ササメside 続き
どうしよう。ユウリ!!
急いで、風飛びして村に向うと、いきなり現れた私に驚いた衛兵が、槍で攻撃を仕掛けてくる。何も考えずに開拓村の出入口に来たから、慌てて飛び退く。「待って!!お願いします。けが人なんです。通らせて下さい。」大きな声でお願いする。衛兵1は横に視線をはしらせて、警戒しながら「そいつを見せろ。」と言ってきたので、衛兵1の前にユウリを置いて離れる。
衛兵1「ユウリ坊じゃないか。こいつはヤバイな。結構深いし特殊毒だ。ポイズンスパイダーか。」
ササメ「そうです!早くしないと手遅れになります。この村に、僧侶か聖職者どちらか、在中していますよね?そこまで連れていきたいんです。ダメなら、すぐに呼んで来てもらえますか?」
逸る気持ちを抑え、何とかできないかお願いする。
衛兵1「アンタは魔物だし入れる訳にはいかない。白い着物だし、雪女だろ。それに、この村の聖職者は1人で、聖堂が病院も兼ねているから、あそこから動けない。それに…俺もこの場を離れるわけには…」
衛兵1はチラリと衛兵2と目配せし、首を横に振っている。
ササメ「そこを何とかお願いします!!」
ここで、治療を受けられなければ、もう間に合わないから、必死で頭を下げる。
衛兵1「使い魔契約をすれば、中に入れるが…」
私は、その言葉を聞いてすぐに顔を上げ、
ササメ「使い魔契約しますのでお願いします!!」
と頼み込んだ。
衛兵1「ちぃっとキツイが耐えられるか?これから行うのは、一方的な契約になるから、アンタに全ての負担がいく。」
ササメ「構いません!!すぐにお願いします。」
衛兵2が、横から衛兵1に書類を手渡す。
衛兵1「わかった。じゃあ、この言葉を唱えながら魔法陣を作り上げて、ユウリ坊とアンタの血を混ぜ合わせたものを、ユウリ坊の腕とアンタの胸に滴らせろ。」
衛兵1は、その書類を私に渡しながら説明する。
私は、すぐにその書類に目を通しながら、唱え、魔力を練り、魔法陣を作り上げる。紙に描かれている魔法陣と見比べてから、ユウリの服の濡れた部分を少し切り、自分の指にナイフを当てた。ユウリの腕と自分の胸に血を擦り付けると、身体の芯がほんのり暖かくなって、ふわぁとする。
衛兵1「身体の方は大丈夫か?」
ササメ「とくには、なにも。これで入れますね?」
衛兵1「ああ、後は事務書類だが、これは後からでいい。容態が安定したら戻ってきてくれ。それから、そいつの外套を羽織っていけ。そのままだと村の連中がパニックになるかもしれんからな。」
私は慌てて白い着物を隠すために、外套をつけながら話す。
ササメ「わかりました。聖堂はどちらになりますか?」
衛兵1「あっちの方だ。聖印がついてるから、すぐにわかる。」
ササメ「有難うございます。」
私は場所を聞くとユウリを抱えて、すぐに風飛びで向かった。