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雪女と少年  作者: 干からびた芋
117/163

ディアスside

ジャン「あ~、なんかこの地方がヤバイから、なんとかしてって、言われてきました~。」

………。なんとかしてって。

ジャン「いや、確かに王さん、そう言ってたよ~。」

そんなユルイの?口調。

ジャン「うん。そんな感じ。あと、部下もつけるけど、君は必ず帰って来てね~ダメでもこっちで使うから~、だってさ。」

へー、信頼されてる?もしくは幼馴染み?

ジャン「アハハ、どっちでもないねえ。でも、まぁ、内部の方の作戦にも組込まれてるからね。…まぁ、メンドーだけどね。」

メンドーって……。

ジャン「ん?だって、魔物の殲滅だけなら、こっちの優秀な魔法使い集めて集合魔法で隣国の土地ごと焼払えば終わりだからね。まぁ、隣国滅ぶかもだけど。合理的でしょう。」

………。感性がついてかないよ。

ジャン「今回は別件も含まれてるから。」

ん?別件?何それ?

ジャン「今バラしたら楽しくないでしょ?お楽しみ~。」

ふーん。





用意されている部屋で、考え事をしている。

とりあえず、ユウリが来たことで、作戦の目処が立った。仕上げもまぁまぁ。

ユウリが来るまでは、交代要員でさえままならず、どうしようか悩んでいた。ある程度、軍の方との連携の為に、定期連絡で現場を離れることも必要だった。だが、そうしている間に、前線が崩れる可能性があった。

特技、武器、戦い方も、それぞれ違う。

だからこそ、連携も取りづらい。しかも、グループで完結した戦い方に特化していた。そのままでは今回の群勢に対抗出来ない。

だからこそ、一時的とはいえ、最編成が必要だった。

遠距離攻撃が出来る者と、中距離攻撃出来るもの

、近接戦闘しか出来ない者。距離が同じ者で纏めてく。

実力を測り、その際に、攻撃距離も頭の中に入れその場で組みを作って行った。相性もあるだろうから、ある程度の移動は後からだな。

後は、グループでしか真価を発揮できない者達。こういう者達がたまに居る。これは、グループを解体出来ない。

後は、1人で周りに合わせる術を持たない者で、強さが半端な者。これらの扱いが困った。元から弱ければ違う武器を持たせた方が戦力になる事もある。

だが、鎖鎌等の中距離でソロでしている奴は、ある程度の距離を離さなければならない。

それに仲間との連携などもせずにCランクまで上り詰めている者とか、魔法制御の問題で、周りに人がいると使えない魔法しか使えない者もいる。

また、ユウリのように、レベルを落としながらなら連携できるが、真価を発揮できなくなる者もいる。もちろん、ユウリぐらい実力があればソロでも十分問題無い。というか、ユウリはソロで分断の役をしてもらう。俺もその役だしな。あと、セレナとカトリーヌのAランク同士の女コンビ。㍐うるさいが…実力はある。

あと、マルクス・レスタード。貴族の5男坊で放浪のSランク冒険者。通称 唯我独尊のマック。強いが癖があり過ぎ。我が儘で強欲。ただし、自分の決めた決まり事に対しては筋を通す。人の意見をほぼ聞くような奴ではない。が、女に弱いので、セレナとカトリーヌを通して向こうの範囲をカバーしてもらう。

ダメなら、ユウリと俺がカバー範囲を増やすしかない。

最初はこれで行けるだろう。問題は、強い魔物が出てきた場合。兵士の方に押し付けてもいいが、抜けられても困るからだ。

低ランクの冒険者よりは頼りになるが、崩れた場合、下手すると低ランク冒険者より弱くなる可能性がある。連携に慣れすぎているので、いざそれが崩壊したときに、どれほどの訓練を積んで来たのかが問題になる。とっさの時の対処法が確立されているか。それが実行できるか。それは向こう側の問題だが、押し付けた結果なら、兵士側と冒険者側で溝ができる。

協調して、後退していく必要があるのに、それは悪手だろう。

まあ、冒険者側が抜けられても、兵士側が抜けられても、ユウリがいるなら、俺が足止めして、ユウリにあたり一面燃やし尽くしてもらう手が使える。で、押し返しているうちに、もう一度、立て直してもらう。

その後は、翡翠(カワセミのエレナ、鴕鳥(シュンソク)のカトリーヌで切り崩しをカバーしてもらえばいい。

2人とも元兵士だったらしく、切り抜けが得意だしな。

問題は他にもある。人型の魔物達。ある程度のランク以上だからこそ、オーク化した時が怖い。街に入れているんだから。

オークの群れに混ざられても厄介だから、街に囲い込んでいるのが現状。

聖印のブレスレットは、オーク化を防ぐ為でもある。

その辺は、考えられているのだろう。

この事態が起こる可能性があったから、高価な魔道具にも関わらず、数が揃えられていた。

この地方の白い建物群、聖なる鐘、至る所にデザインとして組み込まれている聖印。

すべて、隣国のダンジョンと、魔の森の管理体制を知っての対策だったのだろう。どこまで効果があるかは実際、試さないとわからないが、強い魔物達には効かないことは明らかだ。

本当は、事情を説明して、それこそ近づかないようこの場から離れさす事も、考えた。だが、他所でオーク化された時、対処要員がいない。この地方の冒険者すべてをこの街に集めているから。

結局、ここに、拘束しておくしかなかった。

コンコンと、音がして

「ディアスくん、今いいかい?」

ニッコリ微笑みだらっとしている兵隊長。返事も聞かずにズカズカ上がり込む。

昔の隊長みたいに掴み所のない、やる気のなさそうな男、ジャン。

視線を向け、続きを促す。

ジャン「あ~、やるからには、ちゃんと功績は上げたいんだよね。

で、前線の維持が崩れた時の対処、何とかなりそうかい?」

すっとぼけていた目が、すっと細まり此方を見る。

ディアス「ああ、今日来たSランクの。そいつの爆炎で対処する。」

ジャン「ああ、彼ね。…うん。ならこの策は使わなくて済みそうだね。」

その紙には、雪女を何人か使って、ドレインを使わせ、雪女を処分する作戦が書かれていた。

ディアス「本気で、この作戦を実行するつもりだったのか?」

ジャン「うん?だって、君と、僕が居れば、オーク化した雪女を一体ずつ処分するのは容易いだろう?オーク化したエルフ、龍等の魔物を数体同時に処分するよりずっと、ね。」

クスクスと目の前の男は笑う。

ディアス「その前にオーク化して厄介になるだけさ。」

平静を装いながら応える。

ジャン「もちろん、聖職者をつけて狂わないようにして、従わせて、だよ。それに、ちょうどいい紐付きも居たみたいだしね。」

ディアス「そいつに手を出したら、俺も、アイツも黙っちゃいない。」

此方が威圧をすると、向こうはするりとかわす。

ジャン「アハハ、わかってるよ。でも、突破されたらどっちにしろオーク化するんだから、そこは人間優先だからね。」

それから、ドアの前で止まり、

ジャン「あ、あと、オーク化の兆しがあれば即処分。これは決定事項だから。」

そして、それだけきっちり言うと、ドアを閉めて去っていく。

釘をさしに来たのだ。そうわかっている。

オーク化しなけりゃいい。だが、もし、その兆しが見えたならば俺はササメを処分するだろう。

弟子(ユウリ)と対立することになっても、だ。

俺は拳を握り締める。


ディアス「あー!!胃に穴あきそう!俺、こういうの無理!!」

えっ!そんな繊細でしたっけ?

ユウリ「ですよね。師匠が胃に穴あくなんてありえませんよ!」

ディアス「ほう?言うようになったじゃないか。俺だってな!悩みの1つや2つぐらいあるんだよ!」

ユウリ「知ってますよ!そんぐらい!んでもって、それを俺にぶつけるのが師匠でしょう!」

あっ!そういう子弟関係!なんと、ユウリはマゾっけがあったですか!

ディアス「…お前!そんなに、俺の事を!」

ディアス師匠も感動ものですな。ハハッ。

ディアス「そうか、そうか」ガシッ

ユウリ「はっ!いや、そういうわけじゃ、師匠は理不尽の塊だって言いたかったんだ!…けっしてサンドバッグになりたい訳じゃっ!いやだぁぁあああ…………。」

うんうん。引きずられていくユウリ。サンドバッグになってディアスさんのストレス発散に貢献する弟子。頑張れユウリ~♪




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