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雪女と少年  作者: 干からびた芋
125/163

ササメside

あれ?戦い始まってる?

ササメ「あ、うん。ユウリとマックさんもディアスさんと出ていったし、私とメキルさんは、ジャンさんが救護所に連れてってくれたし…。」

っていうか、けが人多いの?

ササメ「最初はボケーってしてたけど、擦り傷の人とか、少しずつ来てて、噛みつき傷には驚いたけど、うん。今はそこそこ来てる。」

へー。

ササメ「ええっ!それだけ?」

えっと、大変だね?

ササメ「いや、あの、噛みつき傷とか、驚かないの?」

ええ?そこ?だってオークって同族食いもするんだし、敵だって食いにくるでしょ。

ササメ「ええっ!…同族食い…いやいや、しないでしょ?!単なる苦し紛れの攻撃じゃ…え、するの?」

メキル「するよ。それで、力が増すの。」

ササメ「うそ…そうなんだ…。キモい…。」

いやいや、ササメさん、そこはひくのね(笑)


遊撃隊の冒険者達が運ばれてくる。次から次へと…。兵士は、まだ、そんなに被害が出ていない。訓練の練度が違うのだろう。素早く治していく。

向こう側から、嫌な魔力が運ばれてくる。

向こう側は、紫色の魔力が立ち込め、漂って居るのだろう。運ばれて来る冒険者の傷口からも少しだけ立ち上っている。そのモヤが気持ち悪い。少しずつ体内に蓄積されていく。魔核に絡みつくように。

ユウリは無事だろうか。ディアスさんは、グールが最初の仕掛けで減ったから、毒の心配はないし、まだ来るのは雑魚だと言っていた。

兵士は、分断と殲滅を繰り返ししているらしい。聖魔法を使える人達が一定数いるらしく、分断してから浄化を繰り返ししているとか。

冒険者達の方は、弓や魔法を打ち込み、反応する奴らを近接戦闘の得意な者が屠っていく。必要以上の数がきた場合、ランクの高い者が一気に殲滅する。

冒険者の方は聖魔法を使える人物が少なく、治療出来る人も少ないらしい。もっとも、兵士の方は魔力の節約のために、こちらで一緒に治療を受ける。それは冒険者の方も徹底しているのだとか。

動けるうちに、自力で此処まで来れる人達ばかりなので、今のところは問題もおきてないのだろう。

メキルさんの方も、手を当てて治療していく。

メキルさんは、酒場にいた、スライムの人。スライムだから、表面を取り込み体内で、解毒と治療をして、表面から離れる。うん。スライムは、再生能力もすごく、解毒も得意。スライムだから、逆も…。毒を付与するのも、溶かすのも得意だけど…。

メキルさんの方にも、紫のモヤが溜まっているので、その魔力を吸い取る。

メキルさんは、驚き、

メキル「ありがとう。でも、無理しない方がいい。アナタも無事じゃすまなくなる。」

そう言って、治療に戻る。

そうしていると、交代してくれる人がきて、休むように言われた。

気持ち悪くなっていたので、人のいない建物の隙間に入り、涙晶石に少しずつ、気持ちの悪い魔力を流し込めて閉じ込める。涙晶石は黒く染る。そうしていると、少し気持ち悪さが引っ込んだ。

建物の影から出るとディアスさんから、声が掛かる。

ディアス「どうだ?やれそうか?まだ、距離が離れているから、ここまでは、障気は漂ってないだろうが…。キツかったら、早めに言ってくれ。」

障気?たぶん、あのモヤの事だろうか?

ササメ「大丈夫です。ディアスさん、あの、障気って紫色の魔力の事なら、涙晶石に閉じ込めました。」

そう言って、黒く染った、涙晶石を渡す。

ディアスさんは、少し驚き、メキルさんの方も確認しておいた方がいいなって呟いていた。

その言葉を聞いた私が、何を?と首を傾げると、なんでもねぇって頭をガシガシ撫でられた。

ササメ「あの、ディアスさん、私がこのモヤ吸い取ったら、魔物たち正気にもどる?」

私は涙晶石に、この紫の魔力を閉じ込めることができた時に、この作戦を思いつく。

狂化されないよう、聖印などで縛ってもらって魔力を集め、それから、涙晶石に閉じ込めてしまう。

もちろん、私の核が保つことが前提で、壊れてしまうかもしれない。けれど、龍や、天馬、真鬼といったモノたちが狂化していたら、とてもじゃないけど、ユウリが無事とは思えなかった。

自分が、ユウリの近くに居れない事が不安で、怖くて…。

ディアス「やめろ!そんな使い捨てになる可能性の高い作戦なんて使えねえよ。だいたい、ユウリが使いもんにならなくなる。わかったな、もう、言うなよ。」

ディアスさんは、そう言って少し怒って、頭を(はた)かれた。

ディアス「ああ、まあでも、俺らが怪我して使いもんならなくなったら、そんときゃ、それ頼むわ。」

そう軽く笑い飛ばして言って、後ろ手で振って去っていった。

たぶん、見回りをしてまた、前線に戻るのだろう。

ササメ「ひゃぁ!あ、びっくりした。ディアスさんか、後ろから声かけられたから焦ったよぉ~。」

ディアス「ぉう、スマンな。」

おやっ、ディアスさんもびっくりしてるよ、プクク。

まあ、ディアスさんは、これも仕事ですもんね~♪

ササメ「ああ、見廻りご苦労様で~す。」

ディアス「ありがとさん。ところで、メキルは?」

ササメ「先に酒場の宿じゃないかと?」

ディアス「ところで、お前!却下した作戦持ち出してくるなよ!!」

おお!頭掴んでグリグリしてますな。(笑)

ササメ「あ痛だだたぁぁ。やめてくださいよぉ~。知らないですよぉ。そんな先に出てた作戦だなんてぇ。」

ディアス「八つ当たりだから気にするな。」

ササメ「ええ~!!そんな理不尽なぁ…。」

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