ジャン、全てを知る。2
王様「えー、僕めっちゃお喋りじゃん。語るに落ちるってやつじゃん。ってゆうか、ジャンくん、もっとちゃんと調べようよ~。」
王様は元からお喋りだと思う…。謎の人物とか無理でしょ…。
王様「えー?ミステリアスキャラ憧れるのに…。」
うーん、王様ってどちらかというと、壊れキャラ?
王様「ひっど~いなぁ。ユウリくんやササメちゃんに比べりゃまだまっしだと思うよ~?末期とか、もう、とっくに精神が崩壊してるし…。」
それは未来視ですか~?
王様「そもそも、依存し過ぎなんだよ。お互いに…」
おーい、戻っといで~。
新兵の1年間の訓練を終え、地方に配属が決まる。
その間も、色々、寄せ集め隊のことを調べていた。
「まったく、君は。まだ、商会にたどり着いてないのかい?」
ひょっこりと、また、あの子供が現れた。もう、小人族なのだろう事を知っているから、姿がそのままでも驚かない。
「まぁ、なら、僕が語るとしようか。」
それは、大切な存在を守るために、卑劣なことをする第二王子の話。
第二王子には、大切な母上と妹がいた。
母上は、過去に、王を魔物から助けた。それがきっかけで、王に見初められ、妾となった。王には既に妃が居て、その間に子が既にいた。王は政略結婚した相手との義務は果たしたと、母上の所に入り浸り、その結果、子が2人、第二王子と、その妹ができたのさ。
そうそう、小人族にはたまに、未来視出来る者が現れるのは知ってる?
第二王子の母上は、小人族だった。
そう、その卑劣なことをする王子には未来視の能力を持っていたんだ。ハーフにも係わらず、ね。
そして、第二王子が動かなければ、その母上と妹は殺される運命にあった。
そのまま、第一王子が王位につけば、小人族は人であるにも係わらず、魔物認定される未来を第二王子は、その能力で知ってしまった。小人族には魔核が存在しないというのに。
第二王子は、必死で未来視を何度も繰り返した。何度か繰り返すと、違う未来もある事も知っていたから。
第二王子は、王子の立場を利用して、あらゆる場所に顔を出し、繋がりを作った。隣国のお姫様も、その繋がりの1つだった。
隣国のお姫様は、第一王子の事が好きだった。だが、一人娘であるため、嫁ぐことは許されない。
そして、何もしなければ、第一王子を手に入れることはできない。
第二王子は、隣国の姫が第一王子の事が好きな事を知っていた。
だから、隣国のお姫様に囁いた。
ねえ、取引をしない?
君は、この国から離れられず、また、婚約者が居る事も知っている。でも、内緒で王子を飼うことができたら、どうする?
君が協力してくれるなら可能だよ。
そう、ちょっと戦争の準備をして、国境付近に兵を配置してくれればいい。
時期は、そう、2年後、こちらの王が病床につき、政治につけなくなってから。
世迷言だと思うかもしれないけど、王が病床につくのは確実だよ。今は元気だけどね。ああ、後、君の婚約者、かなりのゲスだよ。今は紳士に振舞ってるけど。だから、権力は与えない方がいい。
あと、そうだね、君の結婚式は1年半後かなぁ。何しろ、君のお父様、暴飲暴食がたたって、急死するから。
いいよ?君が、ここで、騒いでも。信じられないだろうから。
でも、僕が言ったことは、ほぼ当たるよ。
だから、一年半後まで待った方がいい。
その上で、君が協力するかどうかを再度尋ねよう。
そう言って、隣国のお姫様を籠絡した。
それから、内部でも、様々な貴族にあい、ある時は、利益をもたらし、また、第一王子の派閥を少しずつ減らしていった。諜報の者達を味方に付け、少しずつ、気付かれないよう、作戦を仕込んでいった。
そして、隣国が戦争の準備をしていると、情報を流した。
第一王子を破滅させるのに、寄せ集めの隊は必須だった。ギリギリ、規律が守られる妥協点を踏ませた。
そして、第二王子はその後も、情報を交錯させ、命令を入れ替え、隣国の砦を、その寄せ集めの隊に攻めさせた。
こうして、第一王子は罠にハメられ、規律を破ることになった。何しろ、王の許可も得ずに、隣国を攻めたのだから。後は、君の知ってる通りさ。
子供は、僕を真っ直ぐ見る。嘘はついてなさそうだ。
ハハッと笑いが出る。僕にこんな事を教えるメリットはなんだ?こんなの喋ってるのバレるだけでも、首が飛ぶだろう。僕だって無事では済まない。
ジャン「お前は、諜報員か?なぜ僕にこんな事を教える?」
死んだ様な目で相手をぼうっと見つめる。
「フフッ、まあ、半分正解で半分外れかな。必要だからさ。すべて知った上でどんな判断を下すのかな。」
子供は、まだ話し続ける。
君のお兄さんにあった事もある。仲間を見捨ててこちらにつくか、駆け落ちを勧めたよ。優秀だったから。けどね、どちらも選ばなかった。
もちろん、僕も全てを話せるわけじゃなかったから、本当の騎士団に君だけ入隊させることも出来る。そうすれば、君の弟と堂々と会うことができるよっとか、
彼女と2人でだけなら、地獄の蓋から逃れることが出来ると思うよってアドバイスしたりとか、その程度。寄せ集めの隊は必要だったし、彼は第一王子の派閥だったからね。
でも、結局、彼は仲間を見捨てることができなかったのさ。
あ、そうそう、君に手紙を渡そう。中を見ずに、エンリ商会の長に持って行くといい。
君のお兄さんについて尋ねることができるだろう。
無事、遠征が終わったら、君にまた会いに行くよ。
そう言って、その子供は去っていった。