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雪女と少年  作者: 干からびた芋
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マックの姉side

ジャン「ええっ?ここで、関係なさそうな話入るの?」

あ〜、マックあんまり絡みなさそうなのにねぇ…。

カトリーヌ「それより!なんで、私達が、呼び出されたのかしら?他にも居るでしょう!人を運ばすなら男呼びなさいよ!」

ジャン「え…だって一番近くにいた冒険者、お前らだから。」

カトリーヌ「これだから!!!エレナは傷心の最中で落ち込んでるのに、そいつを運べと?この駄隊長!!」

ジャン「ああ〜、観てたから知ってる。ククッ、振られてやんの!!」

エリナ「…」ドンヨリ。

カトリーヌ「キー!!!もぅ、腹立つ!!ぶっとばす!!」

ジャン「アハッ、君の実力じゃ、ム・リ・だ・よ。じゃ、解説、後よろしく~。」

えー…まぁ、読み飛ばしても問題ないよ、マックを少し掘り下げてみただけだから…。


今頃、マックはどこで何をしているのか…。

昔から、可愛くて仕方のない子だった。上の兄達は、私を猫可愛がりしてくれてたけど、自分がそうできる相手がマックだった。

ねーねって呼んで懐いてくれて。歳が少し離れてたから尚更だったのかも。

でも、マックがイジメられて泣いて帰ってきた時だった。兄に悟された。お前が何時までもついててやれるわけじゃないって。

それにマックは男の子なんだ。そんな弱くさせてどうする。

もう10歳だぞ。

お前は、いずれ嫁ぐ。そりゃ、そのための努力もしてきたし、淑女に見せる技も磨いてきた。甘やかされても、だ。

だが、マックはお前にいつも先に試練を片付けられ、また、お前に甘えきっている。このままだと、まともな大人に育たんぞって。

それからは、心を鬼にしてきつい言葉を放った。

「お前は、生まれながらにして負け組なのです。

貴族で一番目の長男は何もしなくても家をつげます。2番目の次男はいちおう、跡継ぎの替えとして、何かあったときは跡をつげます。そして、つげなくても、長男の支える役目として家に残る事もできます。ですが、3番目のお前は、よほどの功績を残さぬ限りは跡をつげないし家にも残れないのですよ。生まれながらにして敗者なのです。」

「お前は女ではありません。

女であれば多少泣き虫でも、器量さえ良ければ、貴族に嫁ぐことも、また、家を栄えさすために、政略の道具としての立場が貰えるのです。ところがお前は男なのです。

多少見てくれがよかろうが、貴族の子女は見向きもしないのです。男としてのお前もまた、負けています。私はこの家を継ぐ立場になく、また特典をつけられる立場の者でもないのに、上の立場の貴族の者から、いくつか縁談がきています。お前はどうです?

エジアレスの3男は女の敵ですが、よく考えて行動しているのです。女を周りを見向きもさせないほど夢中にさせて、婿養子を狙っているのですから。

お前の年にはもうとっくに童貞では無かったのですから。それなのに、お前と来たら、まだ彼女も作れてはいないではないですか。お前は負け犬なのです。」

マックは、最初、ビックリして泣きやんだかに見えましたが、さらに盛大に泣き始めました。私は思わず、慰めてあげたくなったのですが、心を鬼にしてその場を立ち去りました。

マックが、何度か甘えようとしてきても、全て突っぱねました。そして、口を酸っぱくして、きつい言葉を何度も投げかけたのです。

辛かったこと。

次兄は「別にそこまで厳しくしなくても…お前も辛いだろう。」と声をかけてくれました。が、可愛いいマックが立派な大人になるためなのです。一度、緩めてしまうと、どんどん甘くしてしまう。

それは兄たちも一緒だったようで、だから距離をとってあまり接点のないように、無難にしていたのだ、と知ってしまって尚更、普通に接する事ができませんでした。

「いいえ!これは私が至らなかった罰なのです。マックが立派な大人になるためにも、ここは堪えるところなのです。」

そうして、きつい態度をとっていたら、甘えなくなりました。寂しかったこと。

ですが、そのおかげか、実技の実力がつき、メキメキと頭角を現したのです。将来は、騎士団に入って立派になってくれる、と。

これは、キツく当たったことが、効果があったのだって心から喜んでいたのです。

それなのに、あの子ったら、学園を途中退学し、

「冒険者になって、大儲けしてやらァ!!もぅ、負け犬なんて言わせねぇ!女はべらして人生の勝ち組になってやる!!」

って言って、家宝の剣をふた振り持ち出して家を飛び出してしまったの…。

もちろん、手紙だって1度も来ていない。仕方ないので、冒険者ギルドに依頼して、弟の情報を取り寄せて、元気にしているようなのはわかっているのですよ。強くなって泣き虫じゃなくなったことも。

でも、それでも心配なのです。兄たちも、私も、もし、冒険者として失敗して戻ってきたとしても、追い出したりしないのです。だから、疲れたら、帰ってきてもいいのですよ。

まぁ、もうじき、私はこの家から、居なくなってしまいますけど…。

愛してるのですよ、マック。それはわかっていてくださいね。




マック「そ〜いえばさぁ、なんで、オーク討伐の時に、広範囲魔法で攻撃しなかったんだ? 」

ジャン「それ、僕に尋ねてるの?」

マック「指揮官だからな、お前。」

ジャン「それなら、言う事聞いて欲しかったよ…。最初のやつ以外って事だよね。使えるのユウリと、マック以外居ないから、広範囲。めんど~だから、解説、後よろしく~」

えー、ディアスは、風で切り刻んで倒せるけど、後がゾンビ化しやすい?んで、あの規模を殲滅させるのに、ユウリとマック交代でしても魔力足りんでしょ?他の奴らの共鳴魔法?暴発が恐ろしいわ!!

各自の中級?上級?そう、何発も放てる奴ら居なかったでしょ。

ジャン?既に感知とかで魔力使ってるからね。

最初に打撃与えて後は知らんっていうなら、魔法で一気殲滅も、ありじゃね?

戦線崩れるけどな。んで、後から強いのきたら、もぅ、全滅、ね?

戦線維持と、魔力温存で交代も入れて考えたら、この戦い方になるんじゃねぇ?

マック「そんなもんか?いけると思ったんだけどなぁ。」

ところで、家族のところ、戻る気ないのかい?愛してるのですよ、だって。

マック「…嘘だ…。事あるごとに、心を抉っていくんだからな。信頼させて、どん底に落とし込むとか、シャレならんぞ…。あれが愛情であってたまるかよ…。」

はぁ…、お姉さんは、報われないようですなぁ。



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