にバラす必要性を感じない。危険が増すだけだ。

「というかね、もう、とっくにバレてるかと思ってたよ。君は随分鈍いみたいだ。だいぶヒントは出してたんだよ?言ったろう?必要だったからだよ。全てを知った時、君がどうするのか興味があったんだ。」

王様はクスクス笑いこちらの反応をうかがっている。

「そうか。なぁ、アンタは僕の兄を利用して今の地位についた。なら、その責務を果たす義務があると思う。兄の死は無駄じゃなかったって僕に思わせる義務が、さぁ。」

簡単に楽になんか、させてやんない。ぜったい。

僕は、仮面をつけなおす。二ヘラっと笑い相手を見る。

王様は、それを見てフフッって笑う。

「良かったよ。刹那的な復讐なんてものに身を焦がさなくて。そんな事、彼が望んでなかったからね。」

そう言って、彼は隠し扉から出ていった。




普通の騎士的な関係じゃなかった!!めっちゃドロドロやん。

ジャン「兄がずっと面倒見ててくれたんだよ。兄が居なきゃ、僕はここにいなかったよ。その兄を奪ったんだ。簡単に楽になんかさせてやんないよ。」

笑って軽く言やぁ、ええとでも?怨み辛み満載ですやん!

王様「アハハッ!!そんなもんだよ。何処にこの王様に一生仕えますなんて、理由もなく、人柄に惹かれて思うやつが居るのさ。」

えぇー……いてもいいと思うけど…。

王様「いたら、騙されてるか、よっぽどの人柄か、だね。まぁ、人柄良かったらすぐ死ぬし、王様には成れないと、思うよ。頭良くないといけないからね。」

王様、頭良さそうには見えないけど?腹黒ダケド…。つーか、頭良かったら人柄が悪いって聴こえるけど……。

王様「失礼だなぁ。まぁ、僕の場合は、未来視があっての賜物かなぁ。フフッ。えぇー、そう言ったんだよ。頭良い奴が、人柄いいわけ無いでしょ。あれは演技だよ。だって、色んなこと考えてしまう中に、悪い考えが無いとでも?」

うわぁ、捻くれてる。そこは、普通にいい人でも良いのでは?

王様「えぇー、なんも考えずに、それができる奴ってのがホントのいいやつだと思うよ?」

うわぁ……。

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