表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪女と少年  作者: 干からびた芋
128/163

ジャンside

今回、長くない?

ジャン「ちょっと、過去話も入ってるからねぇ。」

あ~、でも、省けないでしょ…。こういうのがあったよって入れとかないと、話通らないし…。

あっ、それより、王様怒るんじゃない?悪口言ってるし?

王様「ん?別に?だって、腹黒じゃなきゃ、王様なんて務まらないよ?それに、配下の能力を最大限に出せるよう配置するのも、普通のことだよ?」

ジャン「俺抜きで、この計画はたてれないでしょ…、広範囲の感知を常に発動させながら、他の魔法を使わせるとか、鬼畜かっ!って思ったんだけど…はぁ。しかも、弱ってるとはいえ、Sランクと戦闘とか?」

ああ、だから人使いの荒いって思ってたのね。

ジャン「これ、終わったらしばらくクダグダに過ごすわ。なんもする気おきねぇもん。」

王様「ああ、任務は果たしてくれたら、問題ないよ。」

人当たりのいい腹黒王様は何だってこんな任務を押し付けてくるのか…はぁ。

念話が使えるからって人使いの荒い。

まぁ、指揮を執りやすいのは確か、かぁ。

感知を拡げて、部下に念話で指示を送る。

夜間の間は、特殊部隊も使って綻びがないか念入りに報告させる。

ジャン「メンドーだなぁ…。」

招かれざるお客さん…オークを倒しに行ってくれりゃあいいのに…。

部下が今は街に居ないから、僕が対処しないとねぇ。

紐付き雪女がこっち来てから、これで3度目だ。

3日しか経っていないのに。

でも、排除しないとね。ユウリって奴に倒れられると、目的が果たせない。まぁ、こんな雑魚にヤラレはしなそうだけど。

魔王候補の雪女は、今日も人を治療している。見た感じ、ユウリっていう冒険者が好きなようだ。


〜~〜~〜~〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


二年前~


王様「ああ、ジャンくん。いいところにいた。こっちこっち。」

城で、王様に呼び止められる。

ジャン「…王様…またそんな、ラフなかっこで何してるんですか?」

空いてる一室に、入ってドアを閉める。この王様は神出鬼没だ。なぜか、よく目をかけられている。

王様「いいの!どうせ威厳のある王様は、影武者が演じてくれてるからさ。」

どちらかと言えば、こちらが影武者では無かろうか…。

王様「むむむ、今、シツレーな事考えてたでしょ。…まあ、いいや。それより、今回はコレ!」

涙晶石のついた宝飾品をみる。なんの変哲もない。だが王様が持っているのは違和感しかない。王様が身につけるようなものではないからだ。今はどちらにしろ、そんなもの持ってる方がおかしい感じのかっこなのだが。

王様「あ、なぜこんな物をって顔だね。ちょっと、気になって、ある御令嬢に交換してもらったのだよ。」

ジャン「色恋事は一介の一兵隊長にする話では…」

ニッコリそう言って、その場から立ち去ろうとするが、グイっとその宝飾品を顔の前に出される。

王様「ぶっぶー、残念。もっとよく見て。これ。」

どう見ても、涙晶石なのだが、中に入っているのは上級魔法、それも三発分?しかも使い捨てじゃない。解析違い?

ジャン「えっと…そんなハズは…いや、でも、王様の持ってる物だから…。」

困惑しつつも笑顔を崩さない。

王様「ね?興味あるでしょ?因みに、出処は、ある奴隷商人かららしくってね。」

ジャン「なら、暫く出回ってもすぐになくなるでしょうね。量が少なければそう、問題にならないかと。」

王様「ちがう~、ちが~う。問題は、別だよ。この涙晶石は独占で買い占めればいいから。むしろ、そうやって消えてくれたら、問題はないんだよ。むしろ、生き残った時が問題かな。この文献、読んだ?」

以前に渡されていた魔王に関する考察本。

魔王が出現する前に、何らかの凄い装備などが出回っている。そういう話を、証拠の装備品の作られた年月や魔王が現れた時期、魔王の種族や装備の材料など根拠をあげてある。面白いから、読んどいてねって言われて…事前の手回し…か。

ジャン「考えすぎでは?確かに、これは、普通の涙晶石ではない…けど。」

王様「じゃあ、生き残ってたら、要観察って事で。僕の勘では、生き残って、経済的に打撃を与えるって気がしてるんだよ。」

ジャン「それは…どこかが更地になると?」

王様は意味深に笑う。

王様の勘はよく当たる。確実ではないが。

なにしろ、未来視の能力を持ってるんだから。


半年前~


王様「ジャンくん、ジャンくん。」

朝の報告会や訓練が終わり、書類整理の方に移ろうかって時だった。

ドアをヒョイっと開けてなんの前触れもなく訪れる。王様がこんなのでいいのかと、何度目になるのか、そう思う。

小人族の血も流てて、この容姿なんだから、余が、とかワシとか言っても似合わないね。って。

それに、僕の勘はよく当たるから、危ない時は判るよ。って。護衛もつけずに、だ。

まぁ、それはどうでもいい。で、用事はなんだ。顔をあげて、ニヘラって笑う。

王様「色々、面白いよ。コレ。」

諜報員の報告書類のようだ。雪女が奴隷印を外して逃げた。それも人と一緒に。

ジャン「へぇ。人を恨んでないんですねぇ。」

王様「うん、でも、なおさら要注意になったかも。これ、例の魔王になる恐れのある()だから。で、これは涙晶石と雪女を調べてもらってた、その報告書。」

涙晶石のエネルギー吸収力と雪女の吸収力、魔力の保有量は比例する?

王様「今は、そんな魔力量がなくても、そんだけ収容できる器があるって事。できれば、首都、ここで僕の監視下で保護するか、もしくは郊外にずっと居てもらうか。少なくとも、僕の監視下にない状態では首都に近づかないで欲しいね。」

ジャン「なら、今のうちに消しとけばいいんじゃ?」

どうでもいい。なんで俺にこんな話をするのかも。

ニヘラと笑って書類を返す。

でも、この王様は意味のない事はしないし、関わりを持たない。つまり、俺に何らかの役割があるのだろう。

王様「それは、すごい悪手だよ。僕の勘が凄い警鐘を鳴らしてるよ。そっちの悪事には絶対関わっちゃイケナイってね。」

暗い笑になる。こういう事をしない人なのではなく、今回はその方法が悪い結果を招くからしないだけなのだと、わかる笑いかた。

王様「そうそう、まだ先だけど、隣の宗主国側(ちいさなシュウキョウコッカがわ)に出張する時にさ、雪女来るはずだから、できたら、理由つけて僕のとこまで直で連れてきて。ちゃんと紐付き状態でさ。まぁ、五分五分なんだよね、連れてこれるかどうかって。」

つまり、まだ上官命令は出てないけど、そっち側に派兵する、と。

好戦的な王ではないはずだけど…ねぇ…。まぁ、どうでもいいや、と思いニヘラと笑う。


一週間前~


オークの大群が来るかもしれないから、ノライトス地方の国境付近で部下数人と共に待機との命令が下る。そして、訓練が終わったばかりであろう新兵の指揮官もするように。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


招かれざるお客さんを排除しようと動いて居たけど、途中で停まる。ユウリって奴の方が先に接触する。もう、ユウリって奴の索敵範囲に暗殺者が入り込んでいた。

もう、いまさら、僕が動いて彼らを排除するのも不自然だ。魔力があまり残ってないみたいだけど、対処は十分可能だろう。いざという時に備えて助けに入れる状態にしておくが。

例の雪女の方は、不安定ながらも、まだオーク化はなさそう。スライムは、なぜか、非常に安定している。

どちらも休憩に入ってたなって思う。

部下2人を指揮を他の部下に任せて、冒険者側の援護に入るよう指示する。また、前戦が崩れかけてもやっかいだ。

他の魔物達は、そもそも結界とブレスレットでオーク化を防いでいる上に、瘴気に触れさせてないから、問題は起きてない。

むしろ、瘴気に触れている兵士や冒険者の方で、諍いやケンカが起こりやすくなる。が、それも、とりあえず、起こっていない。

おかしいことに、治療を受けたやつの方が精神的には安定しているぐらい。

人死の被害も出ていない。

順調すぎるくらいだった。そう思ってたんだけど、そうは問屋が卸さないらしい。ユウリって冒険者が暗殺者を処理した後で、エレナが接触する。

その直後、雪女の不安定さが一気に増してオーク化に傾いていく。

五分五分ってコレの事かと、半分納得し雪女の後を追う。

腕や脚の方から黒ずみが広がり蹲っている。ここでオーク化されると、他の魔物達にも影響がでる。

殺るなら、オーク化する前に、か。

今なら、後ろから、さくっと殺れるだろう。

自分の思い通りに身体が動かせないようだし。そう思って、声をかけながら、剣を薙ぐ。

これで片が着くと思っていたのに。

へぇ~、なかなか魔力制御が上手いじゃないか。

無理やり身体強化をして前斜めに蹴り出して避けた。それも声を聴いてから…。

なるほどね、確かに魔王候補かもね。今の状態でもSランクの冒険者と変わらない実力。魔核が壊れかけでなく、このオーク騒動にも巻き込まれずに魔力量が相当跳ね上がってれば、魔王になってても不思議じゃなかったろう。

これ以上抵抗されてオークになるのも困る。聖印のブレスレットの制約を引き上げ魔核へ負担をかけながら、聖縛をブレスレットを起点としてかける。

そして、剣を魔核に向けて突き出す。

ユウリって冒険者がギリギリ間に合いそうだが、オーク化する魔物を助けはしないだろう。

って、助けるんだ。へぇ~、まぁ、今ので相当な深手をおった。それに魔力が感じられない。さっきの身体強化で使いきったみたいだから、一時的な止血も本人では出来ないだろう。コイツが死ぬまでに、雪女を殺しきらないと、厄介だなぁ。

雪女が暴走するのを防ぐ為に、先に殺す訳にはいかない。この状態でも、魔力吸収や生命力吸収を使えないとは限らない。

一応、ユウリって奴にオーク化する魔物を助けるのは罪になる、と忠告もしたけど無駄かぁ。

ユウリって冒険者がササメを庇う。僕が、先に自分(ユウリ)を殺すことはないと、わかっている。だから、ユウリって奴は、自分の防御を一切捨てて、意味のない時間稼ぎをしていた。

助ける仲間も居ない、策が有るわけでもない。このままだと、出血過多でユウリが先に死ぬが、まぁ、…その前に意識がなくなるわな。

この位置から刺せば、ユウリが亡くなるより先に魔核を貫けるだろう。そう思い剣を振り上げた。が、雪女は強い制約を受け、聖縛も強くかけられた状態ににもかかわらず、動いてユウリの上に被さった。驚きの方が強かった。

雪女は、何かをしようと魔力を制御し、練り上げているが、出来る事などしれている。人を傷つけれないから。

2人の思いの強さに同時に葬ってやろうと思い挿さった剣を振り抜こうと動かした時、強い聖系統の魔力が迫り、剣を振り抜かずにその場から飛び退く。かなりの魔力の強さ、そして、魔物が聖系統の魔力を扱った事が信じられなかった。

だが、自分の魔力感知と解析を信じるならば、この雪女(ササメ)が確かに、聖魔法の完全回復を使ったのだ。そして、オーク化しかける前の姿に戻っていて、瘴気が体内に残っていなかった。聖系統の魔力を身体に纏わせたからだろう。

ジャン「殺す必要はなくなったな…どうしよう。…五分五分って言いつつ連れて来いだから、治さないとまずいかぁ。」

僕は、剣を収め雪女(ササメ)に回復薬をかける。ユウリって奴の方は、増血薬を起きた時に飲ませればいいだろう。

ジャン「これ…両方、僕が運ぶの…?!はぁ…。あ、鳥コンビ休憩中じゃん。頼んじゃえ。」

ところで、なんでササメ呼び出してるの?

王様「ん、だって、王都消滅とかシャレならないじゃん。」

えっ?そういう未来が?

王様「因みに、先に手を出してたら大変。」

ユウリ死亡→ササメが魔王になり復讐に来る。

ササメ死亡→ユウリ暗殺者になり復讐に来る。

ってこと?

王様「そう言う事。もぅ、ぶるぶるもんだから。因みに、今回も、結構綱渡り。」

ユウリ死亡→ササメのオーク化→ノライトス地方壊滅→ササメの人格消滅。何故か知性を持つ魔王になり、人を滅ぼす。

因みに、同時に死ぬとかは?もしくは、ササメが先に死ぬとか?

王様「同時に死ぬのは無かったよ。ちっ!それがありゃ良かったのに。」

ササメ死亡→ユウリ死霊術師→ユウリの幽鬼化→世界を滅ぼそうとする。

えっ?なに、こいつら爆弾?

王様「うん。混ぜるな危険ってくらいの。会う前に邪魔出来たら良かったんだけど、そもそも、僕の未来予知で視て、危険だってわかった時には手遅れだったのさ…。」

…ポクポクポクポクチーン…ご愁傷様です。

王様「疲れた…燃え尽きちまったぜ…」ガクッ

ノリのいい王様だーーー!!!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ